優雅な朝を!③
「ユーリウス様…起・き・て…」
俺の耳元に息を吹き掛けられながら甘い言葉に、その声に、俺の脳は覚醒していく。
「お…はよ…」
声にならない声で挨拶を返すと彼女は言う。
「やぁっと起きた。次起きなかったら食べちゃうとこでしたよ?………性的にっ!」
語尾に間違いなくハートが付いているであろうその言葉は、冗談だと分かってはいても少し照れてしまう。まだ頭が上手く回らない寝起きならなおさらだ。
是非食べてくださいっ!とはさすがに言えないので…
「んん…俺が大きくなったら頼むよ…」
と、こちらも冗談混じりで返しておく。
「ん?大きくなったらって………ドコがですかぁ?」
その妖艶な笑みに、舌をチロリと出しながら言う彼女に俺は強烈なカウンターをお見舞いされる。
俺は照れを隠しながら…
「もう良いから、着替えを用意してくれ」
そっぽを向きながら、こう言うのが精一杯だった…。…が、上半身だけ起こした俺のベッドに彼女は近付き、ギシリとベッドに手を付け俺の耳元に再びその艶かしい唇を近付ける。
「ユーリウス様が成人したら………ね」
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「起きろぉっ!ユーリウスゥッ!!」
低く渋いその大声に、ドアバァァァンッと開け放つ音に、俺はビクゥッ…と飛び起きる。
「夢オチ………だとっ!?」
お…俺の専属奴隷メイドverサキュバスさんは何処にっ!?とキョロキョロするも当然いるワケもなく…。
「起きたかユーリウス!さあ、朝の修練をしようではないかぁっ!!」
いたのはふざけたことを朝から宣っている義祖父さんだけたった。
「…ぅうるせえぇっ!!」とこの後、ゴッドデコピンソードスラッシュで義祖父さんが血を流したのは言うまでもない…。
何を血迷ったのか、いつもより早い時間に俺の部屋に突撃してきた義祖父さんに回復魔法で傷を癒してやったあと、朝食にはまだ時間があったので修練に付き合ってやる。
と言っても軽めに組み手で軽く汗を流す程度だ。まあ、俺の身体がまだ小さいので、あまり経験にはならないとは思うのだが…。
朝食後…義祖父さんに宛がっている部屋へ赴く。
「レベル上げ?」
そろそろレベル1を何とかしたいので、レベル上げを何とかできないか聞いてみた。
「え…お前、まだレベル1なの?あんなに強いのに…か?」
そんな、マジか…お前…みたいな目で見ないでもらえますかね。
まぁ、将来のために素材を売ったりして金を貯めたいってのもあるんだけれど…。
「金ならあるだろう…」
収入はレシピやらなんやらで増えたけど、ソレはあくまでゼハールト家の収入だからね。
俺は、俺個人が自由に使える金が欲しいの。
将来、専属メイドが付かなかった時のために、奴隷購入も視野に入れていることは黙っておこう…。
俺が優雅な朝を迎える日はまだ遠い…。
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