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強制

 


 翌日。


 昼休憩になり。


 昼食を食べていると。



 優介から、一斉送信メールにて。

 メールが届く。


 『集合する日だけど。

  いつにする?


  皆は、土曜日と日曜日。

  どっちが、都合、よさそうかな?』


 さっそく、返信する。


 『僕は、どっちでも。

  大丈夫だよ!』


 すると、待っていた、と言わんばかりに。

 優介から、すぐに返信が届く。


 『分かった。

  皆は、どう?』


 分太が次に、返信する。


 『俺も、どっちでもいいぞ!』


 次に、秀寿さんから。

 メールが届く。


 『今週末なら、我は。

  不参加で、いいかのぉ』


 そして、2人のメールに。

 優介が、返信していた。


 『分かりました。』


 これで、あと。

 返信していないのは。

 洸希と泰樹だけ。


 そう思っているのは。

 きっと、優介も同じはず……。



 それから、しばらく。

 一斉送信メールでの。


 連続のやりとりが、途絶えたので。


 僕は、昼食を食べ進めた。


 そして、食べ終えてから。


 ふと、考えた。


 もしかして、今週末に。

 皆を集わせることで。

 今週末に集まることを、強制していないか?


 皆で、せっかく。

 強制はしないように! って。

 徹底してきたのに。


 今回の僕は。

 そのことを、強制しているんじゃないのか?


 急に不安になり。



 気づけば、優介に電話していた。


 『もしもし。 どうしたの?』


 『ごめん。 忙しいのに。』


 『今は、大丈夫だよ。

  どうしたの』


 『あのさ!』


 勢いで、電話してしまって。

 言いたかったことが。

 まとまっていないのと。


 言いたいことが。

 あったはずなのに。

 求められると。


 怯んでしまう。


 あれ?

 なんでだろう。


 そして、初めて電話する、わけじゃなく。

 もう、何度も会っているのに。


 言いやすい、相手のはずなのに。


 緊張していた。


 なんで、こんな気持ちに、なるんだろう?


 『今週末、集まること?

  やっぱり、抵抗ある。 っていうか。

  高頻度なんじゃないかって、思ってる?』


 しばらく、沈黙なままでいる、僕を察して。

 優介が、やさしく声をかけてくれた。


 『うん。 それと。

  やっぱり、泰樹とケンカしてまで。

  集まる必要、あるのかなって、思って。


  そもそも。 そのこと自体。

  強制してしまっている、気がして。


  気づいたら。

  なぜか、優介に電話してた』


 『なるほどねぇ。

  たしかに、頻度が高いとは、思うけど。


  心音さんに、恩返ししたい、と思っているのは。

  皆、同じだから。

  集まること自体はいい、と思うんだけど。


  泰樹が言うように。

  してあげるられることは、なにもない。 

  っていう気持ちも分かるし。


  難しいんだけど。


  勇大のように。

  心音さんのためにって、考えるだけでも。 

  恩返し出来ている、気もするんだよね。



  たしかに、いつの間にか。

  強制することは禁止! っていうのが。

  暗黙のルール、みたいになっていたし。


  そうさせてしまったのは。

  俺なのかもしれないけど。


  でも、俺は、今回の招集が。

  強制的だとは、思わないんだよね。



  勇大の、焦る気持ちは、分かるから。


  永遠の生命いのちなんて。

  存在しないんだから。


  そのときが。

  いつ訪れるか、分からない、からこそ。

  焦るんだと、思うし。


  予期せず、急に。

  そのときを。

  迎えてしまうこともあるから。


  後悔しないように。

  尽力することは。

  いいことだと、思うよ。



  それにもし、勇大が言うように。

  強制的に、皆を集めたんだ、としても。

  そこは、誰も、責めないんじゃないかな? 


  責めたり、指摘もしない、だろうし。

  当たり前のように。

  皆、集まってくれる、と思うよ。


  予定がある場合は、仕方ないけど。

  それ以外はね!


  とはいっても、指摘されることは。

  あるかもしれないけど。


  責めることは、絶対にないと思うよ。


  もちろん、皆、それぞれ。

  思うことは、あるだろうけど。

  最終的には、勇大の望みを、叶えてくれると思うよ。


  だって、俺のせいで。

  皆、警察署まで行くはめに、なったのに。


  迷惑、かけてしまったのに。 

  だれ1人、俺を責めなかった。


  それどころか、必死になってくれたから。


  今回もきっと。

  勇大のために、尽力してくれると思うよ』


 『だって、あのとき。

  優介は、なにも悪くなかったから。


  必死になって、当然だよ!


  でも、今回の僕は、強制という。

  従わせるようなことを、してしまっている。


  これは、悪いことでしょ』


 『考えすぎだよ!


  俺は、さっきも、言ったけど。


  強制だとは、思わないし。


  もし、勇大が。

  今回、招集かけたことを。

  強制だ、と思う人が、いたとしても。


  焦っているから。

  早く、結論を出したいが故、のことでしょ。


  勇大は、話し合いたいだけ、なんでしょ。


  だったら、それは。

  強制じゃなくて。


  集まるための手段、であって。


  それが。

  勇大の、心音さんに対する、気持ちで。

  心音さんのためを、思ってのこと、なんでしょ。


  だったら、強制だと。

  思われようが、思われまいが。


  間違ったことは、なにもしていないんだから。

  誇りに思っていい。 と、俺は思う!


