IFストーリー① 9 闇の世界へ、ようこそ。
僕は転生した。
影片 星夜として。
僕は、ウィリアム。
僕の生きた記憶は鮮明に覚えている。
闇の中で、繰り返し記憶を辿る。
星夜としての自我には勝てなかった。
ウィリアムとしての記憶の意識は弱かった。
星夜は僕だけど、僕じゃない。
僕は星夜の闇の中で傍観者となった。
星夜は、僕と違い生まれてから自由だった。
制限の中で自由だった。
僕とは違う。僕は制限の中で自由を選びきれなかった。星夜は、ずっと欲望に忠実だ。
僕の新しい人生は、僕が欲しかった自由を掴んだ。星夜という僕ではない僕。
ローズマリーを見つけ出すなんて無理だった。
ローズは、どんな人生を歩んでるんだろう?
ある時、星夜がローズを見つけた。
ローズではない女。
星夜は、記憶の中の僕とは違う。
星夜は、ローズを手放した。そして精霊王へと導くように、僕のローズを起こした。
ローズは、僕が見えていない。
僕が刻んだ首輪を星夜が外してしまった。
僕とローズの縁が切れてしまった。
ローズ…僕はココに居るよ…。
僕の存在は消えてしまうかな…。
闇に溶けて星夜の一部になるんだ。
ふわふわと闇を彷徨う。
星夜の中の闇は、心地良かった。
全てを包む様な感覚だった。
そんな闇の中で、声が響く。
懐かしい声が。
「ウィル。見つけてくれないから、私が来てあげたわよ。私のウィルへの首輪は外してあげないんだからねっ。」
僕だけのローズだ。
愛しい愛しい僕だけのローズ。
「ごめん。また君が僕を見つけてくれたね。
僕の大好きな、男前のローズらしいね。
僕と永遠に今度は闇に溶けてくれるかい?」
ローズが微笑む。
「そのつもりで来たのよ。
ウィリアムとローズマリーは永遠に首輪で繋がってるの。闇の中で、私達はずっと一緒よ」
そして、二人は抱き合う。
唇を重ね絡み合い。闇の中へ溶けていく。
星夜の、深い深い漆黒の闇の中へ…
星夜の愛が二人を包み込むように…。
IFストーリー① ー完ー