許さん
王女と聖女からのお仕置きを受ける覚悟を決め、俺は目を瞑る。二人はそんな俺を見て準備に入る。
「特殊身体強化っ!!」
「ウチのこの拳が真っ赤に燃える…」
もうトラ◯ザムって言っちゃってるんだよなぁ…。あと聖女はなんでそのネタを知っているんだ…?それに魔力的には赤じゃなくて白銀に輝いてるよ…。
「トラ◯ザム………ハンマーーーッ!!」
「爆熱っ!ゴッドォォォ…ナッコォォォーーー!!」
微妙に聞き慣れない…技名が若干変わっている辺りどうなん?と思わないでもないが…まぁ良い、新技、と言うことにしておこう。
俺は二人の攻撃…いやお仕置きを甘んじて受ける………。
『『ドゴォォォォォン』』
おおよそ、学校内ではあり得ないような爆音が響き渡………いや、冒険科では結構あるな。それはそれとして響き渡る。
…お仕置き程度で出しちゃいけない攻撃だと思います。まあまあ強い人でも今のは瀕死の重傷を負うんじゃないかな?
………俺?俺は…
「これで少しは反省して………っ!?」
「『シールド』と『結界』の二重防御………やるやん。流石やな…」
何故聖女は強敵感出しているんですかね?………とまあ、もちろん無傷である。フッ…完璧だな。
まあ、これで少しは気も晴れたのではなかろ「特殊身体強化!」「ウチの拳が…」………何故二人はまた魔力を高めていらっしゃるんですかね?何故二発目を撃とうと準備しているんですかね?
「待ちなさい二人共…」
ここで愛しのアイアリーゼさんが二人を止める。流石アイアリーゼさん。好きです。愛してます。
「コレを…」
と言い、何やらギルドで見たことのある物を王女と聖女の二人に渡すアイアリーゼさん。
…そ、ソレはとっても良くないんじゃないかな?
「コレならば『盾魔法』も『結界』も貫通して攻撃出来るわ」
「コレは…」
「おおっ?ハリセンやんか!」
王女は知らないようだけれど、流石に聖女は知っていたか…。しかし、たかがハリセンが俺の魔法を貫通してくるとか全然納得出来ないんですけどっ!?
「そういう神器よ」
ニコリ…と美しい笑みを見せるアイアリーゼさん。しかしオノマトペが付くのならば絶対に『ドヤァァァ』だよなアレ…。
「ではありがたくお借りします」
「フンッ!フンッ!」
ペコリと頭を下げてハリセンを手に取る王女。………聖女は気合いを入れて既に素振りをしていらっしゃる。…何だその助っ人外国人のような豪快な素振りは?
「………では」
と王女が俺の右前に、聖女が左後ろに移動してスタンバイ。
…ちょっと待って。今、何の打ち合わせもなくその位置にスタンバったよね。何?本能で俺の頭を前後からハリセンでヤろうって感じとったん?
「ユーリウスくん。どうせ反省はしないでしょうから、ちょっとは思い知ってくださいね」
「絶対またやるで、この兄ちゃんは」
反省しないことを確定で言わないでもらいたい。…まあしないが。しかし思い知れ、とはいったい何を…?そして聖女は許さん。
「ほなカウント三からいくでぇ」
こ、このヤロウ…カウントを取ることで俺の恐怖を煽ろうってか?既にめっちゃ怖いですごめんなさい!リリアーナ王女はコクリ…じゃないんよ。ノータイムで同意しないで!?
「三………」
そして聖女がカウントを開始するのと同時に二人は魔力を高める。そ、そんな本気にならなくても良いんじゃないかな?
「二………」
怖い………めっちゃ怖い。
俺はこれでもか、と『盾魔法』と『結界』を展開。さらに『身体強化』に『硬化』を自身に掛けまくる。…そして怖い。
「フンッ!!」
「エイッ!!」
『『スパァアアアンッ!!』』
「ぶへぇっ!!?」
全ての防御魔法やら何やらを貫通して俺の頭の前後をハリセンがクリティカルヒット!!
俺は情けない声を出し、その痛みに床をのたうち回る。ハリセンが巻き付く様に俺の頭のほぼ全周囲にヒット。顔と後頭部…というか、もう頭の周り全部痛いんですけれどっ!?…というかカウント「一」はどこにいったんだ?
王女と聖女は「「イェーイ」」とハイタッチ。ソレを見てアイアリーゼさんはニッコリだ。
くっ…アイアリーゼさんはともかく、聖女は許さん。王女はアレだ………アレだ。
こうして俺はお仕置きをしこたま喰らったワケだ。…さて、顔面全部痛いし、もう帰「では本題に入りましょうか…」………えぇぇぇ。
どうやら、まだ帰れないようである。
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