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紅の魔眼と白銀の刀  作者: 櫻庭空
Episode2
28/34

Episode.2 (part.26) 新たな力・新たな敵

「いやぁ、悠徒くん。久しぶりだね。」

 エリスが悠徒の方に向かいながら言った。

「なんでお前たちがここにいるのか?」

「それはですね、悠徒さん。ガルドさんと言う人からここに転送されて来ました。」

 悠徒の質問に、チアはそう言って手に持っていた武器をショルダーバックに入れた。

 チアが使っている弓は大きさが和弓よりもさらに一回り大きいサイズの弓を使っている。

 それが折りたたみ式の警棒みたいに、手に持つ所に収納される仕組みになっていた事に悠徒は驚いたが口には出さなかった。

「ここが忍と悠徒の世界なのか・・・」

 エリスは悠徒の表情に気付かずに観た感想を述べた。

「残念ながら、俺と忍が魔法世界に行った少し後に、この世界に異常が起こったらしい。」

「そうなの?まあ、最初、悠徒を見た時は、何か平和ボケをしてるなって思ったもん。それなのに上級モンスターが数百体ほどいそうな所に住んでるはずがないなって。」

「酷い言われようだな。まあ、平和ボケは確かかな?だって俺と忍がいる国、『日本』は平和な国だからね。」

「ふ~ん。じゃあ、どんな感じなの?悠徒がいた時のここは?」

「俺がいた時は、とにかく建物がたくさんあって、学園よりも発展しているかな?」

 悠徒がそう言うと、エリスとチアは目を輝かせながら頭の中に悠徒の世界を創造した。


「―――って事だ。皆、よろしく頼むぞ。」

「よろしくね。」

「よろしくお願いします。」

 悠徒、エリス、チアの3人が話をしている中にライドと忍が合流して、2人が来た理由を説明した後、他の皆に説明するために転校生を紹介する先生のように悠徒はチアとエリスの事を話した。

 2人の服装が何処となく悠徒と忍の服に似ている事に安心感?のようなのが芽生えたのか、すぐに2人の周りに人が集まった。

 2人は皆に質問攻めにあって、表情は少しアレだったが、顔は何となく笑顔が混じっていた。


 昼過ぎ、2人の歓迎会をするらしく、皆は食材を調理したり、飾り付けをしている中、悠徒はライドを連れてスーパーの外に出ていた。

「一応、3人には言ったから、万が一、襲撃が有っても問題は無いだろう。」

 悠徒は若干心配があったが、今は生存者(主にクラスメイト)を探しに市内を走り回った。

 1時間後、スーパーの反対方向に位置する市の体育館に武装した一般人がいるのに気付いて、慎重にそこに近づいた。

 武装した一般人はモンスターを警戒する事無く、悠徒は|別の何かを見張っている《・・・・・・・・・・・》ような感じだと思った。

 悠徒の勘が運悪く的中した時、悠徒は舌打ちをし、怒りを露わにした。

「おい、マスター!こんな所で怒ってないで、救出が先だろ?」

 ライドがそう言うと、悠徒は納得がいかなかったが、ライドの言う事は正しいと判断して、悠徒は怒りを爆発するのを抑えた。

 なぜ、悠徒が怒りを露わにしたのかと言うと、武装した一般人は、自分たちの欲望のままに男を奴隷のように労働させ、女性は男の捌け口に使っていたからだ。

 武装している一般人に手出しをすれば殺される。

 武器を持たない人は屈するしかなかった。

 悠徒とライドは怒りを我慢しながら機会を待っていた時、悠徒の怒りは頂点を通り越して、暴走した。

 体育館の外から物資を探していたであろう5人の武装した人が制服を着た女子生徒を3人連れていた。

 その女子生徒は神谷優賀、神谷志穂、朝倉千尋の3人で、体育館の正面玄関の所に立たせて何かをしようとした(・・・・・・・・・)

