スティック
マヨ作りもいよいよ佳境である。
現在はシーバスがシャカシャカと材料をかき混ぜているところだ。
とろみがついてきたので、そろそろよさだな…。俺は『鑑定』を起動させて鑑定先生に良い塩梅を任せる。
「………………」
「………………」
「シャカシャカシャカシャカ」
黙々と混ぜるシーバスに未だに少し訝しげに見守るグラム商会長。そして俺は鑑定先生に身を任せ見極めに入る。
「………………」
「………………」
「シャカシャカシャカシャカ」
「シーバスッ、ストップ!」
鑑定先生の見極めに合わせてストップをかける。ピタッと止めるシーバス。おっ?という感じのグラム商会長。
一応味見を…と俺は出来上がったマヨを一舐め。
「………………」
うむ、柑橘系果汁で酢の代用をしたためか、風味こそ違うがこれは紛れもないマヨネーズ!さすが鑑定先生、とろみも味もバッチリである。
「グラム商会長…」
「ぬ?」
「キュウリとニンジンって有ります?」
「?有るぞ。用意させよう」
「お願いします」
商会長は人を呼び準備するよう申し付ける。厨房に有るかと思ったが無いんかい…。
そしてキュウリとニンジンが用意されたのでシーバスに切ってもらう。もちろん野菜スティック的な太さと長さで…。
ちなみに俺がセロリが苦手だということは内緒である。
マヨネーズは小皿に移し、スティック状のキュウリとニンジンはコップ(木製)に。
準備完了である。
「さあ、グラム商会長…完成です。少し多めに浸けて食べてみてください。あっ、シーバスも混ぜるのありがとな。シーバスも食べてみてくれ」
「うむ、ではいただこうか…」
「ありがとうございます、ユーリウス様。ではいただきます…」
そして二人がキュウリとニンジン、それぞれにマヨを浸け、口に運ぶ…。
『ボリ…ボリボリ』
…さあ………どうだっ!?
「………………」
「………………」
少しの沈黙の後…『カァッ』と目を見開き、もう一度マヨを浸け『ボリボリボリボリ』と食べ進める二人。
そして一本食べ終わり…
「これは…美味いな…」
「旨味、コク…そして酸味のバランスがとても良いですね」
「そして始めて味わう味だ」
商会長は俺に目を合わせてくる。俺は「ふふん…」と口角を上げ、極上の笑みを返した。
商会長は俺の笑みを見て確信したのではないだろうか…コレは売れる!と…。
これから販売云々の話は詰めていかなくてはいけないだろうが…こうして一つ、俺の食事改善計画は前に進み出した。
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