Episode.1 (part.18) 大会
ガルドが提示した1週間トレーニングは、たったの3日で崩壊し、残りの4日間、悠徒たちはトレーニングをすることが無く日だけが過ぎていった。
そして大会当日。
悠徒たちは会場の受付の行列の先頭にいた。
「おはよう御座います。こどもの妖精社主催!『幻惑の迷路』に参加いただきありがとう御座います。ルールなどの説明はこうなっておりますので、しっかり守ってください。あと、大会中はこれを着用してください。」
大会受付の女性が明るく説明してくれて、悠徒たちは『危険な大会じゃないんだ』という感じの印象が無くなってホッとしていた。
だが、開始直後にそれは脆くも崩れたのであった。
~大会のルール~
(第1の難関『ゴールまで辿り着け!』)
・スタートからゴールまでの地図を配布されるので、ゴールまで辿り着けば良い。
・制限時間は3時間
・魔法・武器の使用はOK
・棄権の時は配布した赤い玉を使ってください
(第2の難関『珠を取れ!』)
・フィールドに隠された珠を取ったら勝ち
・1つのフィールドに2つの珠に、10人の挑戦者です
・武器の使用は禁止
・魔法は挑戦者に向けて発動することは禁止
・制限時間は無制限
・棄権の時は配布した赤い玉を使ってください
(第3の難関『エキゾチック・アスレチック』)
・10個のアトラクションをクリアすること
・水に落ちなければ良い
・制限時間は1人10分
・魔法・武器の使用は禁止
(第4の難関『バトル・バトル・バトル』)
・何でも有りのフィールドバトル
・場外は失格
・背中やお腹、顔面、頭が地面に着いたら失格
・制限時間は10分
・殺傷性のある魔法も使用OK
「何なの、このルールは?略しすぎでしょ?」
「いや、毎回こんな感じだぞ。」
忍の不満は最もだが、悠徒たちには抗議する立場ではない。
「まあ、大雑把だけど、逆に燃えて来るものがあるな!」
悠徒は楽観的に言ったが、後で悠徒は後悔する羽目になった。
スタート場所にたった3人は参加者の人数に驚いたが、すぐに司会の人が現れて3人は気を引き締めた。
「只今から、第1の難関を始める。事前に配布した中から青い玉を手に持ってください。」
司会の人からそう言われて、皆が青い玉を手に持った。
全員が持ったと判断し、司会者が開始の合図を送った瞬間、全員がバラバラにテレポートされた。
悠徒がテレポートされた所は極寒の大地だった。
「さび~~~。風が来ない所無いかな・・・あっ、洞窟発見!」
悠徒は一目散に洞窟の中に入った。
そして支給された地図を見て悠徒は驚き呆れた。
なんとゴール地点が10キロ先の平地であった。
悠徒はガルドに事前に渡された腕時計を操作して気温などを調べた。
「はぁ?気温-37度!?寒すぎだろ。」
悠徒はそう言い、内心『ハズレくじだろ!』と思いながら対策を考えてた。
『耐寒魔法はしなくても良いのか?』
「たいかん魔法?」
『寒さに対抗するための魔法のことだ。』
「どうやれば良いの?」
『それぐらい覚えておけ!』
紅のアドバイスを聞いた悠徒は耐寒魔法を唱えた。
「おお~!なんだかポカポカしてきた。ありがと。紅!」
悠徒は紅にお礼を言って、地図を見てルートを考えた。
忍は、だだっ広い草原にいた。
「ここは・・・平野?」
忍が降り立った場所は、弱肉強食の草原危険地帯であった。
忍は地図を取り出してゴールを探すと、忍の前方数十kmに巨大な塔があり、確認すると、その塔がゴールであった。
「猛獣とか出ないでよ・・・」
忍は360度全体を警戒しているが、生き物の気配は全く無かった。
気配が無いのを確信した忍はゴールの塔に向かって駆け出した。
エリスは一方通行のトンネルにいた。
「ここは何所なの?人工物で出来ているけど・・・罠か何かあるじゃないわよね?」
エリスは周りに警戒を怠らずにポシェットから地図を取り出してゴールを探した。
「ここから2km先にゴールだけど、3時間も時間があるから確実に罠なんかがあるに違いないわね。」
エリスは地図をポシェットに戻して愛用武器を取り出してゴール目指して歩き出した。
スタートしてから1時間半が経った。
悠徒はブリザードが吹雪きながら崖道を進んでいた。
「2人とも簡単な所かな?」
悠徒はそんな独り言を言った瞬間、突然頭上から巨大な雪玉が落ちてきた。
咄嗟の判断で壁にへばり付く体勢になり、物理防御用のバリアを頭上斜めに展開した為、雪玉はバリアに当たって谷底に落ちて行った。
「あぶね~。」
悠徒はそう言いながら、早く崖道が終わらないかと思いながら再び慎重に歩き出した。
それから10分後。
崖道が終わり、向い風に阻まれながら壁に囲まれた広い道を歩いて行くと、目の前に無数の白い岩?が道を塞いでいた。
「おいおい。こんな所で行き止まりか?」
悠徒は少しキレ気味の状態になり、目の前の岩向かって全力の拳を食らわせた。
拳は岩に当たった瞬間、岩の中にめり込む感じに入って、脂肪に阻まれた感じに拳が撥ね返った。
悠徒が殴った白い岩はブルブルと揺れ始め、のそっと起き上がったと思ったら、咆哮をした。
なんとその白い岩だと思っていたのは、白熊?であった。
なぜ?が付くのかは、白熊のくせに5mを超える巨体に背中に甲羅があったからだ。
