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エグゼキューター  作者: 結城 春
迷々編
1/24

プロローグ

戦争があった。


 それはまさに地獄のようで、火のように絶望を灯して回った。戦争は、やがて世界を巻き込み、戦争という火は消えることなく広がり続けた。


 度重なる戦い、戦争開始から一年。人々はもうこの戦争は終わらないのではないかと絶望した。しかし、その絶望の果てにキュリアという国が、英雄の活躍もあり勝利を収めやがて戦争は終結した。


 人々は戦争の終わりに歓喜した。だがただの一度の戦争で、取り返しのつかないほどの、たくさんのものを失った。例えば人々、豊かな大地の壮大さ、そして空の色の鮮やかさ、本当にたくさんのもの失った。


 人々は戦争の果てを見て絶望し、後悔し、嘆いた。些細なことから始まった戦争は、人々からあらゆる幸福と自由を奪い去ってしまったのである。


 ならば、二度とこんなことは起こすまいと人々は己の心に誓った。


 それに、また戦争が起きれば、今度こそこの地球ほしが耐えられないと思ったのだ。さすがに、わかりきった災厄を、自ら手繰り寄せようとするような、愚かな人類ではない。


 だが、枯れた世界に住む人々は以前のような暮らしができずにいたのだ。


 飢えた人々は餓死し、死におびえた人々は弱き者から奪い、かくして戦後の混沌は広がり続け世の中は混乱するばかりだった。


 生きるには、また戦うしかない。


 その結末をわかっていても、戦争の傷はさらなる過ちを呼ぶばかりだった。


 戦争は終わっても、まだ戦争の火は消えずに残っている。


 欲望が、生への執着が、あるいは戦争の怨念が、今一度世界に争いをもたらそうとしている。


 癒しを求め、されど求めず。


 ならば火を消し、太陽ひを受けよ。いずれ影の平和は訪れよう。

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