扱い
「本題に入りましょうか…」
リリアーナ第三王女の言葉にテーブルを囲む。もちろん俺は冒険者ギルドマスターである愛しのアイアリーゼさんのとな「ゼハールト君はこっちです」とニコリ…と微笑みを浮かべ床を指差す王女。
あ…はい。
おかしいな…お仕置きは終わったはずなのに、何故俺はまた正座をさせられているのだろう…。そして顔を背けてプルプルしながら笑いを堪えている聖女は許さん。
しかし、そもそも『本題=お仕置き』だと思っていたのだけれど…「お仕置きは朝に私たちを見て逃げだしたからです」あ、はい、すんません。
「ホンマ、失礼な奴っちゃでえ。こんな可愛い女子二人を見て逃げだすなんて…」
「まったくです」
ぷんぷん、と腕を組み頬を膨らませる王女。なにそれ、ちょっと可愛いじゃないか。そのほっぺた潰していいかな?
「ウチは?」
「死ね」
「酷っ!?」
「駄目ですよ『死ね』なんて言ったら」
はい、すんません。………ん?お仕置きが終わっているのなら、俺が正座をする必要は無いのでは?
「………何か?」
「はい、何でもありませんっ!すんませんっ!!」
またもやニコリ…と微笑む王女。もちろんビビり散らかす俺は速攻で謝り倒す。そして王女の隣でゲラゲラ笑っている聖女は許さん。
「ウチだけ扱い酷ないっ!?」
知らんっ!
「私のお友達なのですから仲良くしてくださいね」
困ったように言う王女にもちろん俺は…
「一度持ち帰り前向きに検討を重ねるように善処します」
「ビジネスマンかっ!?」
フッ…バカめ。ビジネスマンならこんなテキトーな返事はしない。
「前向きに検討を重ねることを善処されてもねえ…」
…とはアイアリーゼさん。さすがです。
「端から見たら仲は良さそうに見えるんですけれどねえ…」
…とはリリアーナ第三王女。そんなワケないでしょう?もっとちゃんと見てください。
ま、ソレはもういいとして『本題』とは?
「ウチの扱い雑過ぎへんっ!?」
もういいと言ってるだろっ。話が進まないからっ!…で『本題』とやらを。
「では改めて本題を…ギルドマスター、お願いできますか」
「はい、王女殿下」
なるほど、ここで我が愛しのアイアリーゼの出番ってことか。正直、何故いるのかわからんかったのだけれど…そもそも冒険者ギルド経由で受けた依頼だったな…。
てっきり俺は俺のことが好きで来てくれているものだとばかり…と思考を逸らしまくっているとアイアリーゼさんと視線が合う。
『フフフ…』と女神のように優しく微笑みながらバチコーンとウインク一閃。『ぐはぁっ…』と俺は左胸に極大のダメージを負い、正座した状態から後ろに仰け反る…とはならず、恥ずかしかったのでプイッと顔を背けた。………うん、冒険者ギルドだったらその場でぶっ倒れてたわ。
「むぅ…」と王女が小さく唸り声を上げた気がするが聞こえなかったことにしよう。隣でその王女を見て「にししし…」と変な笑いを浮かべている聖女は許さん。
「ウチの扱いっ!?」
こうして朝からの一連の騒動はようやく『本題』へと入る。
「無視っ!?」
「聖女うるさい」
「酷っ!?」
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