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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第四章 神槍精製

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98話 現代神話における崩壊と再生、または──神槍精製(たったひとつの冴えたやりかた)

 ランドグリーズに謝り倒した後、エーテライトを持ってきて作業開始だ。

 このエーテライト、ミスティックゴーレムの核として入っていたため、結構でかい。

 広げた両手より大きいため、石というより、岩という表現だろうか。


 孫悟空が封印されてそうなサイズである。

 だが、不思議と重さは無い。

 いや、宇宙だから質量は無いと言うべきだろうか。

 

 その半透明なクリスタルのような物体は、触れると硬くもあり、柔らかくもある。

 今から、この不定型で不思議な物体を、叩いて鍛え──形を、役割を与えなければならない。


「それじゃあ、本番といきますか!」


 オリハルコンハンマーを右手に持ち、左手には赤き炎魔法(ヘルファイア)

 身体とエーテライトを、うまくエーテルを使って固定。

 この世の理では計れない炎の温度をぶち当て、右手のハンマーにエーテルを込めて──振り下ろす。


 見た目的には滑稽だが──。


「あ、やべっ」


 衝突部分がチカッと光を発したと思ったら、それが一瞬で円状に広がって宇宙規模で(はし)っていく。

 オリハルコンハンマーのエーテル伝達率が良すぎたため、小規模なビッグバンが発生してしまったのだ。

 遠くに見えていたはずの星々は、泥団子を落としたかのように崩壊した。


 さすがに何度もハンマーを振り下ろしたら、銀河クラスでミックスしてしまうだろう。

 少し考えたあと、頼りたくは無かったけど……仕方なく語りかける。


「ユグドラシル、疑似空間を展開してくれないか」

『かしこまりました。映司様、もといマイフレンド』


 相変わらずのミーミルであった。


「ありがとう、ミーミル」

『どういたしまして。ところで友食(しょくじ)はいつ行きましょうか。1人じゃ入れなかった店とか数百件ピックアップしておき──』


 メンヘ……、ヤンデレのような発言をスルーして、疑似空間に切り替わった世界を確認した。

 これなら宇宙を破壊しても、実際のスヴァルトアールヴヘイムには影響が無いだろう。

 やっと本気(・・)を出せる。


「終わりに来る黒き者、世を灰燼に帰す古き燃え木……」


 音声を媒体にエーテルを操作するガルド魔法──それを使い、()の者の名をケニングで迂言し、一時的な加護を得る。


「鹿角持つ豊穣神(フレイ)を屠るムスペルヘイムの守護者──その枝の破滅を以て、勝利を──」


 星を幾多も滅ぼせる量のエーテルが、左手に吸い込まれていく。


「示せ! 我が手に──黒き炎剣(レーヴァテイン)!!」


 左手──世界を焼き尽くす炎の巨人の名を冠した終焉魔法『黒き炎剣』を展開。

 その炎は、どす黒く、不思議と光を発していない。

 それもそのはず、コレは逆に光すら焼き尽くしているのだ。


 黒き炎剣を生み出した瞬間、その余波が広がり、見渡す限りの星々を焼き消した。

 いつもなら、強力な魔法の時は余波を相殺するため、エーテルで調節をしたりしている。

 今はそれすらも惜しいので、被害は無視だ。

 疑似空間自体が壊れるのなら別だが、ユグドラシルを越えるのは難しいだろう。


 ──今はまだ。


「最強の一振り、いっくぜぇー!」


 左手の黒炎でエーテライトを溶かし、右手に力を込める。

 オリハルコンのハンマーに全力のエーテル注入、これだけで空間がねじ曲がり、重力が暴れ狂い、雷が舞い散る。

 そして、それを全力で振り下ろす。


 激突──。

 暴力的なエネルギーの余波が広がり、遠く離れた太陽の紅炎(プロミネンス)を吹き飛ばす。


「うらあッ!」


 二撃目、三撃目とリズム良く叩く。

 普通ならトンテンカンテン♪ だが、今は二撃目で太陽を消滅させ、駄目押しの三撃目で遙か遠くのスヴァルトアールヴヘイムを全壊させた。

 宇宙崩壊のリズム。


 果ては中心がブラックホールとなり、光が吸い込まれ何も見えなくなってしまう。

 それでもエーテルによる万能の感覚で捕らえ、オリハルコンハンマーで叩き続ける。

 時には豪快に叩き、時にはミクロン単位で調節する。


 炎魔法で宇宙ごと熱し、氷魔法で次元ごと冷やす。

 オーディンは生と死を(つかさど)る主神とも言われている。

 つまり宇宙を破壊し、それによって一本の槍を創造するというのも正しいのでは無いだろうか。


* * * * * * * *


 三日三晩叩き続けた。

 そこら中に次元の裂け目が出来ていて、その先の異世界を数多く滅ぼしてしまった。

 知覚出来る範囲に星は無く、光が一つも無くなった空間は寂しい。


「あの見渡す限りの……天の光はすべて星だった眺めが懐かしい……」

『ついに、ワシを完成させてしまったか』


 そう、完成させたのだ。

 ユグドラシルの枝と、エーテライトを素材に──。

 目の前に光る、白銀の槍を!


「ああ、ついにだ。ついに最強の『必中せし魂響の神槍(グングニル)』を──って、シャベッタアアアアアァァァアア!?」








【神器入手:必中せし魂響の神槍】



【終焉魔法:黒き炎剣】

 ムスペルヘイムの炎の巨人、スルトの持つ剣を模した魔法。

 普通の魔法とは違い、加護の条件付けがあるため使い勝手が悪いが、局所的には莫大な力を発揮する。

 一定時間後に加護は消失する。


 加護条件は、スルトの盟友へ使わない事。

 フェンリル、ガルム、スコル、ハティ等には無効。


 巫女の予言で神々の世界を焼き尽くすと告げられているため、神所有の対物、対国、対界に優れる。

 通常空間で使う場合は、限定的な調整をしないとユグドラシルの許可が下りない場合が多い。


 スルトを褒め称える長い詠唱が必要だが、加護の消失までは再詠唱無しに使用可能。

 連続すると褒め殺しとなって礼を失するため。

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