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紅の魔眼と白銀の刀  作者: 櫻庭空
Episode2
26/34

Episode.2 (part.25) 異変

「君たちは、ココの生徒なのかい?」

 体育館の入り口で軍人に悠徒と忍は止められた。

 悠徒と忍の衣装は学校の制服ではなく、魔法世界での戦闘服の状態のまま来てしまったため、拓哉が連れて来ても怪しまれたのだった。

「自分たちはココの生徒です。学生証と制服もありますよ。」

 悠徒はそう言って、学生証と制服を鞄から取り出した。

「学生なのは分かった。だが、そんな物騒な物を何所から持ち込んだ。」

 軍人はトランシーバーで仲間を呼び、駆け付けた軍人4人に悠徒と忍は囲まれた。

「おい!なんで悠徒と澤井さんはテメエらよりか強いから持たせてやれよ!さっきも軍が倒せなかったモンスターを一撃で仕留めたんだぞ!」

 拓哉は叫びながら2人を囲んでいる軍人に突進した。

 だが、仲間を呼んだ軍人2人が拓哉を突き飛ばし、羽交い絞めにして、もう1人が拓哉の頬に拳を当てた。

「今までココを守ってきたのは誰のお蔭だ!さらに、学生が武器を持つのは銃刀法違反!よって、我々は彼らに処罰を与える!」

 そう言って、4人は悠徒に向かって銃のグリップで殴ろうとした。

 悠徒は目を瞑った状態で銃のグリップを握り、残りの3人に魔力波で気絶させた。

「俺たちは友人を連れて行くだけだ!それ以上は望まない。即座に出て行く!」

 悠徒はそう言って悠徒に攻撃しようとした軍人を押し退けて体育館に侵入した。


 悠徒たちが体育館に入ると、そこには学生と近隣住民で埋め尽くされていた。

 拓哉の案内で悠徒と忍は自分たちのクラスの下に行った。

 悠徒と忍がクラスの下に来た瞬間、クラスのみんなにもみくしゃにされたが、無事にクラスのみんなと合流できた。


「今から、ここから出る。」

 悠徒の発言は、クラスに留まらずに、体育館中に広まった。

「悠徒さん、出ると言う事は、体育館から出るって事ですよね?」

 担任の芝野綾が悠徒の発言に質問すると、悠徒は体育館にいる全員が悠徒の話を聞いている事に気付き、ステージに上がって大声で言った。

「今、軍隊がこの体育館を守っていると思うが、モンスターを1体も倒せていない。時期に体育館にもモンスターが襲い掛かる。弾がなくなるからね。」

 悠徒の話は5分で終わった。


 悠徒の話は大きく4つ。

 1つ目は、体育館はそろそろ危険になる事。

 2つ目は、悠徒と忍はモンスターを倒せる事。

 3つ目は、食糧・水分・衣服などが不足している事。

 4つ目は、まだ隠れている生徒などを救出する事であった。

 実は、5つ目に友人を安全な所に避難させるという事があったのだが、志願者が多いと5つ目は無理だと思った。


 悠徒を中心に集まった人は悠徒のクラスメイト37人と担任、あとは20人ぐらい命知らずか悠徒を信用してか、同行する人がいた。

 全員の点呼をした時、神谷姉妹がいない事に悠徒は気付いていた。

 忍もその事に気付いており、クラスメイトに聞いていたが、誰も知らないと言われてしまった。

 担任に確認した時に、この現象が起こった時間を教えてもらった。

 担任がこの現象に気付いたのは6時限目の授業が終わってHR中、他クラスの生徒が携帯のテレビ機能でこの事態の事を知り、それが全校に広がった・・・と。

 悠徒は集まった勇士に呼びかけて、体育館を出ようとした。

 だが、体育館を出ようとした時、扉の目の前に手に鉄パイプやナイフを持った十数人の生徒が塞いでいた。

「お前か、ここから出ようとか、ほざいてるのは!」

 扉を塞いでいる生徒の中のリーダー格の生徒が悠徒の目の前に立ち、悠徒の目の前にナイフを突き出した。

「そうだが?それがどうしたんだ?ついて行きたいのか?それは構わないが・・・」

「はぁ?ふざけてるのか?ここは俺らの領土だから、お前は通行料を払えって事だよ!」

 リーダー格の生徒が悠徒の心臓目掛けてナイフを刺そうとしたが、悠徒は相手の手首を持ち、捻ってナイフを落とさせて、さらに少しの力で押して尻餅をつかせた。

 悠徒の綺麗な技を見た他の生徒は扉から離れ、リーダー格の生徒は地べたを這いながら扉から離れて悠徒たちが出て行くのを見届けていた。


「朝倉君。今からどこに向かうのですか?」

 担任の発言は全員が疑問に思っていた事だった。

「今から、大型ショッピングモールかスーパーに向かう。そこを拠点にして、各地を制圧する。」

 悠徒はそう告げながら周囲に気を張り巡らせて、周囲に脅威が無いか確認を休む事無くやっていた。

 悠徒の魔力は前と比べて格段と上がったが、広範囲の索敵の為の眼の力の解放。

 たとえ忍が殿として居たとしても、大勢を護衛した状態で多勢との交戦はできないので、眼の力を使用せずに移動は危険すぎる。

 悠徒の魔力は残り4~50%しか無い今、近くの大型スーパーまでの距離がとても長く感じる。

 さらに言うと、そのスーパー内にモンスターが潜伏している可能性もあるので、その時の対処もしないといけないので、悠徒は魔力を節約するために、魔力防壁をカットし、眼に送る魔力も純度を落としている。

