何処もアレだね。
「はいはい、ふざけるのはソコまでにして、だ…」
公爵がパンパンと手を叩き言う。いや、アンタ、俺より先にふざけていただろう…。
「内通者や間者に心当たりは?」
この場でエクシア王国から来ているのは俺だけだからな。当然、俺へ向けての質問だ。………言ってもなぁ。
「依頼は冒険者ギルドを通じて。ギルドへは多分、エクシア王経由。陛下には多分、第三王女経由…というくらいしか分からないですね」
「『多分』と言うのは?」
「俺はギルドとしか直接話をしていないですからね。『予想ですが…』くらいの話しか出来ませんね」
「………ま、ソレもそうか」
俺の答えに公爵も納得したようだ。
「しかし経由している面子が濃いなぁ。エクシア王に第三王女、この分だとギルドも上層部の者だろう?お前の人脈、どうなってんだよ…」
「………ノーコメントで」
好き勝手生きてきた結果ではあるのだが………確かに濃いな。別に良いけれど…。
「とは言えギルドも経由しているとなると、ちょぉーっと絞るのは厳しい、か…」
探そうと思えばマップ先生が有るので探せなくはない。面倒だからやらないし言わないけれど…。
「そう言えば嬢ちゃん、お供は?」
聖女に視線を移し、公爵が問う。
そう言えばそうだな。『聖女』…なんて重要な人物にお供がいない…ってのもおかしい。………けれど、まあ…。
「あっ…あ~~~、そのう………公爵さんトコの街に置いてきた」
ちょっとだけ言い淀み、ウインクをして舌を口の端に出す…所謂テヘペロである。………やってんな、この聖女(笑)め。
「まあ、お前さんならそんなこったろうとは思ったが…で、その中に怪しいのは?」
「みんな良い子たちやで、ウチの『眼』にも反応は無いし。まあ、暗部が動いているんやろうし、そっちは知らんけど…」
………『眼』?
「そうか、嬢ちゃんは『魔眼』持ちだったな。なら近しいお供なんかは大丈夫、か…」
へぇ、魔眼持ちとは珍しい。
聞くと、『嘘か本当』『悪意か善意』がなんとなく判るらしい………けれどソレって…
「信者の人が教国のお偉いさん…司祭とか司教に聞かれて答えたりするのって、悪意とか嘘とかが無くて、すり抜けるんじゃね?」
「「………………確かにっ!!」」
公爵と聖女は「はっ」とした表情、鬼仮面はコクリと頷いているが、アンタあんまり興味無いだろう。
「なるほど、本人たちは自分が内通者だとも間者だとも思っていないことも有り得る、か…」
「盲点やった…というより魔眼を過信し過ぎやったわ…」
「内通者足り得るとしても、本人に自覚も無いだろうし、嬢ちゃんの管理不行き届き…とも言えないしなぁ…。帝国は…」
チラリ、と公爵が鬼仮面に視線を移す…
が…
「フッ、当然、徹頭徹尾、端から端まで怪しい奴しかおらんなっ!」
ドヤァァァッ!!…とオノマトペがバックに出そうなくらい尊大にドヤる鬼仮面。………な、殴りてぇ。
「だよなぁ…」
ガリガリ…と手を後頭部に回し掻き毟る公爵。
「クアンタムもウチで一枚岩…ってワケでもないしなぁ。どうしたもんかね…」
と今度はヤレヤレ…両手を広げ、首を横に振る。
どの陣営も怪しい、か…。
仕方がない、と言えば仕方がないのかもしれない。のだけれど………んんん?
「そう言えば『教皇派』は何で『聖女』を狙っているんだ?聖女の言動を聞く限りじゃあ、ただの権力争い…ってワケじゃないんだろう?」
俺はギルドでは聞いていない、さらに踏み込んだ内容を問う。
「あ、ああ………ソレなぁ………んん、ん~~~………」
…なんか言い難そうだな。そんなに大変な内容なのだろうか?まあ、命を狙われる程だからな…かなりエグい内容、なのかもしれないな…。
そして………ぽつぽつと聖女が語り出す。
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