名にかけて!
「マリウス、ユーリウス…ちょっと不味そうなことになっているぞ?」
「「………何が?」」
義祖父さんとハモって聞き返してしまった。くっ…おい、ジジイ、ドヤ顔止めろください。
「はぁ…話の続き、良いか?」
ぬぐぐ…と義祖父さんを睨んでいると、グラム商会長が嘆息する。義祖父さんが話の腰を折ってすんません。
「どうぞ…」と俺が言うが「いや、お前もだよっ!?」と言う義祖父さんは放っておこう…。
「いや…当事者だから放っておかないでくれ…」
再び嘆息するグラム商会長…どうもすみません。
…で、話をどうぞ?
「…まったく、お前らは…」
義祖父さんと一緒にされるのは心外である…が話が進まないので、一言物申したいところだが我慢してスルー。
「…で、『不味そうなこと』っていうのは何です?」
「ああ…。何処から嗅ぎ付けたのかは知らんが、マヨネーズやら料理レシピやらで、今、グラム商会とゼハールト家は潤ってるだろ?」
「「ああ…」」
「…でレシピの提供元は誰だってことに当然なるワケだ」
「「そりゃなるだろうな…」」
「正規のルートだからな…金の流れを調べればゼハールト家が絡んでいるのは一発で分かるだろ?」
「?…何かおかしいところある?」
「無いよな…」
何が不味いのか、さっぱり分からん。インチキでも不正でもない正規の手続きを踏んでのことだ。後ろ暗いことなど何も無い。なのに何故…?
「言ったろ?『レシピの提供元は誰だ?』って…。マリウスやアリウスを含め、ゼハールト家の『表』に出ている人間は大なり小なり、性格や行動などは知られている。その『表』の人間にレシピを提供出来そうな人間がいるか?」
「「あっ…」」
それ以外の人間…例えば使用人とかなら、給料以外の収入を得ることが出来るのだから、わざわざゼハールト家を通す必要などない。メリットが無いからな…。
イコール消去法で残るのは…
「俺、セイ兄、レイナ…そしてレイラ母さん」
「なるほど…その中で料理のレシピを提供出来そうな人物というと、年齢的に絞られるな…」
「普通に考えて俺、セイ兄、レイナが料理なんて出来るなんて思わない…ましてや新作料理となると…ってことになる…」
残るは…
「…そうだ。外の人間にはレシピ提供者はゼハールト家第三夫人…レイラ、だと思われている」
「な…なんだってぇっ!?」とはさすがに俺も言わないし、言えない。
しかし…ようやく良い方向に、上手く回り始めそうなゼハールト家に…何よりレイラ母さんに…。
「お、おいユーリウスっ?」
「おい…漏れてる、黒い何かが漏れてるぞっ?」
クックックッ…邪魔する奴ぁ…
「おい、魔力放出すんなっ!?グラム!魔力押さえるの手伝えっ!」
「お、おおぅっ!?」
全滅、殲滅、滅殺してくれる…
「シーバァスッ!シーバス来てくれぇっ!!」
「痛たたたたっ!?魔力押さえるだけで手が痛えっ!」
義祖父さんの名にかけてっ!
「死んでないよっ!?いるよっ、ここにっ!?」
「とりあえずグラム商会長…殲滅しに行くんで、狙ってる奴、教えてもらえます?」
「無視っ!?」
義祖父さん、うるさいよ?
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