【スーパーでは】幻のフルーツが激安で売られていたので食べてみた【買えません!】
突然ですが私、道の駅って好きなんですよ。
当方、三十路独身野郎ですが、料理が好きなので生鮮食品は常に冷蔵庫に鎮座しております。
小松菜とホウレン草は何かと便利なので使い道は決まっていなくとも頻繁に購入しておりますし、ジャガイモやタマネギは日持ちするので多めにストックしています。
そんな私にとって道の駅は生産者が農産物を直接持ち込んでくるとあって、新鮮な食材を安価で買える絶好のスポットです。ドライブや旅行の際にはつい立ち寄ってしまいますし、お土産をここで買いそろえてしまうことも多々あります。
さて本題に移りましょう。先日、とある道の駅を訪れたときのことです。
この日もめぼしい野菜や果物はないものかと、地元のおっちゃんやおばちゃんに混じって店内をうろうろと徘徊していました。
今の季節でしたら獲れたてのキュウリにナス、カボチャがずらりと並んでいます。スーパーなら1房1980円はするであろうシャインマスカットも1000円前後で販売されており、さらに形が悪いものなら480円と出血大サービスどころか骨まで持っていかれそうな価格で売られています。
またマクワウリやトウガン、芋茎といったややマイナーな食材も陳列されおり、それらは安く売られていることが多いので、料理のレパートリー開拓にもってこいです。薄味で物足りないトウガンも、片栗粉でとろみをつけてトウガン汁にすれば出汁が浸み込んで美味しいですよね!
そんな時のこと。木製の陳列棚の上に、見慣れない食べ物が転がっているのが目に飛び込んできました。
緑一色。大豆みたいな形ですが、でかさが全然違います。割れていないアケビみたいな外見で、大きさはお中元でもらうハムの塊くらいです。
おそらくですが、道行く人々に「これなーんだ?」って尋ねても、ほとんどの方が「何これ?」て首を傾げることでしょう。きっと任天堂のバーチャルボーイの方が知っている人多いくらいです。
ですが私、この珍妙な見た目の食べ物に心当たりがありました。少し前にウマ娘でニシノフラワー育成しながら『ポツンと一軒家』を横目で見ていた時、番組内で取り上げられていた記憶がふつふつと蘇ります。
「これ、ポポ-やん!」
ポポー。巷では幻のフルーツと呼ばれている果物です。
星のカービィに出てきそうな名前と鮮やかな色彩から南国由来のように思われるかもしれませんが、実は北米原産だそうです。日本人なのに顔が濃いので古代ローマ人役を演じた阿部寛みたいな果物ですね。
元は明治時代に庭に植える木として輸入され、観賞用として全国に広がったそうですが、近年では見かける機会も少なくなりました。
また果実は熟れてから傷むまでがものすごく早いため、スーパーの店頭に並ぶこともまずありません。卸売業者を挟んでいる間に腐ってしまいます。
その足の速さから畏敬の念を込めて、フルーツ界のウサイン・ボルトとも呼ばれているそうです。嘘です。
とまあ希少な果物であるのですが、味は非常に濃厚で美味しい、との噂です。なぜこういう食材に限って、流通が難しいとかそういう制約があるんでしょうね?
さてさて、これまで謎の水飴だの鮒ずしポテチだの鮒ずしonポテチだのと食レポしてきた私です。珍しい食べ物と聞いて黙っているはずがありません。
幻の果実ポポー。ネタとしてこれ以上美味しいものはそうありません。既にキョーミシンシンです。
お値段も2つ入って250円。梨と比べると驚くべき安さです。
気がついた時には既に遅し、買い物カゴに放り込んでおりました。ポルナレフ風に言えば「あ……ありのまま今起こったことを話すぜ! 俺はポポーを手に取っていたと思ったら、いつの間にかレジに並んでいた!」てなもんです。
念のためレジのおばちゃんに「これって食べ頃いつですか?」と訊いてみたところ、「今がまさに食べごろですよ」とのご返答。
というわけで……。
風呂上がり、お待ちかねの実食ターイム!
早速いただいてみましょう!
