PROLOG
Prolog:The Blood Moon
Βρυκολακαζ
4月 9日
わたしは彼に出会った───。
◇◆◇◆◇
4月 7日
今日はわたしの入学する魔法学園の入学式だ。
この学園は特殊で、無人島を開拓して建てられたのだそうだ。
もともと学園を建てるということが目的であるため、建物も学園の施設がほとんどだ。小さな町もあるが、住人はほぼこの学園の学生か、この島の店の店員であることが多い。
わたしがこの学園に入学することになったきっかけは、わたしの出自にある。わたしの家…黒上家は魔術の名家でわたしはその家の次女で、長女(わたしの姉)は黒上家の次期頭首で今は海外留学している。よって、長女のおまけであるわたしが推薦を受けたのだ。
─────親の独断で。
かくして、学力も運動神経も魔術の腕前もよろしくないわたしが一流魔法学園に入学することになった。(……まあ、魔術に関しては素質はあるんだけどね。───練習しなかっただけで。)
◇◆◇◆◇
校門をくぐる。桜並木を通ると学園が見えた。大学みたいな学園で、今年 建てられたばかりなのでとてもきれいだ。わたしは地図とにらめっこしながら1-Aの教室に向かった。
………
1-Aの教室に入ると、生徒が数人 話していた。そういえば さっきの桜並木でも他の生徒は少なかった。早く着きすぎてしまったのだろうか?思案に耽っていると、一人の女子生徒こちらに話し掛けてきた。
「貴方も1-Aの生徒?」
女は綺麗なブロンドの髪を背中の半ばまで伸ばしている。身長もわたしよりは高い。たよれるクラスの委員長タイプだ。
「あ…は、はい」
緊張してしまう。コミュ障ではないが、初対面のひととは思うように話せない。
「そっか、よろしくね」
「私はサラス。サラス・V・アティよ」
女生徒───サラスさんは自己紹介をする。
自己紹介されたのだ、自分も返さなければ。
「黒上 枝織です。よろしくお願いしますっ」
少しテンパる。
「こくじょう?」
「? どうしました?」
「いいえ、なんでもないわ」
なんだったのだろう?
ふと、奥の生徒と目が会った。そういえばあの二人には自己紹介がまだだった。
「こんにちは、黒上 枝織です。これからよろしくお願いします」
今度はきちんと言えた。
生徒は男女のペアで容姿もそっくりだ。
「霄波 ネオンだ。よろしく」
こちらは男子生徒で、髪は蒼色・肩口でそろえられている。優しいお兄ちゃんって感じだ。
「霄波 ネネです…。よろしくおねがいします…」
対して女子生徒は、髪は碧色・肩口でそろえられている。幼くてかわいい妹って感じだ。
───ん?
苗字が同じだ。
兄妹だろうか? ……いや、二人とも同学年だ。
てことは……
「僕とこいつは双子なんだ。ちなみに僕が兄」
「私が妹です…」
ですよね~。
すごい。会話も息ぴったりだ。
◇◆◇◆◇
その後、三人と話していたら他の生徒も教室に入ってきた。
椅子に座っていると入学式の時間になり、先生が入ってきて会場へ連れていかれた。
入学式は長いので、イベントスキップ(笑)しときました。
内容はこんな感じ。
〇 三学年あり、二学期制だ。一年:座学・実技 初級 二年:実 技 中級~上級 三年:魔術探求・実技 応用・魔術理論 となる。
〇 今年の一学期は魔術戦のトーナメント
使い魔をてにいれ、生徒同士でチームを組む。賞品あり。
〇 二学期からは、トーナメントの結果でクラス編成をして通常授業。
……こんなところだ。
明日から一週間は使い魔 確保のため、一日中フリーだ。まずは使い魔について調べてみようと思う。
帰路につく。この学園には寮もあるのでわたしはそっちで暮らしている。
…………
わたしは学園生活に胸を躍らせながら眠りについた。
◆◇◆◇◆
───2日後の満月に、
新しい流れは流転する。
prolog:end