O・HU・RO・②
転移、転生モノの定番、お風呂作りを開始した。
前世の勇者時代もだったが、今世のこの国もお風呂は金持ちの道楽…という認識が強い。
義祖父さんやシーバスに聞いたところ王城や公爵家なんかには在るようだが、侯爵家だと在るかどうか微妙、伯爵家になるとよほど資産に余裕のある家以外は無いそうだ。
男爵家以下はお察し…というところか…。
大きな商家には在ったりするらしいが、それも資産があるか、魔導具を扱っているところに限られてくるらしい。
お風呂が普及しない理由はやはり上下水道のインフラが整っていないこと、水をお湯にするための燃料費、設備、手間…といったところが原因か。
あとは生活魔法の『洗浄』だろう。少ない魔力で一発洗浄だ、そりゃ楽で良い。
現に俺もゴブリン退治に行くまでは大して汗をかいたり極端に汚れたりすることがなかったから、お風呂に入りたい!とは思っていなかったからな。
じゃあ、ソレでいいじゃん?と思わないでもないが一度点いた火は止まらない。
俺の中の日本人の魂が風呂を欲しているのだ。『風呂は命の洗濯』…とは誰の格言だったか…。え?格言じゃない?細けえこたぁ良いんだよ。
そんなワケで風呂作りである。
とりあえず…ではあるが実験的に作る意味が強いので簡易的にしようとは思っているが、父さんに風呂の良さを知ってもらえれば本邸内に作る許可も貰えるかもしれないので、快適さ…も視野に入れて作ろうと思う。
…待てよ?
母さんたちを巻き込んだ方が説得力としては強いか?…強いな、多分。
それなら、簡易的ではありつつも風呂の良さを最大限に引き出す作りにしようか。
方針を決めた俺は動き出す。
まずは庭の一画を土属性魔法で『整地』、平らに均したところを『硬化』で固める。
その上に同じく土属性魔法『石壁』で三方を囲み、屋根は隙間を空けて設置。
屋根と言っても、これも『石壁』の一枚壁なので見た目は豆腐建築だな。
壁と屋根の間は壁から少し伸ばすような形で柱にしてある。
壁は一辺が3,6メートルと2,7メートルの六畳間の広さに作り、高さは2,5メートル。隙間を10センチ空けて、六畳よりちょっとだけ大きい屋根を設置した。
覗き防止対策に壁と屋根には『返し』もしっかりと付けてある。
さて、入口予定のもう一辺の壁はどうするかな…。この壁は2,7メートルの物だが…。
う~ん…と俺は脳内で風呂場のイメージをする。………………ティンときた。というほどでもないが…。
真ん中に入口を作ると中の脱衣場を作るのにバランスが悪いので、向かって左側に寄せるように壁を魔法で加工する。
これを嵌め込めば…とりあえず容れ物の完成だ。
さてと…次は中を手ぇ付けていこうかっ!
お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。
【ポイント評価】【いいね】【ブックマーク】【感想】【レビュー】ご協力のほど何卒よろしくお願いいたします!




