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嫌な予感  

 


 そして、食べ終えたら。


 分太から。

 一斉送信メールが。

 送られてきたので、確認する。


 『とにかく、 “見舞いに行く日” を、決めようぜ!』


 『でも、日時の調節が、議題なんて。

  変な感じだね』


 僕が、素直な意見を送ると。

 すぐに、返事がきた。


 『なんだよ! なんか、文句あんのか?

  議題は、なんでもいいだろ。

  相応しくない、とでも言うのか?』


 『いや、そうじゃないけど。

  なんか、違和感があって。』


 『日時の調節が、議題として。

  相応しくない、ってんなら。


  どんな、見舞い品を持っていくか、について。

  話し合ったって、いいんだぞ。』


 僕は、相応しくないとは、言ってないんだけど……。


 まぁ、いいや。


 けど、このままだと。

 また、ケンカになりそうだから。

 慎重に、返信しないとな。



 なんて、返信しよう?



 しばらく、考えたが。



 思いつかなかった。



 今の分太には、なんと返信しても。

 怒らせてしまいそうだ。


 でも、返信しないとな……。


 いい言葉は、思いつかないが。

 さらに、考えていると。


 泰樹から、一斉送信で。

 メールが届く。


 『分太は、ただ、一刻も早く。

  心音さんに、会いに行きたいだけ、なんじゃないの?』


 えっ。 そうなの?


 僕には、分からなかったけど。

 泰樹には、分太の心情を、理解できたようだ。


 『悪いかよ!

  会いに行きたいに、決まってんだろ。


  いつでも、会いに行けると、思っていたが。

  この前、勇大に言われて、気づいたんだよ!


  今、会いに行かねぇと。

  一生、後悔するかもしれねぇって。


  勇大が、あせらせる から、だぞ。

  責任とれよな!』


 分太の送信した、文を見て。


 泰樹の察した、心情が。

 事実であると、確信する。



 「そんなこと、言われてもなぁ……」



 ふと、呟くと。


 優介から、一斉送信メールが届く。


 『でも、俺は。

  勇大の言う通り、だと思う。


  だから、あせる気持ちも、分かる。

  当たり前の日常なんて、存在しないから。』


 『優介。

  怖いこと、言うなよな。

  嫌な予感、するだろ。』


 『心音さんだけ、じゃない。

  皆、いつ、どうなるか、分からない。』


 『だから、脅すなって。


  とにかく、今は。

  面会日を、早く決めようぜ!』



 しばらく、優介と、泰樹のやりとりを見て。

 優介の、過去のことを、思い出し。


 優介が言うからこそ、説得力があるな、と思った。

 けど、泰樹の反応からして。


 そう思えるのは。

 僕と分太だけなのかも、しれないな、とも思った。



 『そうだな。』


 分太が、返信して。


 『もちろん。

  土曜か、日曜だろ!


  先に言うが。

  俺は、日曜、希望で。』


 『了解。 皆は?』


 泰樹と分太が、やりとりしていた。


 『僕は、どっちでも、大丈夫。』


 そして、僕が、返信した。


 『分かった。 あと、残りのやつは。

  個人的でも、いいぞ。


  それと、時間は、いつも通り。

  10時で、いいか?


  悪いやつ、いたら。

  これも、個人で、構わねぇから。


  連絡してくれ。


  じゃあ、日時、決まり次第。

  また、連絡するから。


  各自で、確認してくれ。


  じゃあ、また。』


 日時の調節は。

 分太が、引き受けてくれる、みたいだ。




 それから、時計を見ると。 

 もうすぐ、昼休憩が、終わりそうになっていた。


 もしかすると、分太は。

 だからこそ、強引に、引き上げたの、かもしれない。






1週間後。



 昼休憩になり。

 分太から、一斉送信にて。

 メールが届く。


 『心音さんの、お見舞い行く日の。

  日時が、決まったぞ!



  6月25日の、10時だ。



  それと、心音さん家に行くのが。

  10時だから。


  公園には、9時30分に、集合だから。

  そこんとこ、間違えるなよ!


  いいか。 今回は、皆、対象のうえ。

  時間と公園も、違うから。

  注意しろよ!


  公園は、心音さん家の近く、だからな。


  もし、10時に。 

  いつもの公園に、集合するやつがいたら。

  おいて行くからな!』


 ということは。

 いつもより、早めに。

 洸希を、迎えに行かなきゃ、だよな。


 早起き、頑張ろう!


 それと、 “心音さん宅の、近くの公園” だよな。


 間違えないように、しないとな! 


 『了解!』


 僕が、返信しようとしたら。

 泰樹が、真っ先に、返信していた。


 『分かった。』


 続いて、僕も、返信する。


 『分かったわい。』


 次に、秀寿さんが、返信していて。


 『分かった。』


 珍しく、最後に。

 優介が、返信していた。



 そして、翌日の、昼休憩になり。


 優介から、一斉送信メールにて。

 メールが届く。


 『勇大。

  心音さんのお母さんに。

  日時の報告と、向こうの都合も、聞いておいてね。』

 

 そうだ!