 スーパーの入り口で悠徒はモンスターの気配を感じ取った。

 スーパー内に小型モンスターが約10体。

「忍、今から俺が結界を張って、モンスターを拘束する。」

「悠徒、何時そんな結界を張る事を覚えたの?誰も教えてなかったと思ったけど?」

「何時って、LibraryNetworkで秘密裏に魔導書を頭に刻みつけた。」

「あんたって・・・・そんな事をしてたの?脳が破壊されるから最初の言語を覚える以外使わなかったの知らなかったの?」

「いや、それは知ってたが、アイツ(・・・)と同等に戦えるには、より多くの魔法を覚えないと勝てないからな。」

 悠徒は胸ポケットからピックを4本取り出して、スーパーの周りに刺し込み、ピックを支点に魔方陣を描き込んだ。

 悠徒の造った魔法結界はモンスターが魔法結界内に侵入すると、警報が鳴り、モンスターを拘束する中級魔法が発動する魔法結界の中では上位の結界を悠徒は4~5分で完成させた。

 そして、忍に皆を任せて悠徒は結界内に侵入した。


 スーパー内に入ると店内は、やけに綺麗で、モンスターがいるとは思えなかった。

 悠徒は結界に感知されている所に向かうと、そこにはオオカミのようなモンスターが10体と、そのモンスターの親玉が魔法結界によって拘束されて動けないようになっていた。

「結界張らずに入ってたら、確実に被害者が出てたな。」

 悠徒はブレスレットにしていた刀を取り出し、モンスターを1体ずつ息の根を止めていった。

 最後の親玉を残し、すべて殺した後、親玉の目の前に立った。

「お前は賢い方だな。俺の言葉は分かるな?」

 悠徒はそう言いながら親玉の拘束している魔法を解いて、解放させた。

「俺を解放させたのは失敗だったな。」

 親玉は近くに開いている穴に向かって跳び、穴の中に入ろうとしたが、眼の力で風の蓋をして一部も入る隙がない。

「バカな考えは止めるんだな。」

 悠徒はそう言って、親玉に背を向けて近くに座れる所を探した。

 すぐ近くにあった事務用の机に腰掛けると、親玉にこう告げた。

「俺たちの仲間にならないか?」

 悠徒の一言は親玉のツボに入ったのか、笑いながら親玉はこう言った。

「俺には仲間がいた。それをお前が目の前で殺して、そして俺に仲間になれだと?ふざけんじゃねぇ。」

「じゃあ、今、なぜお前は笑った?お前が俺といるのが楽しそうだ、面白そうだ、そんな感じの感情を懐いたんじゃないのか?」

 悠徒は親玉に歩み寄って、親玉の首を掴み、引き摺りながら皆がいる方と反対側の出入り口から外へ出た。

「群れでしか生きられない無能な王がこの世界で生き残れるかな?数分も経たずに強者に貪られるのが関の山だな。」

 悠徒そう言って、親玉を結界の外に放り投げた。

「俺を過小評価したな。俺はこの世界の頂点に立ってお前を殺す!」

 親玉はそう言って、何処かへ行ってしまった。

 親玉の姿を見届けた悠徒はスーパーに再び入り、皆がいる出入り口に向かった。


「スーパー内の危険は全て排除した。」

 悠徒の発言で皆の緊張が解れ、スーパー内に皆は入って行った。

「忍、少しの間いないが、大丈夫だな?」

 悠徒は忍にそう言い残し、結界の外に出た。


「仲間をまた集めないと・・・」

 親玉はそう言いながら、住宅街を横断して山に向かっていた。

 だが、住宅街の中央の辺にある大きな通りに出た瞬間、親玉の目の前に自分の3倍ほどの大きさのモンスターが2体が親玉の方を睨んでいた。

「・・・手前ら。俺が誰だと―――――」

 親玉がビビりながらも虚勢を張ろうとした時、目の前にいたモンスターの1体が右前足で親玉を薙ぎ払った。

 飛ばされた親玉は、陸橋に衝突して全身が鉄骨にめり込んでしまい、さらには、右腕、両足が骨折しており、抜け出そうにも抜け出せなかった。

「くそっ!あいつに会わなければ・・・」

 親玉はそう言いながら後悔していた。

 自分が生きたいなら、アイツの下で働けば、プライドを捨てる代わりに生きられる。

 だが、そんなので俺が生きている意味があるのか?

 親玉はそう思っていた時、もう1体のモンスターが親玉目掛けて息の根を止め(フィニッシュし)ようとしていた。


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