「って、もしかしてこの辺にある岩みたいのって全部甲羅付き白熊ってこと?」
悠徒はそう言っている傍からどんどんと甲羅付き白熊が起きて悠徒を標的に定めていた。
白熊が悠徒に突進し始めたのに気付いた悠徒は最小限の魔力で避けようと試みるが、巨体であるのと、複数で突進してくるので眼の力を発動せざるを得なかった。
迅風を発動した悠徒は突進してくる白熊と白熊の間をスライドしながら抜けて行く。
「巨体同士が邪魔して間に隙間が出来るんだよ。」
悠徒は白熊に言うと、人間の言葉が通じるはずが無いのだが、白熊は悠徒の言葉を理解したのか甲羅の中に頭、手、足を仕舞って氷の大地を滑り始めた。
全ての白熊が同じ行動を取っているのでビリヤードのように壁や甲羅同士で当たりながら複雑な動きをしながら悠徒に攻撃をして来た。
だが、悠徒は冷静に空中に飛翔すると、そのまま空中を滑りながら白熊の巣から脱出した。
壁に挟まれる道から出た所で眼帯を再び付けて再び歩き始めると、目の前にフラッグが見えた。
「あれがゴールか?」
悠徒はそう思いながら走り出すと、悠徒はフラッグの目の前に崖があるのを気付かずに悠徒は崖に落っこちた。
しかし、悠徒は咄嗟にフラッグ目掛けてフック付きのロープを袖から出して、そのロープを伝わってフラッグに辿り着いた。
「良かった~。ベクターに頼んでフック付きロープを出す機械を作らせといて。」
悠徒はベクターと初めて会った日に、大会用に予め作らせていたのだった。
『おめでとう御座います。悠徒さんの記録は2時間23分31秒です。今から会場に転移しますのでそのままの状態で居てください。』
5秒後、悠徒は光に包まれて会場に転移した。
「何これ!?ロボット!?」
そんな事を大声で叫びながら忍は塔に向かって全力疾走していた。
そう、それは開始30分ぐらい過ぎたとき・・・
忍はジョギングペースで走っていると、忍のすぐ近くの地面が隆起して、そこからチーターのような銀色の獣が出てきた。
忍は冷静にその方を見るが、気配がしない。
刀を取り出して、鞘打ちで倒そうとしたが、金属音がしたので忍は目を凝らせて襲い掛かった獣を見ると、それは鋼構造のチーターであった。
「在り得ないでしょ!」
忍は自分の世界ではまだ造れないであろう(本物そっくりな)動物型ロボットが目の前に現れた驚愕に叫んでしまった。
刀を抜かないと大怪我すると判断した忍は刀を抜き、自分の気配を消した。
しかし、ロボチーターは熱感知システムを使いロックオンして、忍目掛けて颯爽と走り出し、右前足で引っ掻こうとした。
忍はロボチータが走り出した時、足に気を溜めて、攻撃をして来た瞬間にその気を爆発させて、瞬間的に閃光の速さでロボチーターに向かい、刀で前足を一閃した。
ロボチーターの前足は見事に両断され、制止したと思ったら大爆発した。
「これで終わりかな?」
忍はそう言いながら刀を仕舞い、再び歩き出した瞬間、地面が隆起した。
『またか!!』と思いながら隆起した場所から離れ、刀を抜いて身構えた。
一向に隆起した所から出て来ないので、忍は刀を仕舞わずに振り返って塔に走り出そうとした瞬間、塔の方から大きな鳥?が襲い掛かってきた。
回避態勢になろうとするが、相手の方が速く、忍は鳥の足に捕まった。
「離しなさいよ!」
忍は一生懸命もがきながら言うが離してくれない。
持ってた刀で刺そうと思ったが、上空で刺して墜落した後の事を考慮に入れてなかったので却下した。
黄金のフォルムをした鳥は運良く塔に向かって飛んでいるので、隙有らば倒そうと思っていたが、いざその状況になって刀を刺そうとするが黄金のフォルムに阻まれた。
「もしかして・・・・金?」
忍は打つ手無しと途方に暮れていたが、裕奈の特訓を思い出し、1つの希望が思い浮かんだ。
忍は体の力を抜かして自然に身を任せる状態になり、目を閉じ、深呼吸し、1点の光が浮かんだ瞬間、忍は刀を振った。
刀の威力は殆ど無かったのだが、金の体に一筋の切れ込み。
そして鳥の真上に在った雲は真っ二つに切れていた。
「できたっ!」
忍は鳥の足を振り解いて地面に着地すると、目の前に塔の入り口があった。
塔に入ると目の前にフラッグがあり、フラッグを握るとアナウンスが流れ、忍は会場に転移した。
「もう疲れた。」
エリスは開始早々、罠のオンパレードであった。
落とし穴から始まり、火を吹く床、棘が出てくる壁に、大玉が転がってくるなど、様々な罠が次々と出てきた。
開始から2時間が過ぎるが、エリスは残り4分の1を残す500mだが、体力の限界でゴール出来なさそうであった。
「悠徒や忍はとっくにゴールしたよね・・・」
エリスはネガティブに陥り地面にへたり込み、休憩していると、頭上から何かが落ちてきた。
反射神経で1つを空中で捕り、確認すると、それは蛇であった。
エリスは大の爬虫類嫌いで、子供の頃に友達にトカゲを顔面に投げ付けられたという苦い過去を持っていた。
「は、は、は、ちゅうるい~!!!」
エリスはパニック状態に陥り、手に持った蛇を投げ付けて、ゴールの方目掛けて流星の如く走って行った。
所々で罠があったが、エリスのスピードが余りにも速すぎて、発動する前に走り去ってしまった。
そしてゴールするもエリスはパニック状態のままで、アナウンスに速く転送するように懇願していた。