教科書の話
自然科学の教科書です。
大学生のころ、どの教科書がわかりやすいか議論になることがありました。教科書といっても、物理や数学や化学、生物の教科書です。今でも、自分の学生時代に何の教科書がよかったという話になることがあります。わかりやすい、わかりにくい、という感覚は私にも分かりました。しかし、「どの」教科書がわかりやすいかなんて、私にはピンときませんでした。
私は、図書室が大好きです。それから、学生生協にも専門書が沢山あります。さすがに、専門書は高額なので、立ち読みですが。
授業で使う教科書を読んで、ある専門知識や数式の導出に手こずることは、しばしばあります。学生というのは、ある一行がわからないと、もう先には進めない性質があります。そんなとき、図書室や生協の本屋さんで、手当たり次第にいろいろな本を読むと、私が手こずったことがいろいろな書き方で書いてあるのがわかります。物理学や数学などサイエンス系の「異なる」教科書に「同じ」数式が載っているのです(研究の最前線の本のように真偽が定かでないものはのぞきます)。
これらの教科書から、自分が手こずったところの記述を手あたり次第に目を通します。すると、腑に落ちる記載のある(あくまでも私にとってです)教科書に出会います。そうやって、つまみ食いをしながら、学習しました。なので、私には、どの教科書が、「わかりやすい」という感覚はありません。あるのは、ある程度、教科書を理解できたあとに、改めて読み直すと感銘する教科書です。しかし、それは、わかりやすい教科書という訳にはいきません。
私のような教科書の学習をすると、授業から脱線します。従って、大学の定期試験は良くはありません。しかし、そのあとの、実習や演習には役に立ったと思います。多分、研究者としてやっていくのにも。
お読みいただきありがとうございます。
注1: 「学生というのは、ある一行がわからないと」
あとから気づいたことですが、わからないまま先を読めるだけ読むのも効果があります。後の話の展開から、わからないところが、全体の何を示すのか、わからないところが間違いだとすると後の展開が変わってしまうのか、などが見えると、見通しがよくなります。
注2:
私の学び方は、あくまで一例に過ぎません。教科書を通じて知識を深めるプロセスは、私にとっては有効でしたが、これが全ての人にとって最良の方法とは限りません。学び方は、個々人の興味、経験、そして理解の仕方によって異なります。私たちが共有するのは、知識への探求心と、それを身につけるための情熱です。教科書のページをめくる手が、新しい世界への扉を開く鍵となることを願っています。