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怒りの原因 

 

「それで、気になったんですけど。

 そもそもなぜ、お母さんを。

 怒らせてしまったんですか?」


 優介さんが訊く。

 僕は正直に、一部始終を話した。


「なるほど。 

 悪気がないのは分かりますけど。

 お母さんにとっては。

 酷かもしれないですね。

 理想と現実は、違いますから。


 きっとお母さんも、また回復することを願っている。

 だけど、実際は全然、思い通りにいかなくて。

 どうにもならないのが、分かっているのに。


 それなのに、あなたがまた、理想をぶつけてきた。

 せっかく、受け入れたくない現実を。

 むりやり、受け入れようとしているのに。


 どうしてまた、理想をおしつけるの?

 という思いが、怒りに変わったのかもしれませんね」


 優介さんの、言った通りだ。


「確かに、そうかもしれないですね」


 今なら分かるのになぜあの時は、素直になれなかったんだろう?

 なんで、僕はお母さんの気持ちに、寄り添えなかったんだろう?

 

 それにしてもなぜ、優介さんは。

 お母さんの気持ちが、分かるんだろう?


 それはきっと、優介さんが。

 お母さんの気持ちに、寄り添えているからだろうな。


「傷つけることを恐れて、行動しないようでは。

 何も始まらない。

 もし、また傷つけてしまったら。 その場で、素直に謝ればいいんです。

 それで悪気がないことを、ちゃんと伝える。

 それが1番だと、おれは思います」


 分太さんも助言してくれた。


「あの時、僕はただただ、回復してほしい。

 という想いで、いっぱいだったのかもしれません。

 だから素直になれずに、あんなことまで言って……。


 寄り添うどころか、追い詰めてしまったのかもしれません。

 お見舞いに行ったのに。 患者さん本人ではない、とはいえ。


 慰めるどころか、怒らせてしまうなんて。

 最低ですよね」


「回復してほしいことを、願ったうえで。

 心配して、訪れてるわけだから。

 その想いさえあれば、充分だと。


 おれは、思います。

 ただ、後味は悪いですけど」


 泰樹さんが、励ましてくれた後に。

 ごもっともなことを言う。


 “そこが問題なんだよ”。

 と言わんばかりに皆が、黙り込む。


 そして、必死に打開策を、考え込んでいる。

 そんな風にも見えた。


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