表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

力の話をさせてください


力ってなんだろう。意外に難しい、、。

 「力」という言葉には、魅力があります。しかし、ここで語る力とは、かなり単純な話です。力とは、質量mの物体の速度vを変化させるものです。質量mの物体に、微小な時間dtの間、力Fがかかり続けたとします。それにより、速度がdv変化するとします。このとき、以下でかけます。


F・dt=m・dv (1)

F=m・dv/dt (2)


これが、力Fの「定義」です。「d」はその後に続く文字が現す物理量の「微小な」変化を表します。dvは速度vの微小変化です。時間変化に対する速度変化の割合であるdv/dtは加速度です。式(1)(2)はニュートンの第二法則、運動の法則と呼びます。

 ニュートンの第一法則、慣性の法則によると、他の物体や環境からの作用がない限り、運動は等速度運動を続けます。(1)または(2)で、F=0とすると、dv/dt=0です。vは変化しません、等速です。Fがゼロでない場合、dv/dtはゼロでないので、速度vは変化します。物体の慣性、つまり等速運動を変えたのです。何もしなければ、等速度運動をするはずが、速度が変えることのできる機構が力だというわけです。


 今回の話は基本的にここまでです。以下は、計算に関する話です。


 なぜ、わざわざ、「微小な」をつけるかを簡単に説明します。力は常に同じ値とは限りません。しかし、「微小な」時間の範囲では一定と近似できます。微小な時間ののち最初の速度vは、v+dvに変化すると近似します。dtをできるだけ小さくとり、さらにdt過ぎた後の力から次の時間の速度の変化を根気よく足して、これを延々と続けなさいということです。

 式(1)の書き方は、このプロセスを強調しています。時間dtをdt=0.0000....1秒と決めて、この微小な時間、力Fは一定とみなします。すると式(1)の左辺は決まります。右辺の質量mが与えられていればdt後の速度の変化dvが決まります。それを変化前の速度vに足して速度をv+dvに更新します。物体の場所も初期のxに場所の変化dx=v・dtに足してx+dxに更新します(移動距離=速度×時間です)。さらに時間をdt=0.0000....1秒だけ進めて、Fも新しい場所に応じて変化させて、同じ計算をします。そして、さらに場所と速度の変化dx、dyを求めます。こうして、dx、dvを時間刻み分足すことで、物体の軌跡(例えば星の軌道)や速度が求まります。

 とはいっても、計算が面倒です。時間の微小変化dtに対する速度の変化dv/dtが加速度です。時間変化dtが限りなく0に近づいたときのdv/dtは微分と呼ばれます。これは、「微小な」時間をゼロの極限までとった値です。一度、ゼロの極限までバラバラにした値を再び足し合わせる計算を積分といいます。微分も積分もシステマチックな計算方法があります。わざわざ、dt=0.0000....1秒づつに分けて、電卓でひたすら足し算しなくても良いのです。ただし、微分や積分をすることが難しい関数があります。その場合には、dt=0.0000....1秒づつに分けて、計算します。もちろん、電卓ではやっていられないので、コンピュータにプログラミングして計算させます。



お読みいただきありがとうございました。

注1: ニュートンの第一、第二法則について

 ニュートンの第二法則(運動の法則)、式(2)、によると、力F=0であれば、加速度dv/dt=0であり、等速度運動となり、ニュートンの第一法則(慣性の法則)が成り立ちます。つまり、第一法則は第二法則に含まれると思うかも知れません。

 しかし、座標の基準が加速している場合、その座標から見て見かけの力が働きます。地球の自転による見かけの力、コリオリの力、は偏西風や台風に影響します(全てがコリオリ力によるわけではありません)。加速する電車の中で、ペットボトルの空き容器が転がるのも電車の加速による見かけの力によります。ペットボトルは最初に電車が止まっていたときにいた場所に止まり続ける慣性があります。電車内の人ももちろん同じです。見かけの力は座標系を適切に選べば、式(1)(2)の力Fに入れて構いません。

 一方、ニュートンは、見かけの力が働かないとみなせる、純粋に慣性の法則が成り立つ座標系がどこかにある、と主張して、慣性の法則を第一法則としました。そのような座標系を絶対座標と呼びました。絶対座標が存在するか否かは別としても、ニュートンは、見かけの力の存在を気にして、慣性の性質を大切に扱いました。

 私は、必ずしも絶対座標の「実在」は必要なく、「実用的には」、見かけの力を「無視できる」場合に、慣性の法則が成り立つと、「近似」できる、という主張で十分に思います。でも、絶対座標の実在するかどいかは別として観念の上では認めていることになります。

 見かけの力に惑わされないように、純粋に慣性を強く主張した、ニュートンの「感性」は見事です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] うーん、専門の物理学となると、こんなに沢山の数式が出てきますよね。 私は、中学まで数学は得意中の得意でしたが、「県内最低の普通科の高校」に進学して学校嫌いが激しくなると、他の先生が話しして…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