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お父さんの正体

 


 それから、僕は。

 優介が、過去の話を、している間。

 ずっと、気になっていたことを。


 優介に、訊くことにした。


 「ねぇ。 ずっと気になっていたんだけど」


 僕が切り出すと。


 「どうしたの?」


 優介が、返事してくれた。


 「僕、優介のお父さん。

  見たこと、あるんだけど」


 「ん?

  父が死んだのは。

  勇大と、出会う前、のはずだけど。


  どういうこと。

  もしかして、知り合いだったり、するのかな?」


 優介が、不思議そうに、言うが。

 不思議なのは、僕も同じだ。


 「あっ! 

  そういえば、おれも見たわ」


 分太も、僕に共感する。


 「えっ。 どういうこと?

  勇大だけじゃなくて。


  分太まで?

  ますます、意味が分からないんだけど」


 優介と同じように。

 僕も、分からないんだ。


 「どういうことだよ!


  優介のお父さんが。

  タイムスリップしてきた。

  とでもいうのか?


  まぁ、不思議な体験している。

  おれたち、からしたら。


  珍しくもねぇ話だけどな!」


 分太は、勝手に、解釈している。


 「でも、なんで。

  3人とも、分からないんだろう?」


 僕が、言うと。


 「だから、おれたちの周りには。

  不思議なことが、起きるんだって!


  そう思えば、

  珍しくもねぇし。 楽だろ」


 分太の、この一言で。

 僕には、分太が。

 強がっているように、思えた。


 「もしかして、怖がってる?」


 そしてそのことを、つい。

 つっこんでしまう。


 「はっ?

  なわけねぇだろ!」


 「僕には、そう、見えるけど?」


 僕と、分太が。

 プチゲンカをしていると。


 「なにか、引っかかるなぁ……」


 優介は、そんな僕らに。

 まったく、とりあわず。

 1人で、考え込んでいた。


 「たしかに、僕も。

  分太が言うような。 不思議な現象。

  とかでは、ない気がするんだよね」


 そして僕も、そんな優介に。

 加勢する。


 「因みに。

  2人は、父と。

  何処であったの?」


 優介が訊く。


 「病院」


 僕と分太が、口を揃える。

 そして、顔を見合わせて。 

 同時に言ったことに、驚く。


 「どこの病院?」


 そのことに、まったく、構わず。

 優介が、話を続ける。


 「お前が搬送された、病院」


 分太が、答える。


 「僕も、そこで見た!」


 僕も、分太と同じところで。

 見ていることに。 気づいて。

 少しだけ、テンションが上がる。


 「それって……この前の?」


 優介が、なぜか。

 ためらいながら、言う。


 「あぁ」


 そして、分太が返事する。


 「でも、やっぱり。


  あの男性って。

  優介の、家族じゃなかったんじゃない?


  お父さん、亡くなっているし」


 僕が、分太に言うと。


 「でも、警察官は、こっちに来ただろ。


  だから、あそこが。

  優介の病室だったって、ことだろ。


  やっぱり、あの男性は。

  タイムスリップしてきた。

  優介のお父さん、だったんだよ!


  実際、あのあと。

  1度も見てねぇし」


 分太が、目を輝かせながら、言う。


 分太は、意外と、こういう話を。

 信じるタイプなんだな。


 「でも。 そんなの、ありえないでしょ。

  現実味がないよ」


 僕が、そう言うが。


 「だから、さっきも言ったが。

  ありえねぇことが。

  おれたちの身にも、起きたんだから。


  このことも、可能性はある。

  ってことだろ」


 分太の目は、輝いたままだった。


 「あの……さぁ」


 今まで、黙っていた、優介が。

 ようやく、口を開いた。


 「なんだよ!