 僕らの間だけで。

 日時を決めて、納得していたけど。


 訪問先である、

 心音さんのお母さんの、都合のほうが。

 肝心である。


 僕は、それに、気づかなかったのに。

 優介は、さすがだ。


 それにしても。

 僕、個人のメールで送っても、よさそうなのに。


 どうして、一斉送信したんだろう?



 まぁ、いいや!



 『分かった。

  優介、ありがとうね。


  じゃあまた、心音さんのお母さんに。

  連絡したら、報告するね』


 僕が送ると。


 『おう! 待ってるぞ。』


 すぐに、分太から、返信がきた。





 翌日。



 昼休憩になってから。


 職員室に行き。

 昼ご飯を、急いで食べて。


 トイレに行き。


 洗面台の前で。

 大きく、深呼吸をしてから。


 心音さんのお母さんに。

 電話をかける。 


 『もしもし』


 『もしもし、あの……。

  心音さんの、お母さん、ですか?』


 久々の電話だ、ということ、と。

 いよいよ、皆と。

 お見舞いに行くと、告げることの。

 緊張からか、改めて、確認してしまう。


 『はい。 どうされました?』


 『いや、あの……。

  今度、心音さんのお見舞いに。

  6人で、伺っても、よろしいでしょうか?』


 『もちろんです!

  お待ちしています。』


 『よかった……。』


 安心して。

 つい、心の声が、漏れてしまう。


 『あっ! 

  それで、日時ですが。


  6月25日の、10時でも。


  よろしいでしょうか?』


 『はい、分かりました。

  うちは、いつでも、いいですから!

  さっそく、心音にも、報告しますね。』


 『ありがとうございます。

  では、僕も。 皆に、伝えておきますので。』


 『はい、よろしくお願いします!』


 『はい。 こちらこそ。

  よろしくお願い致します。 


  では、失礼いたします。』


 『失礼いたします。』


 電話を切る。



 そして、一気に、全身の力が抜けて。

 洗面台の前に、しゃがみ込む。


 「よかったー」


 安心して。 ふと、呟くと。



 「うわっ! びっくりしたー。

  なにしてるんですか?」


 急に、背後から、声がしたので。

 振り向くと。


 そこには、先輩の先生が、立っていた。


 僕は、怪しまれたらマズい、と思い。

 急いで、立ち上がり。


 「なんでも、ないです。

  失礼します!」


 そう言って、慌てて。

 先輩の先生の、横を、すり抜けて。

 外に飛び出した。





 そして、職員室に戻り。

 自分の、席に着いてから。


 一斉送信メールにて。

 皆に、報告する。


 『みんな。

  今、心音さんのお母さんに。


  許可を受けた、うえで。

  日時を伝えたら。


  お待ちしています、って。


  許可、もらえたから!


  安心して。』


 嬉しい気持ちを。

 そのまま、素直に伝えたら。


 文が、変になったけど。


 まぁ、いいや。


 許可を得て。

 お見舞いに行けること、さえ伝われば。

 それで、充分だ。




 面会日まで、約1ヵ月あるが。




 “今度は、他の仲間も、連れて来ますね”



 あの日の一言が、ようやく実現する。

 そう思うと、胸が高鳴った。




 『分かった。

  ありがとな。 勇大。』


 分太から。

 返信がきたのを、見届けて。


 僕は、仕事に戻った。








 6月19日。




 もうすぐ、面会日で。

 心音さんと、皆に会える!


 そう思うだけで。

 朝から、心が躍っていた。




 今日は、早めに、仕事が終わった。




 19時。



 帰宅後。 



 早く帰れて、嬉しいはずなのに。

 なんだか、落ち着かなかったが。


 とりあえず。

 ミニテーブルの前に、腰を下ろして。


 テレビでも、見ようかと。

 リモコンに、手を伸ばして、触れた直後。



 「痛っ!」



 左胸に、痛みを伴った。

 一発の、強い拍動を感じた。



 「心音……さん?」



 嫌な予感と共に。

 この、痛みを伴った、拍動が。


 僕が倒れた、あのときの痛みと。

 似ているような、気がして。


 

 心音さんを、意識してしまう。



 ……皆は?



 もし、このことが。

 心音さんと、関係しているのなら。


 皆にも、なにかしらの。

 影響がある、かもしれない。


 そう思い。

 携帯電話を、手に取ると。



 プルルルルル…………。



 直後に、携帯電話が鳴った。


 「うわっ!」


 タイミングが、よかったのと。

 嫌な予感をしていた、緊張感からか。



 大げさに、驚いて。

 携帯電話を、落としてしまう。



 そして、鳴り続ける、携帯電話を。

 恐る恐る、拾って。




 “心音さんのお母さん”




 表示された、名前を確認したら。

 嫌な予感が、増した。




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