大気圧 -3-
もう一押しします。
-2024.7.7成層圏高さを訂正しました。
一桁高く見積もっていました。
著者の知識も一桁間違えていたので、
内容の本質は変わらないです。-
前々稿で重力、前稿で分子運動から大気圧を求めました。誤差が10%台でよく一致しました。どちらのアプローチも筋は良さそうです。
以前、太陽から地球にやってくる輻射と地球が宇宙に放出する輻射が等しいとすると、地表の温度255 Kを得ました。前稿で気体分子の速度を、1/2・m・v^2=3/2・kB・Tの公式から、T=300 Kとすると気体分子の速度は、510 m/sでした。しかし、気体分子の速度は温度の平方根に比例します。300 Kを258 K置き換えても、√(255/300)=0.92倍、つまり、気体の速度は、510×0.92=470 m/sに変わるだけです。
太陽からの輻射と地球からの輻射の熱エネルギーが平衡にたっしたと考えると、気体の速度は、およそ450〜500m/sが妥当だということになります。
前稿で、気体分子の壁に衝突による圧力の計算式を簡略化したので、もう一度書きます。圧力は、面積あたりの力でした。壁に衝突することで、分子は、+vから-vに速度を変えます。壁の面積Sとして、気体の個数密度ρとすると、単位時間あたり壁に衝突する気体分子の個数は、ρ・S・v [/s] です。この頻度で、分子は速度を⒌+vから-vに加速(というか減速)します。加速(減速)度は、2・v× ρ・S・v となります。これに気体の質量mをかけると壁に働く力です。さらに、面積で割ると圧力です。
P=m・2・v× ρ・S・v/S/6
= m・v× ρ・v/3
=1/2・m・v^2・ρ/3
=1/2kB・T・ρ (1)
式(1)の一行目の右辺の6は、この事象が±x,±y,±zの6方向の壁で起こるためです。
さて、上空の高さをhとします。上空を向いた壁の面積をSとすると、質量Mは以下となります。
M=mρghS
圧力Pは面積で割ります。
P= mρgh (2)
式(1)と(2)は等しいので以下を得ます。
1/2kB・T・ρ = mρgh
h=1/2kB・T/m/g
=0.5×1.38×10^(-23)・255/4.8×10^(-26)/9.8
間違い ここから
=3.7×10^4 [m]
=37 [km) (4)
ここまで
訂正後 ここから
=3.7×10^3 [m]
=3.7[km) (4)
ここまで
これはおよそ、成層圏の高さのオーダーです。ここまで出てきた、実験定数は、重力加速度gのみです。gは地球の質量と半径で決まります。温度T、密度ρ、圧力Pを高さによらずに一定というかなり粗い近似ですが、成層圏の高さをざっくり見積もることができました。
2024.7.7追記 ここから
とはいえ、成層圏の高さが3.7kmと富士山並は
低いです。成層圏10〜50kmを考えると、1/3から1/20くらいに見積もっています。やはり、高くなるほど圧力が下がるためです。
ここまで
式(4)において、密度ρは両辺でキャンセルするため、求まりません。従って、いまのところ圧力も未定です。
お読みいただきありがとうございます。
太陽からの熱輻射により、地表の温度が決まります。気体の温度が決まると空気の分子の速度の平均値が決まります。空気の分子の速度と密度が決まると気体の圧力が決まります。これが地球からの重力に等しいとすると成層圏の高さが求まります。空気の密度と圧力が未定(どちらかが決まれば決まる)ですが、地表から上空で温度、圧力が高さによらずに一定であるという仮定で導くことができました。
次は、圧力の高さ依存性にせまります。