  お前も、もしかして。

  タイムスリップ説を、信じるのか?」


 分太が、嬉しそうに言う。


 「あっ。 いや。

  そうじゃなくて。


  分太が、嬉しそうだから。

  言いづらいんだけど。


  その……男性は。

  おそらく。


  俺の、叔父おじ、だと思う。


  期待させて、ごめんね」


 優介が、かなり申し訳なさそうに。

 ためらいながら、言う。


 「いやいや。

  優介が、謝ることじゃないよ!


  ただ、分太が。

  勝手に、想像力、膨らましただけ、だから。


  気にしないで」


 僕が、言うと。


 「なんで、お前が。

  代弁してんだよ!


  まぁ……そりゃあ。

  たしかに、俺が勝手に。

  期待しすぎただけ、なんだけどさ」


 分太は、勢いよく。

 僕に怒った、あとで。 

 すぐに、反省している。


 「分太。 ありがとね」


 優介が、分太に、お礼を言う。


 「はっ? なんだよ急に」


 「実を言うと。

  分太が言った説を。

  一瞬、信じて。 嬉しくなったんだよね。


  父が、会いに来てくれたのかもって、思ってさ。


  そんなはず、ないのにね。

  

  だから、正直いって。

  分太の言ったことが。  

  事実であってほしかった」


 優介が、寂しそうに、言う。


 「優介、ごめん。 おれ……」


 分太が、謝ると。


 「いや。 謝らないで。

  勝手に、俺が思っただけだから。

  気にしないで。


  それに俺は、分太に。

  感謝したかっただけだから。

  

  そんなに、しんみりしないで。 

 

  俺は、そこまで。

  気にしてないから。


  分太も、気にしないで」

  

 最初は、悲しそうだった、優介も。

 今では、気にしていないようにも、見える。


 そこで僕は。 優介の言うように。

 雰囲気を変えることにした。


 「あの……さ! そういえば。

  心音さんのお母さんが。


  また、お見舞いに伺うことを。

  快諾してくれたんだよね」


 僕がむりやり、報告すると。


 「おぉ。 そうか!

  それは、よかった」


 分太も、嬉しそうにしている。


 雰囲気が、変わってきたようで。 安心した。

 このまま、この話を、続けよう!


 「だからさ!

  今度は、3人も誘って。

  皆で行かない?」


 ウキウキしたまま。 

 明るく、僕が言うと。


 「さすがに。

  皆で、いっぺんに行くのは。

  迷惑じゃないかな?」


 優介が、ごもっともなことを、言う。


 「でも。 今度。

  他の仲間も、連れて来ますね。

  って僕が言ったら。


  お待ちしています。

  って言ってくれたけど。


  あれは、建前だったのかな?」


 僕が不安になり、訊くと。


 「分からないけど。

  たとえ。 

  迷惑だと思っていても。


  はっきり、迷惑だとは。

  言いづらいだろうから。

  難しいよね」


 優介が、曖昧な返事をする。


 「とりあえず。


  心音さんのお母さんに。

  訊いてみればいいじゃねぇか!


