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いや…怖えよ

良い取引が出来た…と俺はご機嫌である。相変わらず移動時はシーバスに抱えられているのだが、ご機嫌な俺は気にしない。


いくつか持っていっても良いよ…との声もあったのだが単品でそれぞれ持って帰ったとしても、使える料理がパッと浮かばなかったので遠慮しておいた。

全部届いたら、ゆっくり考えようと思う。


しかし、やはり米、味噌、醤油の当てが出来たのがデカい。それだけで心というか気持ちに余裕が生まれる。

今なら優しくなれるよ。


何て考えていたのがフラグだったのだろう…。


「痛って!テメッ何しやがるっ!」


「………はぁ?そっちがぶつかってきておいて何だそりゃ?」


優しくなれるよ…何て言っているそばからエルディアが何やら絡まれていた。何してんの?


「いや…何かぶつかってきて…」


いや、それは分かってるんだけど…。


「ああっ!こりゃ(ひで)え、肩が外れてやがる!おいっ、どうしてくれんだっ、ああっ!!」


な…何て酷いテンプレなんだ。こんな奴らに俺の優しい気持ちが秒で邪魔されるなんて…。


「何言ってやがる、全然元気そうじゃねえかっ!」


うん、(うち)のエルディアくんも返しがアレだね…。


「うぅ…痛ててて…こりゃ仕事に響くぜ。どうするか…」


お前もニヤニヤしてるんじゃないよ?肩外れてんなら、それなりの演技しなさいよっ!


「おうっ、今なら治療費出せば大事にしないでおいてやる…出すもん出しな!」


「はぁっ!?何言」「いい…エルディア」「ユーリウス坊っちゃん…」


「何だ?坊っちゃんが出してくれんのか?別にそれでも構わねえぜ」


「シーバス…降ろしてくれ」


「はっ」


俺はシーバスに降ろしてもらい、テクテクと肩を押さえ、一応蹲っている奴の前に出る。


「おっ?払う気になったのか?」


だから、肩外れてんだったら、ニヤニヤしてんじゃねえよ…。

ただまあ、蹲ってるから()()がちょうど良いんだよね。


俺は絡んできて今は蹲ってる奴にニッコリと笑みを浮かべ、ピョン…とちょとジャンプ。同時に天を突くように右足を高く振り上げた。


『ゴキンッ!!』

「ぐあぁぁっ!?」


高く上がった脚は踵から肩口に落とされ、嫌な音を残す。


「うぐぅ…」

「ガキィッ!何しやがるっ!」


「ぁあっ!?」


「うっ?」


ギロリ…俺の睨みに怯む輩…。


「何だよ?ちゃんと怪我してるか確認してるだけだ、気にするな。確認だからな…もう一発、いっとくか…」


「なっ!?…おいっ!?」

「お…おい、バカ、止め」『ゴキンッ!!』「ぎゃあああぁっ!?」


二発目の踵落とし。

良い音したし骨折くらいにはなったか?


「ああ、これは間違いなく怪我してるな。どうだ?シーバス」


「骨折…といったところではないでしょうか」


「良かったなお前ら…俺は回復魔法が使えるから今治してやるよ。そうだ!何だっけ?治療費が欲しかったんだっけ?シーバス」


「金貨一枚ならございますが…」


「金貨一枚かぁ…」


絡んできた二人はすでに涙目…いや、一人は痛みでマジ泣きして、怯えている。


「じゃあ…金貨一枚分、怪我してから治そうか」


極上の笑みを浮かべて、俺は言い放つ。


「「す、すすす…すみませんでしたぁっ!!」」


二人は脱兎の如く逃げ出した。何だよ…ちゃんと治してやるのに…。


「さすがです、ユーリウス様…」


「ご機嫌な俺を不機嫌にさせたんだから、しょうがないよね?」


「いや…怖えよお前ら…」


エルディアの言葉は聞こえなかったことにした。そして通りでの出来事だったので周りにいた人たちも口々に怖いだのなんだのとしている。…心外である。


お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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