知ってやがる
お仕置き、と言う名の粛清?が終わり、俺は漸く解放…
「ユーリウ…ゼハールト君にはもう一つ要件がありまして…」
…解放、されなかった…。
さすがに正座は強要されなかったので、しっかりとアイアリーゼさんの横を確保。
あとリリアーナ王女、もうユーリウス呼びで良いですから。
「良いのですか?…では、これからはユーリウス君と呼ばせていただきますね。………やった、フフフ」
なにそれ可愛い。
「ならウチもユーリウス呼びで良」「駄目に決まってんだろっ、ふざけんなっ!」「なんでやねんっ!?」
おもしろ邪悪聖女がどさくさ紛れにユーリウス呼びしようとしたので被せ気味にお断りする。
「あら?じゃあ私も駄目かしら?」
コテン、と首を傾げて質問してくるアイアリーゼさん。
それ、俺が絶対に駄目って言わないの分かってて聞いてますよね?というか普通にいつもユーリウス呼びですよね?…なんて俺は言わない。
「なにを言っているんですかアイアリーゼさん。アイアリーゼさんにはユーリと…そう呼んでもらって構いません」
ニコリ…と優しい微笑みをアイアリーゼさんに向け、サファイアブルーの瞳を見つめ手を取りながらそう言い放つ。
「むううぅ」と可愛らしい唸り声がどこかから聞こえるような気がするが多分気のせいだろう。
「ウフフ、ありがと」
どこか悪戯っぽく言うアイアリーゼさんに俺は胸を撃ち貫かれ…
「アイアリーゼさんっ!俺と結こヘブッ!!?」
バチコーンッ!!とハリセンを脳天に振り下ろされる。
ソレを振り下ろしたのはもちろんおもしろ邪悪聖女。
「何しやがるっ!?『ヘブッ』とか言っちゃっただろっ!?」
「ウチへの扱いが雑過ぎるからや!反省しいっ!」
「おもしろ邪悪聖女には十分な扱いだろっ!」
「誰がおもしろ邪悪聖女やねんっ!?」
「お前以外に誰かいるか?」
「上等やないかい………殴るっ!」
「はっ!殴れるもんなら殴ってみな」
「はあ…二人の相性がこんなに悪いとは思いませんでした」
「ウフフ。でも仲良さそうに見えなくもないわね」
王女とアイアリーゼさんが言う。
「良くないですっ!」
「良くないわっ!」
断固拒否、否定、否である。
「ウフフ、息ぴったりじゃない」
「確かに見えなくもないですね」
「なん…だとっ!?」
「なん…やてっ!?」
「「ほら」」
「ネタ被せんの止めてくれませんかねっ!」
「被ってへんやろっ!オサレ死神とバスケ部のマネージャー、一緒にせえへんでくれるっ!?」
くっ!?コイツ…知ってやがる、だとっ!?…だが甘い!
「バスケ部のマネージャーならばちょ〜っと言い方が違いませんかね?…寄せてきてんのはそっちの方だろっ!?」
「くっ、知ってる…やとっ!?」
「なん…だとっ!?みたいに言わないでもらえませんかねっ!?」
「おされしにがみ?」
「ばすけぶのまねーじゃー?」
おっとっとっ?別に隠しているワケではないけれど、アイアリーゼさんとリリアーナ王女には俺が転生者だって言ったっけかな?
「何や?自分、言うてへんの?」
コソッと聖女が耳打ちしてくる。
「お…覚えてない」
コソリと言い返す…とゾクリと寒気を感じる。
「何ですか?今度は内緒話ですか?私に言えないことがあるのですか?ふ〜〜〜ん…そうですかそうですか。貴女も仲の悪そうなフリをして、私に内緒でそういう…ふ〜〜〜ん………」
「ちょっ!?リリー落ちつけや。何やら、好きな話題が出たオタク君みたいに早口になっとるからっ!?」
ハイライトを消した瞳でコチラに語りかけるリリアーナ第三王女殿下。怖い…怖すぎる。
聖女もちょっと考えて喋ってください。『オタク君』と言って通じるワケないだろっ!?
俺?俺は好きなモノと言っても広く浅く程度の知識しかないので早口どころか思い出しながら、が限界です。
そしてこの後、校長室からスパァアアアンッ!と二度の破裂音が響き渡ったとかなんとか…。
お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。
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