意見
「僕は、まとな意見も、言えるか分からないし。
最年少なのに、本題について。
偉そうに、意見していいのかな。
と思うんですけど。
この場に呼ばれた以上。
なにかを意見しないといけない。 とも、思いますので。
時間を! くれませんか?
帰るまでには、必ず。
このことについて、自分の意見をまとめて。
意見を述べれるように、しますので。
少しだけでいいので、時間をください。
お願いします!」
洸希君も、必死になって。
意見を、述べようとしてくれている。
だけど、ここまで、追い詰めてしまっているなんて。
気づかなかった。
それに、洸希君に時間を、あげることで。
さらに、プレッシャーを与えるわけ、にはいかない。
今は、プライベートとはいえ。
これは、僕の目指す、教師像ではない。
こんなことをして、いいはずがない。
僕が反省し、決意している間。
洸希君は、今にも、泣きだしそうになりながら。
お辞儀をしていた。
僕は、真横にいる、洸希君の。
目の前まで、移動して。
再び、屈≪かが≫んで、目線を合わせた。
「洸希君。 頭を上げてくれるかな」
洸希君は、言われた通り。
素直に、頭を上げた。
「そこまでしなくて、いいんだよ。
必死に、改善策を考えようと、してくれたのは。
ありがたいけど。
無理して、絞り出そうとしてまで。
協力しろ。 とは、言わないから。
改善策を出さなくても。
ここにいて、いいからね。
さっきも、言ったように。
強制ではないから。
意見しなくてもいいんだよ。
でももし、洸希君自身が。
意見しないのに。
まだ、居続けるのは、納得いかない。
と思うのであれば。
僕は、止めない。
でも、僕に悪いと思って、帰ろうとするのなら。
それは、気にしなくていいから。
意見しないのに。
なぜまだ、いるんだ?
早く、帰るべきだろ。
なんて、全く思わないから。
洸希君は今、どうしたいのかを。
教えてくれないかな?
どんな内容でも。
怒ったり、責めたりはしないから」
「本当ですか?」
「もちろん」
「僕はまだ、この場に、居たいです!
改善策も、まともな意見も。
述べられなくて。
なにも、力になれなくて。
この場にいる意味が、ないのかもしれません、けど。
それでも!
この場所は、なんだか、居心地がいいので。
まだ、帰りたくないです!
なので、最後まで。
居ても、いいですか?」
「いいに、決まっているよ。
そもそも。
この場に、集う条件は。
“当事者であること”だから。
そこは、気にしなくていいと。
僕は、思いますけど。
皆さんは、どう思いますか?
異論ある人は、いますか。」
僕は、洸希君に、言ったあとに。
皆にも、訊きながら、立ち上がる。
「もし、異論があるようなら……」
「なに、言ってるんですか!
僕もですけど。
おそらく、皆さんも。
勇大さんと、同じ意見だと思いますよ。
あっ。
でも、圧をかけて、誘導してますよね。
すいません。
僕の言ったことは、気にしないでください」
僕の言葉を遮って。
優介さんが、勢いよく言う。
そして、優しくフォローしてくれた。
けど、圧は、かかってないと思うけど……。
そっか!
それは、僕に対して、ではなくて。
泰樹さんや、分太さんたちに対して。
言っているんだな。
「おれも。 もちろん、異論はないです」
分太さんも、賛同してくれた。
「オレも、同じ意見なんですけど。
勇大さんみたいに。
ちゃんと説得して。
洸希君の意思も、尊重したうえで。
自力で決めさせるなんて。
オレには出来ないんで。
さすが、教師だなって、思います」
「えっ。 ちゃんと説得、出来てた……のかな?
自覚はないんだけど」
泰樹さんに、ふいに、褒められて。
僕は、少し照れてしまう。
「洸希君が、納得して。
自分の意思で、この場にいることが。
その証明だと、オレは、思います」
「なるほど。 ありがとうございます。
でも、泰樹さんも、褒め上手ですよね!」
「……オレのことは、いいんですよ」
泰樹さんも、照れたのか。
顔を背けた。
そして、僕が、秀寿さんを見ると。
「我も、もちろん。
異論なし、である」
そう言って、微笑んでくれた。
「皆さん、本当に。
ありがとうございます」
そして、安心したのか。
嬉しそうに、洸希君が、微笑む。