  それに、あのとき。

  俺が、悪くなかったのかは、分からないけど。

  迷惑かけたのは、事実だし。


  たとえ、俺が悪いとしても。

  皆は、俺を。

  絶対に責めない、と思うんだよね。


  だから、勇大のことも。

  誰も責めないだろうし。


  それぞれの意見を、言うことはあっても。

  やっぱり、集まってくれる、と思うから。


  心配しなくて、大丈夫だよ。


  それから、誰かがした提案を。

  捻じ曲げよう、なんて思う人は。

  1人もいないから。


  それに、頻度は高い、かもしれないけど。


  それほど、勇大が、焦っているのは。

  皆も知っているから。


  そのことを、知ったうえで。

  勇大の力になりたいと、思うはずだから。


  きっと、泰樹とも。

  仲直りできる、と思うよ。



  ケンカしたまま会うのは。

  気まずいかもしれないけど。


  それも、最初だけだと、思うし』


 優介の言葉が胸に沁みた。


 そして、優介と、話してから。

 不安な気持ちが。

 いつの間にか、吹き飛んでいた。


 『優介。 ありがとう。


  おかげで、不安な気持ちが。

  一気に、吹き飛んだよ。


  やっぱり、優介に、電話してよかった!』


 『本当に?


  そう言ってもらえると。

  こっちも、嬉しいよ。


  こちらこそ、ありがとうね!』


 『なんで、優介が。

  お礼、言っているの?


  ……まぁ、いいや。


  昼休憩、もうすぐ、終わるよね。


  長くなって、ごめんね。


  大丈夫? 間に合いそう?』


 『うん。 大丈夫。

  なんとか、するから。

  じゃあ、またね』


 『またね』


 そして、電話を切った。


 時間、ぎりぎりに、なっていないかな?

 大丈夫かな……。


 そんなことを、思いながら。

 腕時計を見て。


 僕も、当然。

 昼休憩が、終わる時間。

 ぎりぎりなことに、気づいて。

 慌てて、授業の準備をしたが。


 今日の5時間目は。

 担当クラスの、授業がないことに、気づき。

 ホッとした。




 それから、仕事が終わり。

 帰宅して。


 携帯電話を見ると。


 洸希から。

 一斉送信で、メールが届いていたので。

 確認すると。


 『今回、僕は。


  どうしても。

  参加したかったんですけど。

  無理そうなので。


  勇大さんに。

  僕の案を、伝えておきますので。


  勇大さん。

  よろしくお願いします!』


 それから僕は、一斉送信メールにて。

 洸希の文に、返信した。


 『了解!  任せて。』




 あと、出欠が分かっていないのは。

 泰樹のみだが。 




 今日中には。

 泰樹からの返信は、なかった。






 翌朝。





 洸希から、個人的に。

 メールが届いた。


 『今回は。

  この前、勇大くんに、言われたとおり。


  頑張って、皆さんの前で。

  提案してみたい!


  そう、思っていたんですけど。


  お母さんに。

  週末に外出することを。

  怪しまれていて。


  今回また、外出すると。

  更に怪しまれそうなので。


  今回は、残念ですが。

  参加しないことにします。



  それで、提案なんですが。


  僕は、心音さんに。

  千羽鶴を折るのが、いいと思います!


  皆さん、忙しいでしょうから。

  却下されるかもしれませんが。


  僕の意見として、提案のほど。

  よろしくお願いします!』


 「純粋で、いいなぁ……」


 思わず、呟いた。


 そして、僕が。

 高頻度で、招集をかけたことで。


 洸希に、迷惑をかけてしまっている、ことに気づいた。

 いや、洸希だけじゃない。


 皆も、きっと。

 頻度が高い、招集に驚いた、だけじゃなくて。


 言わないだけで、迷惑だと。

 思っているかもしれない。


 そして、洸希に返信する。


 『こうき。 僕のせいで、ごめんね。


  気づくのが、遅いけど。


  高頻度で、招集かけて。

  迷惑だったよね。』


 すぐに、洸希から、返信が届く。


 『いえ。 今回は、残念でしたが。


  週末は、勇大くんに。

  前回、教わったところを、中心に。

  復習したり、するんで。

  大丈夫です。


  こっちのことは、気にしないで。

  思いっきり、想いを。

  ぶつけて来てください。


  報告、待ってますから。』


 洸希の、ありがたい言葉に、背中を押されて。 

 心音さんへの、想いを、思い出し。


 洸希に、返信を送る。


 『分かった。 ありがとう。

  要望の通り。


  皆には、僕から、ちゃんと伝えるから。

  安心して。』


 そして、すかさず、返信がくる。


 『ありがとうございます!』


 洸希とのやりとりを終えて。

 ホッとした、と同時に。


 気持ちが、前向きになっていた。


 

 

 そして、洸希のおかげで、得ることが出来た。

 その、明るい気持ちを、保ったまま。

 

 僕は、学校に、出勤した。





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