包装のビニール袋を開けるや否や、むわっと濃厚な香りが周囲に立ち込めます。よく熟れたバナナから醸し出されるあの甘い匂いを、より強烈にしたような感じです。
手に取ると熟れた桃のように、ふにっと弾力があります。強く握ったらぶちゃっと潰れてしまいそうなくらいです。
昼間はもっと硬かったのですが、既にだいぶ柔らかくなっています。半日ほどでだいぶ変わるものですね。
包丁もほとんど抵抗なく、するりと刃が通りました。レジのおばちゃんの言う通り、今がまさに食べ頃なのでしょう。
慎重に刃を入れていると、途中でコツンと包丁が止まります。どうやらビワの実のように真ん中に硬い種があるようです。
これ以上は包丁が通らないので、一周すっと回して切ってあげましょう。
そして全体に切れ込みを入れ終えたところで、がばっと開いてあげます。果肉も柔らかいのできれいに真っ二つになりました。
見てください、瑞々しい果肉。皮は非常に薄いです。色合いは夕張メロンを連想させますが、もっと柔らかいです。
またこの写真だとわかりにくいですが、柿の種のように黒くて硬い種が10個ほど入っていました。
いよいよ実食タイムです。
スプーンもするりと通ります。本当に果肉なのでしょうか、まるでプリンのような柔らかさです。
ではいきます、一口、パク!
あ……。
「あんまー!」
ええ、思わず声漏れちゃいましたよ。
食感はアボカド、味はマンゴー、いやマンゴープリン……いえ、もっともっと甘いです。喉の奥に残るような濃厚な甘さです。冴えカノ2期8話の加藤恵ちゃん並に甘いです。
自然の食材でこれ以上に甘いもの、そうそうありません。比較対象になるとしたらハチミツとかメイプルシロップとか、本気でそのレベルです。
フルーツといえば爽やかさと甘味を楽しむのが王道かと思われますが、こいつに関しては爽やかさなんて知らん、パラメータ甘味に全振りだ! とある種の男気すら感じてしまいます。
ドロッとした果肉の舌触りにカスタードクリームを思い起こさせる濃厚な風味。なるほどアミノ酸が豊富な気はしますが、いわば生肉が木になっているようなもので、たしかにこれは傷みやすいぞと納得させられてしまいます。
味がかなり濃厚でクセも強いので、好みはかなり分かれるでしょう。痩せの大食いを自負する私自身でも少量なら良いですが、大量に食べるのは結構きつそうです。また常温ですとウッとくるほど甘く感じるので、事前に冷蔵庫で冷やしておいた方が多少は食べやすくなると思います。
私は苦手なのですが、熟してジュルジュルになった柿が食べられる人なら多分大丈夫でしょう。うちの母なんかは熟した柿をスプーンですくって「美味しい!」て言いながら食べているのですが、息子の私でもあれだけは理解できなかったです……。
また飲み物を添えるなら、牛乳も砂糖も入れないストレートの紅茶が合いそうです。チャレンジ精神旺盛な方なら、お抹茶でトライしてみるのもいいかもしれません。
10月までは収穫できるそうなので、興味ある方、ゲロ甘を体験してみたいという方は、お近くの道の駅やJAの直売所にレッツゴー!
さてさて、果物と聞くと幼き日々の思い出が頭をよぎります。
私の実家にはグミの木とイチジクの木があり、時期になると木から直接もいで食べていました。また近所の農家のお爺ちゃんに獲れたての柿をの場で剥いてもらったり、山に行って桑の実やアケビ、ザクロを賞味したりと、割と珍しいフルーツを口にする機会が多かった方だと思います。
就職してひとり暮らしになった今でも果物の摂取は欠かさず、基本的にリンゴやらバナナやらは何かしら常備しています。
今なら梨が旬ですし、もう少ししたら柿の季節がやってくるのが待ち遠しいですね。またビワも好きで、初夏になるとスーパーの店頭に並んでいれば毎年買っています。
そんな私が10年ほど前、家族でベトナムへ旅行した時のことでした。
宿泊したホテルにバイキングがあったのですが、そこにはどどんと山盛りのトロピカルフルーツが……!
もちろんテンション上がりましたよ。日本ではなかなか口にできない味覚、手あたり次第、お皿に載せて席に戻りました(ただしドリアン、テメーはダメだ!)。
ですが軒並み甘くない……。
ドラゴンフルーツとかスターフルーツとか、いかにも甘そうな見た目しているのに、あいつら全然甘くないんですよ。昔、鷲羽山ハイランドで飲んだヤシの実ジュースの方がよっぽど甘いくらいです。
南国イコール甘いという幻想は見事に打ち砕かれました。グァバとかパパイヤみたいに甘いやつらは、むしろ少数派なのかもしれません。
あとは学生時代、友人と台湾旅行した時のこと。夜の繁華街で友人がおばちゃんにパイナップル売りつけられて、相場よりもだいぶ高い値段でボッタクられていたのを思い出します。
ちなみにその友人、就職した後もいっしょに横浜中華街に行ったことあるのですが、その時も甘栗を強引に売りつけてくるおばさんに負けて甘栗買わされていました。あいつも今は名古屋で一人暮らしなのですが、押し売りにヘンなモノ買わされていないか心配です……。
というわけでみなさんも押し売りにはお気をつけて!