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紅の魔眼と白銀の刀  作者: 櫻庭空
Episode1
16/34

Episode.1 (part.15) 指名手配

 忍とチアは逃げ惑う村人を奥へと誘導し、悠徒とエリスは爆発音のした村の入り口に向かった。

 村の入り口に先に着いた悠徒は自分の目の前にいる50人を超える大人数の甲冑を纏った兵士と、ローブに包まれた魔道士がいた。

「ここに何しに来た?」と悠徒は眼帯を付けていない左目で睨み付けながら言うと、1人の周りの連中とは雰囲気も衣装も違う魔道士が出て来た。

「我々は国家治安維持管理局、『UBC(|不運な黒猫《UnfortuneBlackCat》の略称)』の第3部隊だ。この村は違法入国者、禁止魔法の使用者および所持者、そして、重大犯罪者を匿ってると判明したため、国家反逆としてこの村を抹消します。」

「なんだと!?村人は一人残らず殺すと言うことだろ?」

「無論だ。村人の中に禁術の保有者が居るのかも知れない。君たちはこの村人ではないと見た。直ちにここから出て行きたまえ。残ると言うのなら君たちも例外ではない。」

 部隊長らしき人は悠徒に最終警告を言うと右手を上げて後ろの部隊に攻撃準備をさせた。

「じゃあ、俺は抵抗させて貰おう。」

「私もこの村の人はあまり判らないけど。村の空気を見て穏やかで優しい人たちが住んでいるって判るもの。」

 悠徒とエリスはそう言うと、悠徒は刀を抜き、エリスは腰に付けているウエストポーチから訓練用ではなく、自前の武器を取り出した。

「馬鹿な選択をしたね。残念だが、この瞬間から君たちは国家反逆者だ。今から取り消すことは出来ないが遺言が必要なら用意する時間ぐらいなら待ってあげても良いのだけど?」

「必要ないさ。負けないからね?」

「馬鹿か!我々は国家治安維持管理局の中でもNo.3の部隊だぞ!お前たち如きの餓鬼にやられる訳が無いだろ!」

 部隊長らしき人はそう言い、右手を前に倒した。

 まず、魔道士部隊が集団大魔法を唱え始め、甲冑部隊が悠徒とエリスを囲むように陣形をとった。

 悠徒とエリスは余裕なのか、甲冑部隊が取り囲むまで全く動かずに作戦の会話なのか談笑なのか解らないような小声で会話をしていた。

 その様子を見た部隊長はおでこの辺りに血管を浮き立たせて、いかにも切れてますっていう感じの表情をしながら魔道士部隊に砲撃命令を下した。

 魔道士部隊が詠唱を唱え終わると悠徒とエリスを囲むように甲冑部隊が円を作った所にすっぽりと入るように魔方陣が形成された。

 そして魔方陣が発動すると地面がいきなり割れ始め、そして奈落の底に落とそうとする大きな穴が出来て、悠徒とエリスは咄嗟に甲冑部隊を飛び越えて抜け出そうとするが、ドーム状の結界が張られてあって抜け出せず、停滞魔法でその場に静止しようとするが穴を掘った土が結界沿いに詰められて蓋を作り、その蓋が穴を塞ごうと下降してきた。

