O・HU・RO・⑨
母さんたち三人がツヤッツヤッのサラッサラッになって出てきた。
「見て見てっ、ユーリウス!お肌と髪がこんなに綺麗になったわ!」
「マイア、貴女も肌と髪がこんなに…」
「ライラ、貴女こそ…」
母さんが超ご機嫌である。義母さんたちは若干、ゆりゆりしいが…。確かに三人共、綺麗になっていた…が…
「はいはい、湯冷めしないうちに家に入ってね。あと髪はちゃんと乾かして」
さっさと出ろ、と促す。
次こそは俺が入るのだ。そう思いながら俺はお湯を抜き、また張って、貯まるまで待っていた。
そしてそっと…
鑑定先生………入浴剤、イケる?俺、成分とか分からないけど…。と、イメージとか効能とか中途半端な知識しかなかったものの、鑑定先生はしっかりと完成させてくれた。
あの丸い固形のタイプの入浴剤を。…まあ、粉末タイプでも良かったんだが、そこはどちらでもいいか…。
なあんてことを、土魔法で作った椅子に座り、目を瞑りながら脳内で行っていたのだが…
『パフッ』
『パフッ』
「っ!?」
な、何事っ!?
な、何か頭の両サイドが温か気持ちいい…。こ、これはっ!?
カアッ…と目を開くと、俺は理想郷へ誘われていた。
…違った。異母姉二人に挟まれていた。
「ねえユーリウス…母さんたちが凄い綺麗になってたんだけど?」
「私たちのお肌と髪もあんな風になるのかしら?」
「髪の毛…凄く良い匂いがしたわよね」
「ツヤッツヤッだったわよね」
「「どうなの?」」
義姉たちが喋ると、その振動やら呼吸やらで大変なことになっていた。
挟まれている俺は危うく理想郷から天国へ行きそうになってしまったが…俺は俺が早くお風呂に入るために意識をハッキリさせ、俺の意思をキッパリと義姉たちに言ってやるのだ。
「なりましゅ…」
全然言えてなかった…。言葉も意思も全然言えなかったよ…。
だが、まだだっ!まだ終わらんよっ!当たらなければ、どうと言うことはないっ!
当たってますけど…。二つ…いや四つも…。
「そうだユーリウス!私たちもお風呂って初めてだから…」
「ユーリウス、一緒に入って教えてくれない?」
「了解しました!」
即答だった…。
だってしょうがないじゃないか。誘わげふんげふん…俺は早くお風呂に入りたかったんだから。…と、某Eなり君風味で言い訳してはみたものの、あまり説得力はなく。
俺は異母姉二人に抱えられてお風呂場に入っていった…。
やっぱり三歳児は最高だぜっ!
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