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魂の欠片の物語

作者: 紅鏤輝 施園




七色水晶 揺らめく水面

歪む月に落ちた魂の欠片

揺れる白昼夢を彷徨いながら

目映い彫金が目印の石塚を探す

兵士達が鎗を構え待つ御城は避けて

太陽が沈む西へと急ぐんだ

夜の支配する森で眠りに落ちたなら

別の何者かへと還れる気がして



魂の欠片が彷徨う



高山の頂に築かれた神の王国も

血染めの歴史でお伽噺と化したんだ

聖なるものに厳かな詠唱と犧を

なれど小さき存在は何時の世も運命に抗う

一人の恋煩いが戦乱の炎を呼び

犧の乙女は救われたものの

国は滅んでしまったのさ

絶望した名も無き民達の中に 己が居たよ



魂の欠片が彷徨う



大海原を行く船団もまた

新たな可能性に縋り付く愚者の群れ

荒波の洗礼にも 餓えや病にも屈しず

辿り着いた孤島は 無機物の楽園

なれど愚者達は恐れを知らず

冷たき金剛石の島の主に為らんとした

主たる者は一人だけ

智恵持つ者は 絶望に打ち拉がれる



魂の欠片が彷徨う



気儘な風来坊の詩人

太陽と月の齎す光の中に在れば幸福

硬質な鎧を纏う鉾鎗使い

疑心暗鬼の眼球に映るは澱んだ世界

相反する両者の間を

気高くも奔放な女王が駆け抜ける

迷い込んだ王国は破壊と混沌の坩堝

脱出劇の果てに見る夜明けが齎す変革



魂の欠片が彷徨う



宇宙の更に外側に故郷が在ったならば

蒼球の齎す苦しみも全て夢かもしれない

そんな幻想に浸る儚い夢を

気紛れな魔法使いが現実へと変える

異なる星の異なる世界で

全てを生み出せる王が誕生した

然し王よ 忘るるなかれ

気紛れな魔法使いとは 残忍でもある事を



魂の欠片が彷徨う



砂漠の神殿に眠りしは

悲劇や呪いとは無縁の獣の骨

すげ替えられた遺骨の謎解きに

不運な神官は時を超え 祖に邂逅する

悲劇と語られた歴史の事実に触れた時

神官の決断一つに未来の全てが託される

それは選択の物語

一つでも違えれば 己が消える運命



魂の欠片が彷徨う



七色水晶が導く仮初めの旅路を

冒険者気取りで謳歌しながら

歪む水面の月に揺蕩う魂の欠片は

軈て集いて完全な一つの魂となる

融け合う記憶と意思の紡ぎ出す

一つの存在の生まれる瞬間

それが新たな物語の始まりたるか

或いは虚無の器と成り下がるのか



七色水晶 揺らめく水面に

落とした言葉如何なり







ご閲覧頂き、有難うございました。




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