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集うときの心情

 


「僕は……まともな意見を言える自信が、ありません。

 だけど今日、ここに来て、良かったと思います。


 本当は、ここに来るまで、すごく緊張していたんです。

 両親や先生以外の、大人の人と会うなんて、想像できなくて。

 もし、怖い人たちだったら、どうしようって。

 不安もあったんです。


 だから、来る途中で、何度も引き返そうかな、と思ったんです。

 でも今は、引き返さなくて、良かったと思っています。


 だって、皆さんは、全然、怖くなかったから。

 むしろその逆で、すごく優しくて。


 ここに来る決断をして、本当に、よかったなと思っています」

  

 洸希君も一生懸命、想いを伝えてくれた。


 ちゃんと辿り着けるかは、もちろんのこと。

 見知らぬ大人と会う、不安もあっただろうに。

 よくぞ、決心して、ここまで来てくれた。


 きっと僕が、10歳くらいの時は。

 そんなこと出来なかったと思う。

 だからそれが出来た君は、立派だと。

 僕は思うよ。

 改めて、感心させられたが。


 当の本人は、今にも、泣きだしそうになりながら。

 うつむいている。


 僕は、洸希君のそばまで、ゆっくりと歩み寄り。

 洸希君の目の前で、立ち止まり。

 かがんで、目線を合わせた。


 「大丈夫だよ。

  充分思いは、伝わったから。

  ありがとう」


 微笑みながら、優しく頭をなでた。

 すると、ようやく顔を上げ、安心したように微笑み返してくれた。


「我は、さっきも、言ったように。

 久々の若者たちとの交流に。 この歳にして。 

 ウキウキしておった。

 たとえ、集う人が1人だとしても。 関係なかった」


 秀寿さんが、落ち着いたトーンで、ゆっくりと話し出す。

 と同時に、僕はゆっくりと立ち上がる。


「ただ、年齢差がありすぎて、話が合わないかもしれんな。

 とは思っておったがな。

 この場に、集うことは、苦ではなかった。

 というわけだ」


 秀寿さんも、完治していない身体で。

 わざわざ、来てくれた、にも関わらず。

 今日を、心待ちにしてくれていたなんて。


「やはり、帰ろうとする人は。

 いないようですね!」


 嬉しそうに、優介さんが言う。


 洸希君が言うように、皆、優しい人たちで良かった。


「皆さん、本当に、ありがとうございます。

 当事者が、こんなに暖かい人たちで。 安心しました」


 僕がそう言うと。

 皆が嬉しそうに、顔を見合わせながら。

 微笑んでいる。


 そのおかげで。

 一気に、この場が、幸せな雰囲気に、包まれる。



 それにしても、洸希君と、秀寿さんは。

 ここに来る前から。 それぞれ自分が。

 最年少と最年長だと、知っていたのだろうか?


 ただの勘にしては、鋭すぎるので。

 きっと、神社で、聞いたのだろう。


 いや、そうに違いない。


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