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空にかざす

 


 公園に到着して。


 中に入って、見渡すと。



 まだ、誰も来ていなかった。


 僕と洸希が。

 1番に着いたみたいだ。



 「こうき。 

  僕らが、1番みたいだね」


 「そうですね」

 

 「ちょっと、ベンチに座ろうか。

  入り口まで、坂だから。

  疲れたでしょ」


 「はい」


 そう言いながら。

 僕と洸希は。


 入り口から見て。

 右側にある、ベンチまで。

 移動して、腰かける。


 「来る途中で、飲み物、買えばよかったね。

  喉、乾いてない?」


 「大丈夫です」


 「ならいいけど」


 そして。

 公園の時計を見て。

 9時25分だと、気づく。


 「少し、早くに、着きすぎたかな……?」

 

 それから、呟いた。

 



 5分後。




 「おう!

  2人は、早いなぁ」


 「やっと、着いたのぉ」


 次は、泰樹と秀寿さんが。

 やってきた。


 そして、秀寿さんは。

 坂道が、きつかったと。

 言わんばかりに。


 到着後、すぐに。

 入り口から見て、左側のベンチに。

 腰かけていた。


 「待ってたよー」


 僕が、返事すると。


 「あれ。

  まだ、2人は来ていないのか?」


 泰樹が不思議そうにしている。


 「そうなんだよ。

  珍しいよね。

  なにかあったのかな?」


 そして、すぐ心配してしまう。


 「いや。 大丈夫だろ。

  なにかあったら、連絡あるだろ。

  

  勇大は、相変わらず。

  心配しすぎなんだよ!」


 泰樹にそう、言われて。


 「たしかに。 そうだよね。 ごめん」


 反省した。


 「いや。 謝らなくても、いいけどさ。

  まぁ。 それが、勇大らしくて。

  いいのかもな」


 泰樹と話していたら。


 「お待たせー。

  ごめんね。 待たせて」



 優介と、分太が、やってきた。


 「ううん。 時間内だから、大丈夫だよ!

  にしても、2人が最後なんて。

  珍しいね」


 「電車が、遅れてさ。

  なあ!」


 分太は。

 焦りながら、少し強引に。

 優介に、話を振る。


 「あぁ。 うん」


 そして、優介もそんな分太に。

 合わせているようだった。


 なにか、隠しているのかな。

 でも、隠し事はなしって言ったのは。


 分太だし、隠すわけないよね。


 僕が、少し気になっていると。


 「それでさぁ。 優介。

  あれ、持ってきたか?」


 泰樹が優介に訊く。


 「あぁ。 もちろん」


 そう言いながら、優介は。

 自分の鞄をあさっている。


 「これだよね」


 そしてすぐに、見つかったらしく。


 僕らに、持ってきたものを。

 差し出していた。


 そして、僕らが一斉に。

 差し出されたものを、見ると。



 メモ用紙?

 なんだろうけど。


 僕の予想していた姿とは、違っていて。


 2つ折りに、折られた状態だが。

 両端を、のりづけにされていて。


 折り目とは真逆の、上になる部分には。

 びっしりと、一列に、ホッチキスの芯が。

 敷き詰められていた。



 そんなメモ用紙の姿に。

 僕らが、驚いていると。


 「俺、よほど。

  信用されていないみたいだね」


 苦笑いしながら、優介が言う。


 「これだと。

  皆も、読みづらいよね」


 さらにそう言って。


 刃先を自分のほうに向けた、はさみを。

 差し出していた。


 「ごめんね。

  厄介なことに、巻き込んで」


 優介が、申し訳なさそうに言う。


 「なに言ってんだよ!

