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社会人1年目の夏、プールにて

作者: 恵 家里

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

生活の何もかもが一変した4月から、ホームシックもスプリングフィーバーも乗り越えて迎えた夏

今日は、我慢も遠慮もいらないお金と友人引き連れてプールに来た

大胆なデザインのビキニを用意したあたり、その目的は言わずもがな

互いのビキニ姿を褒めそやして、いざ出陣

さあ、男たちよ、声をかけていらっしゃい


現実は、いつも想像をかいくぐる

流れるプールにウォータースライダー

いくらはしゃげども、お呼びかからず

誰もいない遊泳用プールで浮かんでいると、ブイみたいだと笑われた

言い返そうと口を開く


なー、向こうの流れるやつ行こうぜー

こんなん学校のと変わんねーじゃん


俺は芋になる気はねぇ


男、20代、2人組

かばりと起き上がって声の方を見る


オレは芋で良いけどー?


イケメンきたー

抜群に整った顔立ちにあどけなさが残っているのがタイプど真ん中

身体も程よく筋肉質で、子どもっぽい喋り方とのギャップが堪らない

ああ、今の笑顔、身も心もとろけてしまいそう


一人で行け


イケメンの相方

ぶっきらぼうに見えて、実は友達とかすごい大切にするツンデレくんだ

何より身体のラインが完璧

相当鍛えてる

ああ、あの腕と胸板に挟まれたら、どうにかなっちゃいそう


私と友人は顔を見合わせた

考えていることは同じ、いざ


お待たせー

すっごい人だねー


新たな男の声、3人組?

でも、この3人目、またタイプが違う

頭のてっぺんから爪先まで滲み出る、誠実さと優しさ

声のトーンから話し方まで、人を安心させるために生まれてきたような人だ

中肉中背、顔もそこそこ

先生?医者?カウンセラー?

ああ、彼に褒められて、頭をなでなでされたいいい


もはや私の頭の中では、この3人と親密なお付き合いをするストーリーが完成

行くしかない

目標、連絡先の交換

さあ、私

自分史上最高の笑顔と、愛嬌と、覚悟をぶちかませ


しっつれーーーーい


突如、現れた黒い影

それによって発生した大波に、私たちは飲まれた

何とか水面に這い上がり、とんでもない不届き者を睨みつける

そこには


国民的アニメのN平さん、いや、悪意を持ってデフォルメされたN平さんがいた

その頭が、樹齢100年の幹みたいな首の上に乗っかっている

その下には、はち切れんばかりの筋肉

両肩にメロン

付けてるっていうか、飼ってる


もおーー

レディを置いて先行くとか最っ低よお


その上オネエ

ゴリゴリのマッチョでオネエ

そのゴリオネエと、親しげに話す3人


私たちは、

失恋した

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