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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第四章 神槍精製

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95話 オリハルコンの力(個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません)

「よし、それじゃあ軽食としてサンドイッチでも作るか」


 昨日のサンドイーターの肉で作っておいたハムと、洞窟に入る前に買っておいた硬いパン。

 これを取り出して、さっき作った包丁で──。


「あの、映司さん……その包丁、オリハルコンですよね?」

「うん」


 ランドグリーズの問い掛けに、しっかりと頷いて答える。

 若干、複雑そうな表情をされているっぽいけど、気のせいだろう。


「っと、このパンは硬そうだな。オリハルコントースターかオリハルコン蒸し器のどちらかを使って一手間くわえようか」

「あの、映司さん……。だからですね……」


 しまった、ランドグリーズは──もしかしておにぎり派だったのだろうか。

 パンをチネって、お米風に頑張るしかないのか……。


「わかった。パンを米の形にするから5時間待ってくれ!」

「いえ、そんなどこへ投げているのか分からない事を言われても困るのですが。問題は、無駄にオリハルコンで調理器具を作っているように見えるのですが──」

「ああ、試し打ちというやつだ! オリハルコンの力とかは特に無い! 調理しても味は普通だ!」

「映司さんの料理方面になると変になる性格……私が原因の一つっぽいから何も言えませんが、何というかその……ハァ」


 溜息を吐かれてしまった。

 外見的には、小学生に落胆されている図というのはどうなのだろうか。


「最初はランちゃん的なアルマジロ純粋っ娘だったのに……ぐれてしまった」

「9割(がた)、映司さんのせいだと思うんです」


 小学生に完全論破されるのは、意外と癖になるような心地良さだ。

 とりあえず、手早くサンドイッチを作って3人で食事にした。

 パンとハムはおいしいが、栄養的に考えて野菜も欲しかったところである。


 後は──。

 俺はランドグリーズを眺める。

 長く艶やかな黒髪で、森ガールっぽい女子力高い服を着た、平均的な女子小学生ボディ。


「ランドグリーズには牛乳が必要か」

「映司さん、どこ見てるんですか。背ですか? それともセクハラ的な部分ですか?」

「背です」


 地雷を踏みそうなので正直に答えておいた。


「単独戦闘時の戦乙女の姿なら、背はちょっと伸びてますし、あっちも甲冑で隠れていますがそれなりです。もう1度言いますが、平らな甲冑で隠れているだけです」


 ……どうやら踏み抜いてしまっていたらしい。

 俺とケンは、ランドグリーズの圧倒的な怒気に恐れながらモグモグした。

 目を右往左往させながら、何か助け船になってくれそうなものを探す。


 視界に入ったのは、鋼鉄の竜。


「あの、よかったらフルメタルドラゴンさんも、サンドイッチ食べませ──」

「我が若かった頃は邪龍の腹心としてブイブイ言わしておっての、それでもミスリルをたんまり食わせてくれるという誘惑に勝てず……」


 まだ昔話をしていた。

 それも、自分語りへシフトして、だ。

 何という空気……ッ!


 さっさと食べて、本題の武器作成に入って場を明るくしよう。


「よし、武器を作ろ……うと思ったけど、ちょっと不安だな」


 その時、ケンが背負っている魔剣が目に入った。

 サイズ的にケンが扱うのには多少、大きすぎの長剣といった感じだろうか。

 よく観察すると、無駄に禍々しい怒りの魔力のようなものが噴き出している。


「ケン、その魔剣……少し良いかな? 武器作成の参考にしたい」

「あ、はい。どうぞ」


 ケンから魔剣が手渡される。


「お、お主、その魔剣をどこで!?」


 フルメタルドラゴンさんが一人語りを止めて、これは驚いたという声を出した。

 有名な物なのだろうか?


「魔力やエーテルを込めると、ダイレクトに炎に変換してくれるのか……射程は近距離」


 火事にならないように大空洞の方へ移動して、魔剣で色々と試してみる。

 魔術や魔法と違い、誰にでも扱えそうだし、タイムラグ的なものや、攻撃への変換率もなかなかに高性能。

 よし、次は──。


「強度はどのくらいなんだろう」

「ま、待てもっと大切に──」


 片手で魔剣の切っ先を持って、ちょっとだけ力を入れてみる。

 曲げるように指を動かす。

 ぴしりと中央に亀裂が入り──。


「あ、折れた。ケン、ごめん」

「お主……それは星の意思が打った炎の魔剣……」

「まじで?」


 やっちまったなー、という感じで、俺は頭をコツンと叩いた。

 その場の空気が固まっていた。


「てへぺろっ☆」


 突如、ミスティックゴーレムが再生して、再び殴り合う事となった。

 当然と言えば当然のオチだった。


「ごめん、ごめんってまじで!」

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