  頼んだのは、オレだぞ。

  これくらいして、当然だろ」


 すかさず、泰樹が言ってから。


 差し出された、メモ用紙とはさみを、受け取っていた。


 そして、上を向いて。

 メモ用紙を空にかざして。


 そのまま、メモ用紙を。

 はさみで、慎重に切っていた。

 

 それは。

 字が書かれている部分を、切らないためで。


 間違ってはないんだけど。


 なぜだか、僕は。

 その姿に、違和感を覚えた。


 慎重に、メモ用紙を切っていた、泰樹だが。


 ずっと、上を向きっぱなし。

 というのも、疲れるからか。


 ときどき、両手と首を下げて。

 真正面を向いてみたり。


 上を向いたまま。

 顔をしかめたりもしていた。


 透かすぶんには。

 晴れていて、よかったが。


 直視しないといけない、泰樹にとっては。

 酷かもしれない。


 「泰樹、ごめんね。 代わるよ」


 「半周。 全部、切らなくても。

  大まかでいいんだぞ!」


 そんな泰樹を心配して。

 優介と分太も、声をかけるが。


 集中しているのか。

 泰樹は、まったく、返事をしなかった。


 それから、2人の声を聞いて。

 秀寿さんが、僕らのいるほうに。

 歩いてきて、さりげなく、合流していた。


 そして、しばらくして。


 泰樹は。

 両手と、首を下げて。


 近くにいた分太に。

 

 はさみとメモ用紙を。

 渡しながら。


 「ハァーッ。

  いったん休憩」


 ボソッと呟くように言って。


 すたすたと、ベンチのほうに。

 歩いて行き。


 入り口から見て、左側の。

 ベンチに腰かけたが。


 僕には、ベンチに。

 歩いて行くときに。

 少し、よろけているようにも、見えた。


 それから泰樹は、下を向いて。

 太ももの上に、両腕を置いて。 両手を組んで。 

 目頭と額のところに、その手を当てていて。


 少し、きつそうにしているように、見えた。


 皆、そんな泰樹を、休ませてあげよう。

 と思ったのか。


 ベンチで休む泰樹に。

 声をかける人はいなかった。



 そして、分太が。

 泰樹に渡されたメモ用紙を、見ていたので。

 僕も一緒に見ると。


 ほとんど、切り終わっていた。


 「なんだ。

  終わってるじゃねぇか!」


 それから、分太が。

 メモ用紙を開こうとして。


 そばに、優介がいることに、気づいて。

 手を止める。


 「まぁ。 

  ひらくのは、あとにするか!


  けるときは。

  声かけるからな。 優介」


 珍しく、優しく、分太が言う。


 「うん。 ありがとうね」


 そして、微笑みながら、優介がお礼を言う。


 「とりあえず、今は。

  泰樹が、落ち着くのを、待つのみだな!」


 そう言ってから。

 分太が、泰樹の座る、ベンチのほうを、見たので。


 僕も、つられて見ると。


 泰樹は、ベンチに座ったまま。

 両手で、顔を覆っていた。


 大丈夫だろうか?


 しばらく、皆で。

 そんな、泰樹の様子を。

 観察していると。


 顔を上げると同時に。

 両手で両足の太ももを、軽くたたいて。


 勢いよく。

 まるで、気合を入れるように。 立ち上がり。

 

 僕らの視線に気づいて。

 驚いていた。


 「……ん? どうしたんだよ!」

  

 「それは、こっちのセリフだろ」


  分太が言うと。


 「やっぱり、きつかったよね。

  大丈夫?」


  優介が、やさしく言う。


 「あぁ。 大したことない、けど。

  心配かけた……みたいだな」


 泰樹が、少しためらいながら言う。


 「当たり前でしょ。

  でも、無事でよかった!」


 優介が、安心したように言う。


 「ただ、休憩しただけだからさ。

  心配するなって!

  

  予想外だったけど。

  見るためには。


  あれをするしか、ないんだから。

  仕方ないだろ」

 

 そう言いながら。

 僕らのいるほうに。

 歩いて来た、泰樹は。

 あっけらかんとしている。  

  

 「とりあえず。

  メモ用紙、見ようぜ!」


 なんだかいつもより。

 泰樹のテンションが高い気がする。


 直に、太陽の光を浴びすぎたから、だろうか?


 いや。 それは、あまり関係ない気もする。


 「じゃあ。 そういうことで、優介。 

  今から、開けるから。

  お前は、ベンチとかで。 休んでろ」


 分太が、優介に声をかける。


 「そうだね。 そうさせてもらうね!」


 そして、優介が、ベンチに座ったのを。

 分太が見届けて。


 いよいよ、メモ用紙が。

 開かれようとしていた。


 僕は、怒られるかも!

 という、恐怖心から。


 かなり、ドキドキしていた。


 





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