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紅の魔眼と白銀の刀  作者: 櫻庭空
Episode2
32/34

Episode.2 (part.30) 白銀の刀


『解析の結果が出たよ』

「そうか。結局、アイツの残骸なのか?」

『結論的にはそうなるね。』

 悠徒は例の携帯を通してベクターと会話をしていた。



 悠徒は自衛隊基地を出て、忍たちがいるスーパーに戻って数日が経過した。

 あの日の事は一応、忍、エリス、チアの3人に言ったが、フルボッコにされてしまった。

『心配かけたな、ごめん。』

 悠徒はそう言いながら謝罪したらなぜだか3人は顔を少し赤らめて悠徒を許した。

 当の本人(悠徒の事)はすぐに許して貰った事に対しての嬉しさでそんなことは気にしてなかった。



 ある日、ベクターから解析の結果の知らせが来た。 

『解析の結果が出たよ』

「そうか。結局、アイツの残骸なのか?」

『結論的にはそうなるね。』

「結果的?どういう意味だ?」

『いや、確かにあの竜の残骸なのだが、あの竜は気体状だったから少なくとも水が落ちてくるか・・・』

「何も落ちてこないか、か・・・そうだよな。あと、俺の最大威力の攻撃にあの爆発なら鉄でも一瞬で解ける威力だからな・・・」

『もしかしたらの話だが・・・あの竜は最後は気体ではなく竜の形を成していたのかもしれないな。』

「そうか・・・残骸だが、あれだけの切れ味と耐久性なら凄い武器にならないか?」

『自分もそう思っていた。一応加工して悠徒の好みの武器にしてみたが、神の図書に転送しておいたから見てくれ。』

 悠徒はベクターの言うとおりに神の図書を発動させて、武器検索の新規追加の欄を見た。

「『偽りの記憶イミテイション・メモリー』これがあの残骸で作った武器か?」

 悠徒はベクターの返答を聞く前にそれをクリックし、具現化した。

 偽りの記憶は次元を突き破って、悠徒の目の前に現れた。

『偽りの記憶。どんな能力があるのか解析しても分からなかった。使う時は注意しろよ。』

 悠徒はベクターの言ってる傍から偽りの記憶を一振りした。

 悠徒が刀を振り切った瞬間、悠徒の目の前にあった壁が両断されて、床にも1本線が出来ていた。

「凄いなこれ・・・」

『せいぜい壊さないようにしてくれ。って言っても、多少の無茶でも壊れないだろうけどな・・・まあ、周りを破壊しないように。』

「善処するよ。」

 悠徒はそう言って、終話ボタンを押した。


 心配だなあ。

 ベクターはそう思いながら、通信機をテーブルに置いた。

 テーブルには加工に使ってボロボロになった機材が置かれており、その横には加工して残った残骸が置いてあった。

「まあ、研究対象がまだ残ってるから、悠徒の事は二の次だな。」

 ベクターはそう呟きながら隣のテーブルに置いてあるパソコンをいじり始めた。


 悠徒は偽りの記憶を鞘に仕舞うと、神の図書に戻そうとしたが、頭の中の何かがそれを拒絶して悠徒の行動を停止させた。

 悠徒は無理に入れようとは思わずに自分の腰にブレスレット状の刀を展開した時の収納用に用意したホルスターに偽りの記憶を入れた。

 先程の感覚の事を考えながら休息室(旧男子更衣室)から出ようとした瞬間、休息室に入ろうとしていた忍とぶつかった。

 ぶつかった拍子に忍は尻餅をつき、悠徒は反射で少しよろめいただけだった。

「忍、大丈夫か?」

「・・・大丈夫。悠徒みたいに緊急時即時対応(エマージェンシー)の時に動ける体ではないけど、一応は鍛えてるから。」

「そうか?忍の方こそ俺は(チート)があるからこれだけの能力向上があったが、達人級の相手でも忍は圧勝だぞ?」

「そうじゃなくて・・・私、昔は悠徒の事を守ってあげるって約束したのに、今じゃ悠徒に守ってもらってるのが悔しいと言うか・・・」

「???」

 悠徒は忍が何を言ってるのかが理解できずに首をかしげた。

「何で分からないの!もう知らない。」

 忍はそう言って休息室から勢い良く出てった。

 悠徒は呆けた顔でしばし立っていたが、ふと、忍にあの刀を渡そうと何故だか思い、転送魔法を発動させた。


「悠徒は朴念仁なんだから・・・私が守ってあげたのを忘れてるの?」

 忍は駐車場に出て、練習用の刀で素振りの練習をやっていた。

「小学生の時だって、悠徒が上級生に虐められていた時、私が助けてあげなきゃ悠徒は上級生にやられたところだったのに・・・」

「あの時は俺もヤンチャしてたからな・・・」

「そうそう、悠徒は唯我独尊って感じだったから・・・って、ゆっ、ゆうと!」

「素振りに集中してるかと思ったら独り言を言ってるから・・・普通に転移して来たぞ?」

 忍は慌てながら刀を鞘に収めると、そっぽを向いて話し始めた。

「あれはね、小学校の頃の事が不意に思い出して・・・」

「あぁ、小学校の頃ね。昔はヤンチャしてたからな。」

「そうそう。それで、悠徒が小学校高学年の時、地元の中学生に絡まれた時があったでしょ?」

「そんな事もあったな。確か、忍が竹刀を持って追い払ってくれてたよな?」

 悠徒は笑いながら言っているのを忍はチラ見で見た瞬間、顔が急に暑くなって頭が回らなくなっていた。

「あの時、私が悠徒を助けてなかったら悠徒はボコボコになってたよ!それに、その頃から私が悠徒を気になり始めたのは・・・」

「そうか?あの後すぐに巡回中の先生が間に入ったし、俺1人であれぐらいなら倒せたよ。あと、気になり始めたって何?」

「・・・・それは・・・・そう!悠徒があまりにもヤンチャだったから、私が守ってあげないとって思い始めたの!」

「そう言う事ね。」

「そうそう。」

「・・・あぁ、子供の頃の話で忘れてたけど、忍に渡したいものがあるんだ。」

 悠徒はそう言ってポシェットの中からブレスレットを取り出して、忍に渡した。

「これって悠徒の刀じゃない!」

「いや~、ベクターが新しいこの刀を渡してもらったから、前の刀を使うことが無くなると思って、忍なら大切に使ってくれるかなって・・・」

「私、この刀使えないと思うけど・・・」

「・・・・・あぁ、これで気絶してたな。でも、半年も経てば使えてるじゃないか?」

 悠徒はそう言って忍にブレスレットを渡した。

 忍は疑心暗鬼にブレスレットを手に嵌めて、ブレスレットを刀の形状にした。

 一瞬だったが、忍の体から生気が抜ける感覚があったが、気絶するような事は無かった。

「大丈夫そうだな。」

「一応ね・・・でも、結構、体力が必要になるね。」

「俺の場合は魔力だったが、忍の時は体力なんだ・・・」

 忍は刀を正眼に構え、ゆっくりと素振りを始めた。

 最初の一振りは形を気にしながらの振りだったが、忍の素質なのか、ゆっくりの振りなのに風圧が悠徒の方にまで届いた。

 刀に慣れ始めると、忍は振りを速め、最後の一振りは体力を吸った刀が放つ斬撃で地面が10mに亘って亀裂が出来た。

「俺が使うより刀が共鳴してるよ・・・」

「一応、剣道部なので。」

 忍はそう言いながら、刀をブレスレット状に戻した。



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