O・HU・RO・⑩
理想郷から無事帰還を果たした俺だが、異母姉たちのあともお湯の抜き張りのため、仮説のお風呂場の前に陣取り、都度動いていた。
異母姉たちとの入浴タイムはどうだったかって?
…最高だったに決まってんだろっ!言わせんな恥ずかしい…。
細かい説明はレーティングが………上がりはしないだろうが黙秘させていただこう。
「なんちゅう顔しとるんじゃ…ユーリウス」
「………………」
義祖父さんとシーバスに見られていたようだ。あとシーバス…無言は止めろ。心へのダメージが酷い…。
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結局、使用人を含めて全員が入るまでお湯の抜き張りをさせられ…したことを報告。一番最後に俺が二回目の風呂に入ったことは言うまでもない。
結果、父さん本人を含め、邸内に浴室を作ることを全員が承認。
完全勝訴である。
しかし…
「え?ユーリウスが作るんじゃないの?」
土魔法での急造の浴室では石がベースになる。それは俺はイヤなので予算をくれ、と父さんに強請りに行くとそんな返事が…。
父さんは反対こそしないが余分な予算は無いらしく、無いものを捻り出すのも厳しい。
錬金術で創れそうな物なら俺が創るが、木材は無理だ。素材にはなるかもしれないが、それも『木』が有ればの話だ。
「木材かぁ…エルフがいれば植物魔法で…いや、しかしちょっと無理かなぁ…」
父さんがボソッと呟いた言葉を俺は拾ってはいたがスルーする。
二度目の転生をしてからは見ていないが、エルフ…やはりいるか…。しかし亜人獣人への差別が根強いこの国では、まだ見かけていない。
俺の周りは大分その辺り、緩和出来たけれど…。
まあ、それはそれとして…
「父さんもやっぱり良い物の方が良いでしょ?」
「いや、まあ、それは…ん~、でもなぁ…」
渋る父さんに止めを刺したのは、やはり女性陣。そのサラッサラッ、ツヤッツヤッになった髪や肌を強調し、母娘で父さんを囲み詰め寄る。
俺も可能なら最高の風呂場が良いので止めない。
最終的には父さんが折れて…いや、折られて、が正しいかな…。予算を勝ち取った。
「なんとか出来るものは俺がやるからさ…」
と小さなフォローだけはしておいた。
こうして、ゼハールト家浴場事件の幕は降りる。
この後、邸内に浴室が出来上がるまで多少の時間が掛かるのだが、その間は外に作った風呂場を利用するので、俺がちょいちょい改造する羽目になったのは言うまでもない。
最終的には邸内はゼハールト家の家人が、外は使用人たちが使うことに落ち着くのだが、それはまだ少し先のお話である。
お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。
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