  勇大は、連絡先、交換したんだろ」


 分太に、提案される。


 「まぁ。 そうだけど……」


 そして、僕も。

 曖昧な返事をしてしまう。


 「うん……。

  一旦、再確認してみて。


  迷惑なら、素直に。

  おっしゃってください。 と言って。


  それでもまだ。

  はっきりとは、言いづらい、だろうけど。


  本当に、迷惑なら。


  もしかしたら。

  やんわりと、断られるかも、しれないね」


 「なるほど……」


 優介の意見に、納得させられる。


 「でも、もし。


  皆で、伺っていい。

  となった場合は。


  3人にも、聞いてみないと。

  なんとも、言えないけど。


  怪しまれることは。

  なくなった、だろうから。


  2人は、いいとしても。

  泰樹が、なんて言うか、だよね……」


 そしてさらに。

 優介が、話を続ける。


 「たしかに」


 「あいつ。 容姿のこと。

  かなり、気にしてたもんな」


 僕と同じく、分太も。

 共感したようだ。


 「うん……」


 そして、このことは。

 僕らには、どうすることもできない。

 そう言わんばかりに。

 一斉に、黙り込む。



 「でもまぁ。

  まずは、勇大が。


  心音さんのお母さんに。

  連絡しねぇとな!」



 そして、約5秒間ほどの、沈黙の末。

 分太が切り出す。


 「そうだね。 

  連絡したら。 また、教えてね」


 優介が、僕に言う。


 「うん。 分かった」


 「おれにもな!」


 「うん。 分かってる」


 「それと、もちろん。

  勇大からの電話が、あってから、だが。


  泰樹のことも。

  一時的なら、なんとかなる、かもしれねぇし。


  おれから、あいつに。

  提案してみるわ!」


 分太には、なにか、考えがあるようだ。


 「いいけど。

  傷つけないように、しないと。

  ダメージが……」


 「分かってるよ!

  おれも、提案するだけで。

  強制はしねぇから」


 優介の声を遮って、分太が言う。


 「ならいいけど。 気をつけてね」


 優介は、泰樹を心配しているようだ。


 「あぁ」


 そして、分太が返事する。



 「じゃあ。 今度こそ、解散しようか!」


 それから、優介が、解散を切り出す。


 「そうだね!」


 僕も、賛同すると。


 「そもそも、おれたち。

  駅が集合場所だっただろ。

  だから、今、解散しても。

  結局、駅まで同じだろ!」


 分太が言う。


 「あっ。 そうだったね。

  ごめんね。 

  いつも、公園で解散だったから。

  その、イメージが強かったのかもしれない」


 優介が、苦笑いしている。


 「じゃあ、駅まで、一緒に帰ろう!」


 「そうだな」


 「うん」


 2人が、僕の提案に、乗ってくれた。



 そして、3人で、公園を出る。



 「それで、思ったんだけど。

  今日のことを、来てない3人にも。

  報告するでしょ」


 3人で、駅に向かって、歩きながら。

 僕が、気になったことを訊くと。


 「そうだな。

  3人も、待ってるだろうしな」


 「そうだね」


 分太に続いて、優介も。

 賛同してくれた。


 「ちょうど、3人だし。

  1人ずつ、連絡することにしようか」


 優介が提案して。


 「そうだな」


 それに、分太が、賛成する。


 「じゃあ。

  誰が、誰に。 連絡する?」


 優介に言われて、考えていると。


 「勇大は、やっぱり。

  洸希に連絡するのか?」


 分太が、訊いてきた。


 「まだ、決めてないけど」


 僕が、答えると。


 「じゃあ、そうしろよ」


 「分太。 強制は、ダメだよ」


 分太に、勧めらたが。

 優介が、止める。


 「でも。 誰かが決めねぇと。

  進まねぇだろ」


 そんなことを、話していると。

 あっという間に、駅に着いていた。


 「まぁ。 たしかに、そうだね。

  勇大は、それで、大丈夫?」


 優介に訊かれた。


 「うん。 大丈夫だよ!」


 こうして、僕は。

 洸希に、連絡することになった。


 「じゃあ、おれは。

  さっきのことも、話してぇし。

  泰樹に、連絡するわ!」


 そして、分太が名乗り出て。

 泰樹に、電話することになり。


 「俺は、秀寿さんに。 連絡するね」


 そして、優介が、秀寿さんに。

 連絡することとなった。


 「じゃあ、また。

  集合するときは。

  皆で、連絡を取り合おうね!」


 僕が言うと。


 「おう! そうだな」


 分太も、言って。


 「じゃあ、またね!」


 さらに、優介も言ってから。


 僕らは、今度こそ解散して。

 それぞれの電車に乗って、帰った。



 また、6人で集まれるかもしれない。

 それがなにより嬉しかった。

 6人で会議をするのが。

 僕は、とても居心地が、よかったのだ。




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