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IFストーリー① 2 地上の本拠地


影片家は、財閥だ。

影片グループという娯楽施設全般の子会社を抱える、土台は投資家だ。


最大の資金源は、エネルギー。


この世界の、エネルギー源は負のエネルギーだ。

人間の負の感情のエネルギーは無限に湧いてくる。


そのエネルギーを資源に変えるのも魔王の魔力の賜物だ。


エネルギーと言う資源を牛耳る影片家は、魔王になる者以外は恵まれた人間という事だ。


だから、俺は人間としては道楽息子。

働かず遊び呆ける嫌われるタイプの人間だ。


人との縁は気薄になる。


俺に、取り巻く奴は基本的に欲深な人間だ。

利益として人を見るタイプだ。



別に、それが悪いとも思わない。

賢いとさえ思うからだ。


勿論、こっちも人は選ぶ。

周りに置くのは、お気に入りで揃えたい。


己の闇を受け入れ認め隠さない奴がお気に入りだ。


案外、少ないが居ないこともない。


己の欲望を全面に出せる勇気がある者は人間社会においては異端児かも知れないし、変わり者なのだろう。



とある一等地のマンションの最上階。

地上では、高い所がいい。


世界の深淵に座してると、地上では太陽の近くに行きたくなるのだ。


俺の地上の本拠地。

俺の住処で居場所。


魔の世界とのゲートも存在し、行き来は自由。

魔の神徒の一人で、俺の執事の様に付き従う者、かえでと一緒に住んで居るのだが。


俺を好き過ぎるのが難点でもある。

中性的容姿の神徒は、性別は自由自在。

基本、地上では男の形態を取っているのだが隙あらば、密着するから困る。


綺麗過ぎる容姿だからこそ、いちいちドキっとしてしまうのは秘密である。



今は夜、リビングから繋がるバルコニーへ出てソファーに座りながらワインを飲んで居た。


夜空を見上げながら


「都会は明る過ぎる。星が綺麗に見えない。

たまには、大自然の別荘でもいくかぁ〜。」


と言う俺に


「恐れながら星夜様。

直ぐは無理ですよ。やるべき事はやって下さい。」


冷たく言うのは、楓だ。


そう、定期的に地上に溢れる負のエネルギーを吸い上げエネルギー資源に変える訳だが。

これが魔力を大量に使うもんだから2日位、俺は使い物にならなくなる。


魔力の使い方が、まだ未熟だからだ。


「分かってるよ。

今日の楓は冷たいな。

何か怒ってるの?俺なんかやったっけ?」


怒らせた覚えはないけどなどと思っていると


「さっき、尋ねてきた女は誰ですか?

自宅を知ってるとは、随分と親しい方なのかしら?私は、存じない方ですが。」


何?妬き持ち?


「なんだよ。妬いてんのか?

部屋に入れた訳でもないけどな。

あの女は、夜の店の子だよ。

ストーカーを黙らせた御礼を持ってきただけ。

オーナーに、自宅を教えるのは無しだって言わなきゃな。

いつも、押しかけられたら面倒だ」



夜の街を、取り仕切る夜の帝王さんには頼まれごとが多い。


負のエネルギーと魔のエネルギーが作用し合い。

人間は理性を手放してしまう大きな犯罪を犯す前に魔のエネルギーを取り除いてやる事も多い。


夜の街は、欲望を満たすエネルギーが溢れてプラスに作用する反面。

負のエネルギーが溜まった人間に魔が入り込む隙にもなっている。


そんな訳で、夜の帝王さんとは良い関係を保っている。

裏の大元締が影片家ってのもあるのでズブズブとも言える。



「いつの間に、そんな仕事入れたんですか?

聞いてませんけど。私に内緒で夜の街へ行ったと?」


ますます怒る楓に


「オマエは彼女かっ!

俺が何をしてても俺の勝手でしょ。

勝手に妬いて勝手に怒るの辞めろよ。

ウザいぞ。ぷんぷんしてないでオマエも飲め。

酒が不味くなる。

酒は、楽しく飲むものだ。」


それを聞いた楓は、怒り顔は崩さず無言で、俺のグラスをぶん取りワインを満た満たに注いで一気に飲み干した。


「星夜様は、意地悪ですっ。」


俺は、溜息を吐き


「オマエさ〜。

そういう可愛いセリフは女になって言えな。

萎えるぞ。キモいし。


それに、飲むならグラス持ってこいよ。

ボトルも、もう一本持って来い。」


楓は、言われるがままにキッチンに向かった。

戻ってくると、ワインやグラスの他につまみになる様な食べ物をワゴンで運んできた。

気が利く奴だ。

そういう所が気に入って一緒に住んでる。


「星夜様。失礼しました。

私とした事が、配慮に欠けましたわ。

星夜様を愛してやまない余りに、女一人に目鯨立てて、お恥ずかしい。お許し下さい。」


そう言う楓に視線を向けると律儀に女になってた。

ワインを注いでやりグラスを手渡す。


「まったく、謝るなよ。

さっきも言ったけど酒は楽しく飲むの。

分かった?オマエも機嫌直せ。

俺は基本的に楽しく生きて楽しく仕事をこなしたいの。

オマエは、俺を甘やかすだけでいい。

楓。オマエは俺の、お気に入りだよ。」


そう言って乾杯した。


魔の神徒なんて言っても、感情を持ってる。

善悪の区別はしないが好き嫌いはハッキリしてるし己の欲望も理解している。

偏らない為に己で己の調和を取れるだけで、人と変わらない感情はあるのだ。

その想いをストレートに伝えてくるので、付き合うのは大変だ。


「星夜様。

では、甘やかす代わりに私にもご褒美を。」


楓が対価を求めてきた。


「ほぉ〜。ご褒美を請求するとはね。

オマエの俺への愛は無償じゃねぇのかよっ。


何が欲しい。」


俺の問いに、言葉では答えず

俺の唇を奪ってくる。


頭が、クラクラする。

楓のキスは欲望を掻き立てる魔薬だ。

全てを持ってかれそうになる。


「おいっ。

まった!たんま!

危ねぇ〜。まだ甘やかされてねぇし。

ご褒美もクソもあるか〜。

それは、反則だからな。

俺の気持ちガン無視は辞めろよ。

俺は俺が抱きたいと思った時に抱きたいの。

勝手に奪うなっ!」


魔の神徒は、存在自体が妖艶な美しさで人を惑わせる力がある。

地上にいる時は、魔力を綴じる事で人に擬態する。


しかし、キスなどの接触は魔薬だ。

こっちの理性は効かなくなる。

快楽に堕ちる事が悦びとなってしまう。


一晩の夢と割り切れれば良いが

忘れられずに執着すれば身の破滅だ。


一人の人間を欲望の中に堕とし従わせるのは、恐怖での支配より裏切りが無いとも言える。

快楽に溺れた者は、這い戻ると言う苦行よりも快楽を選んでしまうからだ。


人間とは綺麗な者ばかりではない。

自らの選択で完全悪に染まる奴は居るのだ。


利用価値があるなら利用するが

場合により破滅させる事もある。


この世界から一度、離脱させた方が早いからだ。


完全なる聖なる者にはなれない癖に

完全なる悪なる者にはなれちゃう皮肉。



魔力を大量に使って弱ってるなら、魔力補給に持って来いだが、元気な時の俺でも楓のキスは魔薬にしかならない。


楓の奴が、妖艶に笑う。

俺を依存させたいと言う楓のお遊びだ。



隙あらば、俺を魔の世界に縛ろうとする。

閉じ込めたいとは狂気的な愛だ。





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