ような気がする。
聖女の魔眼の件の説明も終わり、さっさと帰ろうという俺を呼び止める聖女(笑)。正直、なんとなあくその用件はわかってはいるのだが…。
「ほら、アレや、後日とは言えやで?依頼で護衛をしてくれるっちゅう冒険者さんとここで会ったのも何かの縁やとウチは思うんよ。んでなんやけれど、兄ちゃんは王国に戻るんやろ?このままウチのこと連れてってくれへんかなぁ〜、って思っ」「嫌です無理ですごめんなさい」「なんか喰い気味に早口で断られたあげくウチがフラれたみたいになっとるっ!?」
『聖女』というだけでも面倒事がわんさか押し寄せて来そうなのに、こんな『トラブルに自ら突っ込んでグーで殴る』みたいな『転移者』となんて、護衛依頼以外ではお付き合いできません。
「そんなん言わんとええやろ?な?ほら、天井のシミ数えてればすぐ終わるくらいやで?」
誰だ、このネタを聖女に教えた奴は?
「なぁ〜、頼むて。ちょっとだけ。ほんの先っちょだけやから」
…教え込まれたにしても、平気で使ってるな。もう駄目だ、この下ネタ好きな聖女は…。
そもそも下ネタぶっ込んで、どうしようというのか?
「いや、ホント面倒なんでちょっと勘弁してください」
「『面倒』で片付けられようとしてるっ!?コレはもうお友達の第三王女に連絡するしかな」「おいバカ止めろっ………あ」
不穏な言葉に思わず素で返してしまう。ソレを聞いた聖女はニンマリと顔を緩め…
「ふふん、やぁ〜っぱソッチが『素』なんやな」
素の俺を見て何がそんなに可笑しいのか…。
「ま、ソレはソレとして王女にはしぃ~っかり報告させてもらうで」
くっ、め、面倒くせえ。
ま、まあ良い。学校にいる時は俺の全力を持って接触しないようにしよう。うん、そうしよう。
「なんかろくでもないことを考えてる顔やなぁ…」
バレて〜ら。俺のポーカーフェイスさんはホントに仕事をしない。
「まあ、ええわ。しっかし、こぉんな美少女が一緒に行く言うてんのに…何が不満なん?」
おおう、自分で美少女言い始めた。…と俺は聖女の上から下を見る。
うん、まあ、顔は可愛いし、スタイルもそんなに悪くはない。…が俺にはアイアリーゼさんとミリアリーゼさんという大事な二人がいるからな。あの二人と比べると…
「………はんっ」
「鼻で笑われたっ!?………そういえば女エルフのギルドマスターと仲が良いとかなんとか言っとったっけ…。自分にも靡いてくれない、とも…。ほな可愛い系より綺麗系のが好みってことかんなぁ?」
何やら不穏な独り言が聞こえる。よしっ、聞かなかったことにしよう、うん、そうしよう。
それに独り言を言いつつ考え込んでいる今がチャンス!とばかりに、俺はブツブツと言っている聖女から少しずつ距離を取り始める。もちろん『スキル:隠密』も起動だ。
もう少し離れたら『縮地』連発からの『転移』で
「あ、コラッ!何離れてってんねんっ!?」何故バレたしっ!?『隠密』もしっかり発動しているというのに…。
だが残念だったな、もう遅い。
「フハハハハッ、さらばだ明智くん」と俺は『縮地』からの国境出入り口で出国手続き。あ、急ぎでお願いします。
「何処の怪盗やねんっ!?明智ちゃうわっ!!」とツッコミが聞こえてくる。が聞こえないフリをして手続き完了からの再度『縮地』。
充分に距離を取ったところで『転移』を起動。
こうして俺は無事しっかりと下見を終え、エクシア王国へと帰国した。
『転移』間際に「王女にチクったるからなあっ!」と聞こえたような気がするが…うん、何も聞こえなかった。うん、大丈夫大丈夫。と俺は自分に言い聞かせる。
学校に行くのと護衛依頼当日のことは………その時の俺がなんとかするだろう。多分、きっと、めいびー…。
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