 エリスはピアノ線のような刃で蓋を斬ったがすぐに再生してしまい、悠徒も刀で斬ったがそれもすぐに再生してしまい意味が無かった。

「ヤバイな。このままじゃ生き埋めになってしまう。」

 悠徒は笑いながら言うがエリスとっては冗談じゃないと思っているだろうと悠徒はエリスの表情で見取った。

 悠徒は少し真剣に考えようとした時、紅が提案を出した。

『俺の新しいの力を使ったらどうだ?』

『紅。ナイスアイデア!ありがとな。』

 悠徒は念話で紅にお礼を言うと、右目の眼帯を外して紅を発動させた。

 そして、右目の周りに魔力を集中させた指を紅の指示通りに文字のようなのを書き終わると同時に、悠徒の周りに風が生まれ、悠徒の目が赤色から淡青緑色に変わっていた。

「お前は禁術の保有者なのか!尚更、お前を生かして置くべきではない。魔道士部隊。魔力最大限で対抗しろ。相手は禁術使いだ!」

 部隊長が叫ぶと同時に悠徒は刀に魔力を刀に集中させて風月に一閃を与えた風の刃を纏わせて、蓋目掛けて大振りで刀を振った。

 蓋は真っ二つになったが、すぐに回復しようと引き合わせようとしたが、土の蓋は静かに土を落としていったと思ったら、土砂崩れのように崩れ落ちていった。

「馬鹿な。魔道士部隊全員の魔力で作った物があんな一撃で破壊されるはずが無い。何かの間違えだ。」

「風化って意味知ってるか?その原理で蓋の魔力を吸い出したのさ!」

 悠徒は種明かしをしながら結界を一振りで破壊し、部隊長らしき人の目の前に着地した。

「撤退した方が得策じゃないか?」

「はっ、お前ら如きに撤退したと知れたら恥晒しにも程がある!」

 部隊長らしき人はそう言うと右手首にあったブレスレット型のマジックアイテムを発動させると、ブレスレットは4つのボックス状の浮遊物体になり、4つのキューブは部隊長らしき人の周りを円を描くように回っていた。

「始めに言っておく。俺は|こいつ等のような馬鹿共・・・・・・・・・・・と一緒にするんじゃねぇよ!」

 部隊長らしき人は言葉遣いが荒くなり着ていた服装も赤みを帯びたマントを羽織っていて、部下を罵りと同時に、道化師がマリオネットを動かすような指使いで4つのキューブを動かした。

 4つのキューブは全て独立した1つの物のように動きながら、所々で発光したと思ったら、キューブからレーザーが出てきた。

 悠徒は紙一重に避けていくが、すぐに別のキューブが死角から狙って来て、休む暇も無く動かされた。

「小娘も観てるだけじゃなくて参加しろよな!」と言って、4つの内、3つのキューブを悠徒に、残り1つのキューブがエリスの心臓目掛けてレーザーを放った。

 エリスは一瞬の出来事だったので対応できずに無防備な状態で動けずにいたが、レーザーとエリスの距離が残り1メートルのところで、レーザーが突然、鈍角に曲がり、空に消えた。

「間一髪って所ですね。大丈夫ですか?エリスさん。」

 言葉の主はチアであったが、肝心のチアの姿は何所にも見えない。

 エリスの近くに鏃の長い矢が地面に刺さってあって、その軌道上を辿って行くと500メートル先の民家のベランダから弓を持ったチアがいた。

「あんな所から遠距離射撃をしたのか・・・・あっ、あ、ありえん!レーザーを確実に鏃に当ててレーザーを反射させるなんて不可能にも程がある!絶対無理だ!」と部隊長は叫んだ。

「絶対無理では御座いません。私の眼を使えば造作も無い事なのです。」

 チアはそう言うと、再び弓矢を構え始めた。

 悠徒はチアの発言で、忍たちを呼ぶ際に獣に襲われた事を思い出し、「あぁ」と言いながら納得した。

「2人も禁術使いじゃ分が悪すぎる。」と言い、右手をマントの中に隠して再び出すと、そこには赤い玉を握っていた。

 そして、その玉が光ったと同時に部隊長は部下を連れて消えてしまった。

『俺は3番隊隊長のマッケンス・ハーベルトだ!また会った時はお前たちを処分してやる!』と言うマッケンスの負け犬の遠吠えらしき言葉が虚空に響き渡った。



 翌日、村が襲撃にあった後、悠徒がガルドに連絡をしておったおかげで転送用ゲートを開いて学園に戻った。

 学園に帰った悠徒はいろんな人にジロジロ見られていると思い、何でだろうと思った時、突然、忍が息を切らせて走って来た。

「悠徒!あなた国際指名手配になっているよ!!」

 その一言は周りの空気を凍り付かせた。

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