表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

3話 異世界の食べ物は注意しようね

「…異世界?」





緑の草原を進みながら、ボクはリノンの言葉に耳を向ける。


時折吹く風が、ボクの頬と髪を撫でていって、セットしていない髪が風にたなびいていた。


そんな髪を書き上げて、リノンの顔を見ると、プーっと膨れた表情になっており





「聞いてるの!?」





と言われてしまった。


ええ、ちゃんと聞いてます。





ひとしきり、ボクに注意をした後、スッキリしたのか、自慢げにしながら次の説明を始める。






「この世界はね、イグドラシルって言う大きな大木に支えられた世界なの。人間が住むミドガルズ、神々の世界のアースガルズ、死者の国のヘルヘイムに別れてるわ」



「世界樹ねぇ・・・」



「そう…。それで今から行くのが、ルーンミッドガッツにある首都プロンテラよ」







胸を張りながら、説明を終えたリノンを放置し、ボクは今までの情報を纏めた。


ここが、ボクの知っている世界ではなく、異世界である事。


世界樹という、北欧神話?に近い世界である事。


プロンテラに行って、なにかをするらしいって事。


この世界に来たのは偶然ではなく、必然だったという事。


そして…、何より重要なのが……






くぅうううううう






お腹がすいたって事。






「リノン…。お腹…すいた」






涙目一杯で、右斜め上にフヨフヨと浮いているリノンを見る。


途端に顔を赤くして頭から煙を出したリノンは、






「あ、あそこにある城壁外屋台で食べればいいでしょ!! コレはこの世界の通貨でZゼニーって言うの、大切に使ってよね!?」






と言って、ボクの手に金貨を置いてそっぽを向いちゃった。


なんで臍を曲げるかなぁ~…。









「おじさ~ん、なんかおいしいの!!」






そう言ってボクはその屋台に入る。


出てきたのは、40台くらい?の金髪ダンディーなオジサマ。






「今日はね、フェイヨン産の良いの入ってるからね!!」






そう言ってお待ち!!と出されたのは、白い皿一杯に盛られた円柱状のお肉炒め。


コリコリしてて、それでいてジューシー。


うん、鶏肉の軟骨に似てるかも?


他に入っているカリカリした硬い物も香ばしくてグット!


うん、うまぁああああい!!


その料理を完食した後、やっと機嫌が直ったのか戻ってきた。






「花音…それ、初めてでよく食べれたわね」





うん?おいしいよ?


そう思って、リノンの顔を見るボク


リノンはボクの心が読めたのか、深くはぁ~…と溜息を吐き、地獄へと叩き落した。






「それ…サルの尻尾とサソリの尾の炒め物よ……」






あまりの衝撃に、慌てふためいて吐き戻そうとする。


しかし、その行動は不意に止められた。





「お嬢ちゃん、食べ物は粗末にしちゃいけねーぜ」





ダンディーなオジサマに。


目が笑ってませんでした。すみませんー。








結局、料金の644ゼニーを払ってそそくさと退散したボクたちは、当初の予定通りプロンテラの城壁内へと足を進めた。









城壁に入るまで再度、この世界の事をお勉強。





この世界には冒険者と呼ばれる魔物退治やトレジャーハンターなどを主にしている人と、街中で暮らす人に分かれてるらしい。


冒険者は、それぞれの武器や特性に合わせたギルドに所属して、そこで依頼などを請け負うんだって。


冒険者が所属するギルドは全部で6個。





剣士ソードマンの集まるギルド【無限の剣盾】


弓士アーチャーの集まるギルド【彗眼の狩人】


盗賊シーフの集まるギルド【闇の狩手】


魔法使い(マジシャン)の集まるギルド【魔法の猫宿】


修道士アコライトの集まるギルド【プロンテラ大聖堂】


商人マーチェントの集まるギルド【幾万の金冠】





があるらしい。


で、この上に上位職っていうのもあるらしんだけど…。





「これ以上話したら、あなたがついていけないわね」





とリノンが言っていたのです。


ああ、頭が熱いわ……。


め、眩暈が。





「前見なさいよね!!ボーっとしない!!」





そんな声で、ボクは意識を取り戻し、前をみる。





城壁の入り口は人が多く、数多くの冒険者や商人のキャラバンが出入りしていた。





「で、何処行くんだっけ?」



「だから~。この世界には職っていうのがあってね。冒険者は自分にあった職について戦うのよ。それを調べにいくの!!」





そうでしたー。




「いたいよー!? 頼むから首筋を蹴らないで!!」





少しだけボケてみたボクに、容赦なく蹴りをしてくるリノンを連れて、ボクはプロンテラに入っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