 5人グループの1人が志穂の制服のブラウスに手を掛けようとした時、悠徒はそいつに対して長距離(ロングレンジ)範囲魔法を怒りにまかせて無意識に発動して、優賀たちを連れてきた5人を消し炭にした。

 悠徒の怒りは留まる事無く、紅を発動させ、体育館の玄関の優賀たちのいる所に一瞬で移動した。

「うぇ、うっ・・・・・・・えっ?ゆ、悠徒?」

 優賀の言葉は悠徒の耳には聞こえていなかったが、優賀たちには絶望の顔の中に少しだけ希望が芽生えた。

 だが、優賀は判っていた。

 幾ら、悠徒がここにいて、私たちを助けても、相手は銃を持ってるゲリラ。

 下手すれば、悠徒もそのグループの一員の可能性もある。

「ライド!ここで3人を護れ!!俺はゴミ清掃してくる。」

「Yes,my master.絶対に護ってやるよ。」

 悠徒は3人とライドの周りに魔方陣を描き、建物内に正面から侵入した。


 ゲリラのリーダーは悠徒の言葉に気付いてすぐに臨戦態勢を整えた。

 体育館内で20代のOLや女子大生を輪姦していた戦闘員も、奴隷のように働かせられていた男も、リーダーの戦闘命令に武器を持ち、大ホールに集まって、待ち伏せの準備をしていた。

 数分後、準備が整った所に悠徒が静かに大ホールに入ろうとした瞬間、足元にワイヤーが張られており、ワイヤーに括り付けられた手榴弾とグレネードの栓が抜けて悠徒に爆発と爆風が襲い掛かった。

『ひゃっほ~!派手に死んでいったな!バカなガキだ。』

『あんな木端微塵になってやがるな!彼女を助けようと来たらしいけど、バカな奴だな!』

『ガキが調子に乗って彼女を助けに来なければ死ななくて済むのにな!まあ、助けに来なくても彼女は俺の(ピー)で(ピー)してやるけどな!』

 大ホールの2階の所で隠れていた兵が次々に出て来て、爆発した所を見て、馬鹿笑いしながら口を揃えて悠徒を罵倒した。

「ほぅ、そんなので俺が殺せると思ってたのか?これだからゴミクズは・・・いや、ゴミクズでも肥料になるからまだマシだな。お前らはクソ野郎だ。」

『『『!!』』』

 悠徒は爆発の直前に色変え(カラー・チェンジ)赤色()から青色の水霊(ウンディーネ)に色変えして、水霊の能力で物理攻撃無効領域、水壁(ミストラル・ウォール)が爆風を全て無効化した。

