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紅の魔眼と白銀の刀  作者: 櫻庭空
Episode1
18/34

Episode.1 (part.17) マッドサイエンティスト

「大丈夫か?おい、大丈夫か?」

「う、う~ん」

「起きた。部屋の中心で寝てるけど、どうかしたのか?」

「えっ、えっ、え~~!!!もしかしてブレスレットを追跡してここまで来たの?」

 少女は急いで立ち上がり、実験機材の上に置いてある刀を取ろうとした。

 だが、その手は刀に届くことなく悠徒の手に静止された。

「あれっ?展開されてるよ。君、この刀は魔力を十分に持ってないと吸い尽くされるから触っちゃいけないぞ。」

 悠徒は子供に叱る様な感じに言うと刀を元のブレスレットにした瞬間、閃光弾が炸裂した。

「ごめんね。僕はまだこれを調べ尽してないから、もうちょっと借りるね。」

 少女はそう言って奪取したブレスレットをショルダーバッグに放り込んで一目散に逃げた。

「・・・・眩しかった。って、そんな場合じゃねぇ!あいつは?何所に行った?ってもう居ないか・・・」

 悠徒はすぐさま紅を発動させて色を索敵(スナイパー)の薄黄緑色の眼に色変え(カラーチェンジ)をした。

「検索。俺のブレスレット。・・・・・・あった。もう2kmも離れてる。相手は移動補助の機械か魔法を使ってるな。見えた!これは・・・機械だけど魔力をエネルギーにするのだね。」

