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IFストーリー① 5 混沌がやってくる


数週間経った頃。

バランサーが、やってきた。


「また、直々に来たんですか?

厄介な事とか言わないでね。」


そう言いながら、ソファーに促す。


「ちょっと長くなるがいいか?」


長いって、なんか大きく動かす気かよ。

何か、面倒そうだ。

楓に、酒を出せと言ってバランサーに視線を戻す。


「酒でも飲まねぇと聞いてられなそうだ。

俺に長い話なんて、人にとっては嫌な時代になるって事か?」


そう問うと、楓がテーブルにワインを置いていくのを確認してから話し始めるK。


「魔王。オマエは、この世界を何処まで把握してる?人の本質や在り方、オマエはどう見てる?」


厄介な話だ。

言葉とは、厄介で複雑だ。

こちらの真意は、受け取り手次第で解釈を捻じ曲げる。


「なんだ。難しい話をしに来たのか?

俺の意見なんて聞く意味があるか?

この世界の俺は、いわば駒だろ。

この世界には必要な癖に、排除したがる。


美味しい所は、全て聖王が掻っ攫う。

そうやって出来てる世界だ。


俺だって半分は人間だ。

その心理は分かるつもりだけどな。


この世界の絶対的な流れを人は知らない。

夢や希望や光ばかり見て、己の中を見ない。

絶望から気付きを得て考え行動し振動を与えなきゃ己の流れは変わりはしない。


そうだろ?

俺に何を言わせたいんだ。」


そう答えると

ワインを一口飲んで


「確かに、私達は駒かもな。

結局は、人間次第だ。そして私も人間だ。


調和を求めても、どうしても飽和してしまう。

幻想の恐怖や不安では人は変わらない。


実際に危機的状況に陥って始めて考え出す。

大多数の人間がそうだし、この世界の真理でもある。


習慣化された日常は、一つの個体にリズムを刻む。間違いと気付いた時にリセットするのは難しくなる。


唯一、正せるとしたら危機的状況だ。

今までの日常を変え新たなリズムを刻んで流れを変える。


私は、賭けに出たい。

全ての機能を停止する。

混沌が生まれるだろう。


この世界の流れさえ、幾つもの流れの渦が出来るだろう。


無秩序に近い状態で放置すれば、あちこちで破壊が始まる。

暗黒の時代とも言えるかもな。


闇に呑まれる者が出てくるだろう。

魔のエネルギーに蝕まれる者も。


あちこちで、自分の欲望のままで振る舞う悪が生まれて行く。


新しい光を植え付ける。

新たなる善の誕生だ。


魔王には、魔のエネルギーに蝕まれる者の中で理性で争う者や闇に呑まれるのを必死に耐える者を救って欲しい。


直ぐに身を委ねる者は、救わなくていい。

己の考える自由を捨てた奴に温情は要らない。」



結局、押し付けかと思った。

何でも闇に放り込むなと思ってしまう。


「世界を根底からひっくり返すか?

新たな善は、人が決める訳ね。

思考停止してる奴等は混沌に呑まれて自滅しろってか。


思考停止にさせたのは誰だ。

まったく勝手だな。


闇に押し付けて解決か?

ほんと、喰えねぇな。


魔の世界の仕事は、人助け。

笑えるよ。


必死で耐える奴等をコッチで保護しろと。

魔王は、人間の保護者かよ。


結局は、光の世界を世界の真理を掠めた奴等が耐えるんだ。


そして闇に抗うんだよ。

そいつらは、闇の真実をどう捉えると思う?

絶望感かもな。闇を嫌ってたのに、こんなにも己の中に闇があったのかってな。


受け入れられる者ばかりじゃない。

受け入れなきゃ闇に呑まれろって?


己が創り出した闇に呑まれろと。

残酷だな。


闇は恐怖じゃない。

恐怖として植え付けたんだろ?


その幻想が人間を苦しめる訳だ。

茶番だな。反吐が出る。


あ〜、これは人間としての俺の意見だ。

人間のオマエが受け止めろ。


コッチも駒だ。

オマエが、やれって言うならやる。


面倒だから、対象者は勝手に魔の世界へ迷い込ませるからな。

大忙しだよ。見返りはあるのか?


ここ数週間の暇だけじゃ割が合わないからな。」



人としての星夜の怒りを、ぶつけてやった。

言っても仕方ないが言いたかった。


自ら進んで、魔に取り込まれる欲深い者なら自業自得だが、混沌の世界では話は別だ。


流されてしまってただけの、基本は善人までもが呑まれる可能性を秘めてるからだ。



「すまない。

星夜くんの怒りは受け止めるよ。

魔王として動いてくれる事に感謝する。」


そう言って、深々と頭を下げられた。


「もぉー、いいよ。頭上げろよ。

この世界を俯瞰したら、それがベストなんだろ?

オマエさんも、個人的には思う所があるんだろ。

感情はあるもんな。殺してんだろうけど。

俺達の役目は、何かの罰かもな。」


Kは何も言わず、残りのワインを飲み干して帰って行った。


大きく溜息を吐いて楓を呼ぶ。


「お〜い。

聞いてただろ?忙しくなるぞ。

下準備だけするかぁ〜。

また、魔力をギリギリまで使い切ってしまいそうだよ。

神徒もフル動員ですからね。

今のうちに自由にさせてやらなきゃな。

なるべく、魔の世界への迷い人は地上に帰すぞ。

魔の世界全体の時の流れを止めなきゃな。

こっちは耐久戦だけど、人に負荷をあんまり与えないようにしろ。

肉体がもたなくなる。


いいか。俺の独断と偏見で、魔の世界へ招待するからには救えよ。

最初から駄目そうな奴は弾く。

地上で自滅して貰おう。


神徒達への説明は、頼んだ。

俺は次元壁に細工してくる。

後で、迎えに来て。多分、ぶっ倒れてるから。」



そう言って、2人でゲートを潜る。

それぞれの役割をこなす為、別れる。


次元壁に触れながら、魔力を込めて細工する。

物理的に迷い込む者、精神だけ迷い込む者それぞれに合わせて細工する。


物理的に迷い込む者の相手は神徒達に回し

精神に迷い込む者は、俺と楓で補う。


精神が迷い込むなら、同時に何箇所にも存在出来るからだ。

俺の魔力が心配なだけだ。


細工し終わる。

フラフラしたが、歩けなくは無い。

自力でゲートまでフラフラしながら歩いてると楓が迎えに来た。


俺を抱えてくれる。

性別を自由に変えられる利点だ。


「迷い人が来るのは先ですが、混沌が始まる前から来てしまう者も居るかも知れませんので、交代で自由にさせました。


大丈夫ですか?

今日は、私が抱いてあげますよ。」


そう言って妖艶に笑う。

男の楓でさえ、美しい顔で男でもいいかなんて思ってしまう。俺もヤバいな。


「なぁ〜、楓。

どれ程の人間が迷い込むかな?

俺の魔力はもつのかな?

闇と繋がれば無限か…。

覚悟の問題かな。」


とてつも無い睡魔に襲われて意識を手放した。







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