「お前たちは淘汰されるべき人間だ。」

 悠徒はそう言い、右手を前に突き出すと、空間に亀裂が入った。

 そこから大量の水が流れ込み、武装兵を亀裂の中に呑みこみ、全ての水が亀裂の中に入った瞬間、空間の亀裂が封鎖された。

 悠徒は何事もなかったように奥へと行くと、サッカーのハーフグラウンドが入るほどの運動スペースに若い女性が50人と武装兵(+奴隷兵)が300人がいた。

『よくココまで来たな?ガキが!』

 ステージの上にいるリーダー格のマイクを持った男が、右手を天に上げると、300人の兵が一斉に戦闘態勢になった。

 次の瞬間、リーダーの男が右手を振り落ろすと、全方向から銃弾の嵐が悠徒に襲い掛かった。

 だが、水壁によって銃弾は悠徒に当たる事無く地面に転がり落ちた。

 悠徒は水霊から紅に色変えして右手に炎剣を生み出し、高速移動をしながら炎剣で武装兵に攻撃した。

 武装兵は軽度のやけどと厳しい修業によって錬成された肉体によって、手刀で人を気絶させるほどで、武装兵も適応されて気絶した。

 リーダー格の男一人になり、悠徒の怒りも少しは和らいだか、リーダー格を瞬殺する事無く男の目の前に立って、見下していた。

 男は少しの焦りや恐怖心が無く、余裕な顔をしているので、悠徒の怒りが再び上昇し、男に向かって地獄の業火(ヘル・ファイア)を発動し、男を焼死させた。

 『残念だったな。』

 男の声は体育館全体から聞こえた。

 悠徒は一瞬驚いたが、ステージの男が立っていた所に新たに1人の女があらわれた。

「ずいぶん楽しんでくれたじゃないの?」

 女は胸の谷間からタバコとライターを取り出して、タバコに火を点けライターと箱を元の谷間に戻した。

「ふ~~。・・・坊やは魔法がお得意のようね。」

「だまれ!てめぇが親玉か?」

「まあ、一応そうなるね。」

「じゃあ、死ね。」

 悠徒はそう言うとブレスレット状の刀を取り出し、魔力を最大威力で溜めて放った。

 女は防御する事無く刀が女の体に触れた瞬間、刀の刃が粉々に砕けた。

 悠徒は砕けた刀を捨て、一極集中魔法を発動した。

 女は目の前に淡青色のバリアのようなので魔法を分散させた。

 悠徒の攻撃がすべて当たらず、弄ばれている状態に、悠徒は苛立ちが出て、魔法を連続発動でバリアの耐久を0にしようとした。

 だが、すべての魔法を発動させたが全く無意味で、女は悠徒をあざ笑うかのように2本目のタバコに火を点けた。

「坊や、魔法は強いけど、神導術(しんどうじゅつ)には敵わない。神導術ってわからないよね?」

 女は悠徒の答えを待たずに続けて話した。

「神導術とは、言わば神の力。実際には、神に近しい力かな?神導術が使えるのは私とあと5人ぐらいいるだけ。」

 女はそう言って悠徒に向けてタバコの火を向けた。

 次の瞬間、タバコの火から龍の咢が出て、悠徒に向かって一直線に突進してきた。

 悠徒は前方に5重魔法壁を作り守ったと思ったが、龍の咢は魔法壁をすり抜けるように悠徒に当たった。

 あまりの威力に意識が飛びそうになるが、紅のおかげで気絶することは無かった。

 だが、悠徒のダメージは相当酷く、胸元の皮膚は焼かれ、肋骨がむき出しになっていた。

「坊や、これが神導術よ。私に勝ちたければ、あなたも神導術を手に入れなさい。種は渡したから(・・・・・・・)。」

 そう言って女は神導術で空間転移した。


「おい、マスター!起きろコラァ!!」

 悠徒はいきなり頭を殴られて、激痛と共に目が覚めた。

 だが、頭の激痛より胸元の方が激痛が強く、悠徒は自分の胸元を見ると、肋骨は見えてはなかったが、やけどの跡が残っていた。

「はは、負けたんだな・・・・」

 悠徒はそう言って再び眠ろうとした瞬間、再び頭に激痛がきた。

「おい!無視してんじゃねぇよ!クソマスター。」

 悠徒が頭上を見ると、そこにはライドと優賀と志穂、千尋がいた。

「お前たちは大丈夫だったか?」

「・・・バカ!悠徒のバカ!・・・・死んじゃったのかと思ったじゃない!」

「そうですよ!悠徒さんの看病を付きっ切りでやってたんですよ。ねえ、お姉ちゃん?」

「志穂!そんな事ないよね~?」

「いふぁい!いふぁいよおふぇいちゃん。」

 優賀は志穂のほっぺを引っぱりながらも顔は赤らめて涙を流していた。

「ごめんな。優賀、志穂、千尋、あとライドも。」

「お兄ちゃんの心配なんか少ししかしてないから謝らないで。」

「おい!俺はその他のおまけか!?」

「お前ら、俺が怪我してるのは一目瞭然だろ?なのにそうな人に攻撃して良いのか?」

「「しらん(しらないわ)」」

 ライドと千尋は息ピッタリに言った。

 悠徒はそれを聞いてため息を吐いた瞬間、緊張の糸が切れたのか、意識を失った。


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