 悠徒はまだ捕まえれると思い、0.2秒で最短ルートを導き出した。


「このシューズを履いていれば逃げ切れる。でも、刀に魔力の半分以上も吸い取られたから気を抜けば一発アウトだね。」

 少女は颯爽と木々の間を駆け抜けて、学園内に秘密裏に建設した地下研究室に向かっていた。

「さすがにもう見つからないでしょう。」

 少女は靴に送る魔力量を減らして徐行運転に切り替えようとした。

「見~つけた。意外と足、速いんだね。」

 少女の真上から悠徒が急降下してきた。

 悠徒の声を聞いて驚いた少女は急加速して、すぐ近くにあった湖に突っ込んだ。

「湖の上までは来れないで・・・ぇ。」

「いや~、迅風(ウィンディ)ってホバーのように地上や水中、空中を滑る(・・)ことが出来るのか・・・」

「ぎゃ~悪魔!人外!変態!」

「変態は無いだろ!まず最初に俺は列記とした人間です。」

「水の上を平然と滑る人は何所にも居ません。」

 少女はさらに加速して湖を横断して叢が生い茂るところ目掛けて大ジャンプした。

 そして少女は秘密の通路を通り、研究所に入った。

 追いついた悠徒は叢の上から少女を探したが、すでに研究所に続く通路の扉は閉まってしまい、見つけることが出来なかった。

「あれ~、何所に行ったんだ?」

 悠徒は湖と叢の所に降り立って迅風から索敵に色変えして少女の居場所を検索した。

 すると、少女は湖の真下に向かっているのが判明したので悠徒は索敵から紅に色変えして、炎系の魔法を湖に放った。

 悠徒の魔力は紅の発動、色変え(カラーチェンジ)、眼の力を常時使用したために残り1割ぐらいしかなく、湖の水を全部蒸発させるほどの魔力は残っていなかった。

「潜るしかないか・・・」

 悠徒はそう思い、服を脱いでパンツ一丁になって準備体操をして、いざ潜ろうとした瞬間に誰かが二の腕を掴んで来た。

「誰だよ。止めようと・・・」

「悠徒、この湖を潜るのは危険すぎるぞ。見てみろ。湖の中には鮫やピラニア、大型肉食生物まで何でもありの湖だぞここは。それでも飛び込むのか?」

「飛び込みません。魔力も残ってないのにそんな自殺行為はしませんよ。」

 悠徒はそう言い、服を着て、ガルドに事情を話した。

「なるほど・・・それなら秘密の通路を1つ見つけたな・・・確か、湖の周辺にあったかな。」

 悠徒はガルドが言っていた湖の周辺を探すと、ガルドに会った場所の反対側に通路があった。

 ご丁寧に看板に『秘密の研究所ここから600m先』と書かれてあった。

 悠徒はその通路に足を踏み入れた瞬間、退路が塞がり、通路の壁に備え付けてあったランプが点灯した。

「見つかったな。でも、ここでビンゴだね。」

 悠徒は急いで先に進もうとした瞬間、目の前の床が急に抜けて底には針がびっしりと設置されていた。

 悠徒は走り幅跳びのように飛び越え、さらに先に進むとそこには壁に穴があいていた。

「もしかしてお決まりのアレですか?」

 悠徒はポケットなどを一生懸命何かを探し、メモ帳の1ページを紙飛行機にして壁に穴が開いた通路に投げ込んだ瞬間、炎が穴から出てきた。

「槍じゃないんかい!」

 悠徒はツッコミを入れるが、対策が見つからずに時間だけが過ぎていく。

 1分ほど立ち止まってたら、後ろからガタンという音が聞こえ、その後にゴロゴロという音が永遠と聞こえるので振り返った見ると、目の前に巨大なボールが転がって来ていた。

 悠徒は八方塞の状態に陥り、覚悟を決めた悠徒は炎が噴出す通路を全力疾走した。

 ゴールまで続く炎が噴出す通路を残り10mのところまで来た瞬間、悠徒は急降下した。


 悠徒は目を覚ますとそこには大きな研究機材が所狭しとあった。

「ようやく目が覚めましたか・・・まさかここまで付いて来るとは想像してませんでした。」

 少女はパッド型のPCをいじりながら悠徒に言った。

 悠徒は少女に歩み寄ろうと手を動かそうとするが動かない。

「ああ、言ってませんでしたが一応拘束させてもらいました。あなたの生態情報も必要だったので・・・」

 悠徒は自分が手錠をされていることに気付いて外そうとするが外れない。

 少女は研究をして小1時間、悠徒は色々な方法で外そうとするが全く無意味であった。

「そろそろ検査をしましょうか。」

 少女はバッドを机に置いて、悠徒の方に歩み寄った。

 そして、悠徒の手錠を外してこっちに来るようにと少女は歩き出した。

 悠徒は逃げ出そうと考えたが、相手が何を持ってるのか解らない状態で逃げ出すのも危険だと思い、悠徒は仕方なく後を追った。

「この部屋に入ってください。」

 少女はそう言って扉の奥にある小部屋に入るように指示した。

 悠徒は指示に従って奥の部屋に入ると、少女は部屋の扉に施錠し、目の前の機械をいじり始めた。

 悠徒は部屋の中で呆然と立ち尽くしたが、全く指示を下さずに部屋を出るように言われ部屋を出た。

 少女は機械を操作していて悠徒に意識が廻っていなかった。

 チャンスだと悠徒は思い、忍び足で部屋から出ようとした時、唐突に少女が立ち上がり、椅子が倒れた。

「君、どういう生態をしているの?普通の人間とは言い難いほどの魔力貯蔵量だよ。今はほとんどの魔力を失っているが・・・それにしても、良く体が保ったね。普通なら死んでるよ。」

 少女は悠徒に指を指してそう断言した。

 悠徒はいきなりそんな事を言われてもピンと来なかったが、自分は普通なら死んでいるということに対して驚いた。

「俺ってそんなに人間離れしているのか?」

「そうだよ。君の魔力は普通の上級魔道士を遥かに超えている。一種の化物と言っても過言ではないよ。」

「そんな大げさな・・・」

「本当だよ。後、君の肉体再生速度も異常すぎる。掠り傷ぐらいなら数分で治るレベルだよ。」

 悠徒は自分が化物呼ばわりされているのに少し傷ついたが、薄々気付いていた。

 自分の右目にある紅のおかげで生きているという事。

 その為に化物になってしまった事。

「あのさ、今更ながら聞くけど・・・」

「なんだい?」

「君は誰なの?」

「・・・・・あ~~~~~。忘れてたね。僕の名前はベクター・ウェストリア・シュタインベルク。学年は11年生。そっちの世界だと高校2年生、同級生というわけさ。一応、魔法応用技術研究所の一員なのさ。」

「こちらこそ、俺は朝倉悠徒。学年は言わずもがな同級。まあよろしく。ベクター。・・・って、お前男なのか!?」

「僕のこと女の子だと思ってたの?」

「あどけないし、ちっさいから。」

「ちっさい言うな!」

 ベクターは怒って、外見からは想像出来ないパワーで悠徒を持ち上げて、実験台の上に置いて手足を固定した。

「べ、ベクターさん?何をなさっているのでしょうか?」

 悠徒はとてつもない恐怖心が襲い掛かり、何故か敬語で言っていた。

 ベクターは手術(オペ)するときの立ち位置で着ていた白衣の裾に手を引っ込めた次の瞬間、悠徒は絶叫していた。

 悠徒はそれからベクターをマッドサイエンティストと思うようになり、怒らせないように気を使うようになった。


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