いつものことで…
「兄ちゃん………自分、日本からの転移者…いや、転生者やろ?」
その聖女の質問に俺は息を呑む………ワケもなく。
「フッ…」とほくそ笑み一言。
「違いますけど」
さらりと応える。
「フッ、ウチの魔眼を甘く見とるんやないやろな?魔眼の力を舐め…全っ然反応してへんっ!?嘘やろぉっ!?」
ガクーン、と膝を着き「なんでやぁっ!?」と叫ぶ聖女。ドヤ顔からの落差が凄い。
ホントに騒がしい聖女様ですね。だから『聖女(笑)』と呼ばれるんだ。
あ、呼んでるの俺だけだわ。
「あ、ありえへん…パワハラやらセクハラやらコンプラやらの言葉を聞いて「うんうん」みたいな反応やったし、なんならリアクション言うてたのに…」
コンプラは口に出していないだろう?心を読むんじゃない。
しかし俺の反応や発言を見ている辺り、意外と周りが見えてんだな…。
しかし…
「用件はソレだけですか?なら私は国に戻りますので、ここで失礼しますね。聖・女・(笑)・様………ぷっ」
「カッチーン…今、ウチのこと笑たな。『聖女』のことは笑ても良えけどなっ、ウチを笑たのは許さへんっ!」
「普通逆なんですけどっ!?」
「フッ、やっぱりツッコミのキレは良えな。しかしウチを舐めたその態度はアカン。今そのにやけた顔ぁ撃ち貫いたるから覚悟しいっ!」
「怖ぇよっ!」
何だよ、撃ち貫くって。どこの分の悪い賭けが好きな少尉さんだよ。
…えっ?今は中尉?知らんがなっ!
「ふぅ………まあええわ。今は勘弁したる」
何で俺が勘弁される側なんですかねっ!?と思ったが声に出さずにおく。この応酬が続くと面倒だからな。
「で?………ホントのところはどうなん?」
「じゃあ種明かし、といこうか…聖女様」
聖女の困り顔と上目遣い、少しモジモジしたところがちょっと可愛い…と思うワケもなく、俺は種明かしを始める。
俺にはアイアリーゼさん、ミリアリーゼさんがいるからな。今さらちょっとした美女や美少女に靡いたりはしない。
「俺の魂的なモノは日本人だけれど、日本からの転移・転生というワケではない、ということだ」
「………んんん?どういうことや?全っ然分からへん」
ちょっと意地悪な言い方だったか?
「日本人の俺は死んで、異世界へと転生した」
「ふむふむ」
「そこでも俺は死んで、そしてもう一度転生した。『今の俺は異世界から異世界へ転生』した人生三度目の人間ってことだ」
「な、なんやてーーーっ!?」
ふむ、いつもならそのリアクションは百点だ。と言っているところだが今はちょっとシリアスパートでしょ?残念五十点です。
「点数はくれるんかいぃぃぃっ!?」
心読むの止めてね。
「いや…ニヤニヤしながら口に出してたで」
マジか…。なんならシリアス壊しているのは俺だったか。
「いつものことでごさいます」と心の中のシーバス。うるさい、黙らっしゃい。と一蹴して話の続きといこう。
お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。
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