表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/26

大気圧 -1-


地球の温度の次は、圧力を考えましょう!

2024.6.9訂正

・ニュートンの核定理→ニュートンの球殻定理


 これから、地表における大気圧を二通りのやり方でときます。ひとつは、(1) 私たちの上空にある空気の重さが圧力であるという考え方です。もう一つは、(2)空気の分子(窒素分子N2と酸素分子O2)が地表の壁(や人の皮膚や頭)に衝突して跳ね返ることから計算します。

 この稿では、(1)を扱います。計算は簡単にすみます。最後に、私たちは上空の空気の重さを直接に受けているのではないことを補足します。


§0. 圧力とは

 単位面積にかかる力です。単位は、N/m^2です。N、ニュートン、は力の単位で、より詳しくは、kg・m/s^2です。1 [N/m^2]=1 [Pa]です。Paは、パスカル、天気予報で大気の気圧として用いられます。

 もしも、地表で50kgの人が1平方メートルの板に乗ったとします。板に加わる力は、質量×重力加速度なので、50×9.8=490 [N]です。この力が1平方メートルに加わるので圧力は、490 [N/m^2]=490 [Pa]です。

 ちなみに、1気圧(地表の平均圧力)は、1013 [hPa]です。hは100倍を示し、hPaは、ヘクトパスカルです。1気圧はおよそ10^5 [Pa]です。


§1. 計算に使うパラメータ

 今回と次回に、別のやり方で大気圧を計算します。あとから、前提を振り返るように、この稿、(1) 私たちの上空にある空気の重さ、で使う数値をあげます。

・重力加速度g=9.8 [m/s^2]

・空気の地表における気体密度ρ=1.2 [kg/m^3]

 上空では密度は低下しますが、この稿ではおおよそ一定とみなせる範囲を考えます。

・成層圏の高さ(の下限) h=10 [km]

 成層圏は空気が対流したりする密度が比較的高い高さです。


§2. 大気圧の計算

 密度ρで、面積S、高さhの質量Mは以下です。

M=ρ・h・S

この重さを面積当たりで受けとめる圧力は以下になります。

P=M・g/S

=ρ・h・g

=1.2×10×10^3×9.8

=1.18×10^5 [Pa]

誤差 16%で大気圧と一致します。この計算では、ρを上空まで地表と同じとして大きめに見積もる変わりに、高さは成層圏の高さを下限に低めにとりました。成層圏では密度は高さに対して指数関数的に減少して、エベレスト山頂(8.8km)で地表の0.3倍まで減ります。今回の計算では密度を高く見積もります。その代わり、密度は低いとはいえ高度10km以上の気体を無視しました。気体密度の高度依存性を考慮すると精度が上がるでしょう。


§3. 補足

 私たちは、大気の重さを直接に受けている訳ではありません。地表の外側の空気は地表に重力を及ぼすことはできません。私にはこの事実を簡単に示すことはできません。ガウスの定理((×ニュートンの核定理→)ニュートンの球殻定理)によると、地表の内側の空間に外側から重力を及ぼすことはありません。

 しかし、空気には地球からの重力が働きます。空気は重力への反作用の圧力で抗じます。その圧力は、流体におけるパスカルの原理に従って、空気を介して私たちに働きます。結果として、私たちの上空の空気の重さと同じ圧力がかかります。

 しかし、上空から重さではなく、気体の圧力によります。その証拠に、私たちは頭上からだけではなく、横からもパスカルの原理による力を受けます。



お読みいただきありがとうございました。


§3. 補足は、少しマニアックな疑問から書きました。私は地球物理を専門としません。専門家から見れば間違い、もしくはどうでもいいことかもしれません。

もしも、地球の中心から大気圏までの質量密度が中心からの距離のみに依存する球対称な分布だとします。このとき(×ニュートンの核定理→)ニュートンの球殻定理によると、ある半径よりも内側の物体に外側の物体が万有引力を及ぼしません。ある半径を地表半径とすると、地表より内側の地面に、外側の大気が万有引力を及ぼさないことになります。このことが気になり、§3. に補足しました。


地球の大気の質量は、M=ρ・h・Sです。先ほどは、圧力への換算のため、面積には具体的な値は必要ありませんでした。試しに、地表の面積Se=4πre^2を代入してみます。地表の半径は、re=6000km=6.0×10^6mです。すると上空の大気(gass)の総質量Mgassを算出できます。


Mgass=ρ・h・Se

=ρ・h・4πre^2

=1.2×10×10^3×4×3.14×(6.0×10^6)^2

=5.4×10^18 kg


かなり重いですね。しかし、地球全体の質量は、6.0×10^24 kgもあります。ガスは地球全体の100万分の一にすぎません。地球の半径6000kmに対して、大気密度がそこそこあるのが10kmしかありません。球体のたかだか600分の一しかありません。テニスボールの半径を3cm(直径6cm)を地球に例えると、50um、かなり薄手のプラスチックラップくらいが大気です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