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受け入れと追加

「まずは私から謝罪を…」と冒険者ギルドマスターであるアイアリーゼさん。…って、いや、俺、思っいきり床の上で絶賛正座中なんですが…。ってか謝罪?


「聖女護衛の依頼の件よ」


「あぁ………ん?何故謝罪?」


「こちらから依頼しておいて、なのだけれど…」と詳細を説明し始める。

 

 なるほど。俺が下見と言ってクアンタム王国に行った際に起きた聖女暗殺未遂事件を受けて聖女がさっさとエクシア王国に来てしまい、修学旅行中に合流→亡命という予定が前倒しになり、旅行中から帰国までの護衛依頼が消滅した、と…。

 

 なるほど、良え話やん。


「指名依頼…という形にわざわざさせてもらってお願いしておきながら、ギルド側からの依頼の破棄。申し訳ありませんでした」


「アイアリーゼさん、頭を上げて下さい。貴女が頭を下げるのを俺は望んでいません。どうせそこのおもしろ聖女が『こっちの国の方が面白そう』とかそんな理由でエクシア王国にさっさと来たんでしょ?」


「言い方ぁっ!?あと『暗殺未遂事件を受けて』って言うてたやろがいっ!?………面白そうは合ってるけども」


 聖女うるさい。


「酷っ!?」


「私からも謝罪を…」とリリアーナ王女。


「お友達からの相談と言う事もありお父様…いえ、国王に軽く相談したのがいけませんでした。ユーリウ…ゼハールト君を直接名指ししたワケではないのですが…」


 …なるほど。エクシア王がその話を受けて調査させたところ、修学旅行と被る→ユーリウスおるやん→ほなコイツに護衛させたろ。…と言うことですか。


「概ね、それで間違って………いませんね。とにかく責任の一端は私にもあります。ゼハールト君、申し訳ありませんでした」


 ペコリ…と王族らしく綺麗なお辞儀をするリリアーナ王女。………いや、俺、貴女に正座させられたままなんすけど。

 いや、謝罪は受け入れるけども。


「リリアーナ王女。貴女が悪い、とは思いませんが謝罪を受け入れます。………が、エクシア王に今度模擬戦しに行きますね、とお伝え下さい」


「っ!?フフフ…はい、ありがとうございます。伝えておきますね」


 こうしてアイアリーゼさんとリリアーナ王女、二人の謝罪を受けとる。実際のところ、二人が謝ることは無い…と俺は思っているのだけれど、まあ、形式上必要なんだろうなぁ…と思っておくことにする。


 そして、『…んで、お前は?』…と言わんばかりに必殺:超ジト目を聖女にこれでもかとお見舞いする。


「ん?何や、ウチを見つめて。はは〜ん、ようやくウチの美少女っぷりが分かったんやな?もっと見ても良えけど、惚れたらアカンで?」


 ピキッ


 何かがピキッた音が聞こえた気がした。………というか俺がピキッた。


「俺のこの手が真っ赤に…」


「ちょおぉぉぉ、ちょい、ちょい、ちょいっ!?冗談やて冗談。いや、マジですんませんでしたって」


聖女(お前)を倒せと…」


 焦り散らかす聖女は…


「ちょちょちょ…リリーも見とらんと止めたって」「知りません」


「なんでやっ!?」


 王女に助けを求めるも、プイッ…ツーン、と袖にされる。フッ…ざまぁ。


爆熱(ぶぁくねつっ)!ゴッドォ………っ!?」


 俺は正座から一気に立ち上が………立ち上が………っ!?

 正座による状態異常:しびれの為、俺は一歩踏み出した状態からぽてりと崩れ落ちた。

 俺の麻痺耐性さん何処行ったっ!?ちゃんと仕事してっ!?


「フッフッフ…」


 ギクリ…。

 俺の上方から笑い声。顔をそちらに向けるとそこには良い笑顔をした邪悪な聖女が這いつくばる俺を見下ろしていた。


「誰が邪悪な聖女やねんっ!?」


 お前だよお前。とは声には出さないが…。


「聖女であるウチにアイアンクローしようとしたり邪悪と言ったりヒートエンドしようとしたりする輩には粛清が必要やんなあ」


 ニヤリ…と皿に口角を上げる聖女さん。き、貴様…まさか…?や、止め…


「ぬ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛っ゛っ゛!?」


「ほ〜れほ〜れ、正座で足が痺れてんやろ?」


 俺の脚部に回り込み、しゃがみ込んでツンツンツンツン楽しそうに突付く聖女。なんて邪悪な笑みを浮かべるんだ…。


「ぐっ…テメ、後でどうなるか…」「はあん?良いのかなあ?ウチにそんな口を聞いて?」「何だと?」


 俺の言葉を遮り、自信満々にそう宣う聖女(邪)。い、いったい何を…?


「リリー、エルフの姉さんも。今ならこの足、弱点やで」


 っ!?テメッ、何て恐ろしいことをっ…。だ、だが、心優しいお二人はそんなことしません。………しませんよね?

 俺は這いつくばったまま二人の表情をうかがう…。


「フフフ…ちょっと楽しそうね」

「楽しそうですね。私もやって良いのかしら?」


 そんなことを言いながら笑顔で指をワキワキさせているのは何でなんですかね?


 ちょ、マジで止め、止め、止めろおおおっ!?………と俺が二人に強く言えるワケもなく。

 この後、校長室からは謎の断末魔が響いたとか響かなかったとか…。


 とりあえず指を指してゲラゲラ笑っていた聖女(邪)は許さん。

 ついでに俺を見捨てた校長も許さん…と心の中の絶対に許さないリストに追加したことを報告しておこう。

お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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