平面を敷き詰める正多角形
正則タイル張りの話です。
平面を隙間なく敷き詰めることができる正多角形は、実は限られています。正三角形、正四角形、正六角形の3種類だけです。なぜでしょうか?
(1) 正多角形とは?
まず、正多角形とは、すべての辺と角が等しい多角形のことです。例えば、正三角形はすべての辺が同じ長さで、すべての角が60度です。
(2) 敷き詰め方の考察
次に、これらの正多角形がどのように平面を敷き詰めるかを考えてみましょう。
・正三角形: 6つの正三角形が1つの頂点で集まり、360度をちょうど埋めます。
・正四角形: 4つの正四角形が1つの頂点で集まり、360度をちょうど埋めます。
・正六角形: 3つの正六角形が1つの頂点で集まり、360度をちょうど埋めます。
・他の正多角形の場合
他の正多角形ではどうでしょうか?例えば、正五角形では、頂点の角度が108度なので、360度をちょうど埋めることができません。したがって、隙間なく敷き詰めることができるのは、正三角形、正四角形、正六角形だけなのです。
(4) 角度を計算してみよう
お話しは以上です。以下、正N角形の頂点の角度を計算して、確かめてみます。興味のある方はどうぞ。
頂点は正N角形の中心から同じ距離にあります。つまり、中心を円の中心とすると、正N角形は、円周をN当分します。N当分された隣接する二つの頂点と円の中心を結んだ二等辺三角形ができます。二等辺三角形の円の中心の頂点での角度は、360°/Nです。二等辺三角形の残りの二つの角度は、180°から360°/Nを引いた角度です。この角度が正N角形の角度θです。
θ=180-360/N (1)
N=3、θ=60°、360°/60°=6
N=4、θ=90°、360°/90°=4
N=5、θ=108°、360°/108°=3.33..
N=6、θ=120°、360°/120°=3
N=7、θ=128.6°、360°/128.6°=2.98
N=8、θ=135°、360°/135°=2.66..
です。
この中で、正N角形の角度θで360°を割り切ることができるのは、N=3, 4, 6つまり、正三角形、正四角形、正六角形だけです。
N>7ではどうでしょう。Nが増えるとθが増えます。360°/θは減ります。360°/Nが割り切れるかどうかです。N=6のとき、360°/θは3です。では、360°/θ=2となるNは存在するでしょうか。
360°/θ= 360°/[180-360/N]=2
360°=2・[180-360°/N]
両辺を360で割って以下となります。
1=[1-2/N]
これを満たす有限なNはありません。もっとも一つの頂点を二つのだけの正多角形で囲んでも二次元には広がらないのですが、、。
従って、大きな正多角形を考慮しても、二次元平面を敷き詰めることができるのは、正三角形、正四角形、正六角形だけです。
正多角形の「同じ」形状のタイルを平行移動して隙間なく並べるやり方です。
身近な正多角形の敷き詰め
私たちが日常生活で目にする自然界にも、正多角形の敷き詰めが見られます。これらのパターンは、効率的で美しい形状を作り出しています。
・蜂の巣
蜂の巣は、正六角形の見事な例です。蜂は、正六角形のセルを使って巣を作ります。正六角形は、最小の材料で最大のスペースを確保できるため、非常に効率的です。
・結晶構造
多くの鉱物や化学物質の結晶構造も、正多角形のパターンを持っています。例えば、雪の結晶は六角形の対称性を持ち、美しい形状を形成します。
・タイル模様
自然界だけでなく、人間が作り出した建築物やアートにも、正多角形の敷き詰めが見られます。例えば、モザイクタイルやフロアタイルは、正四角形や正六角形を使ってデザインされています。




