どうかなぁ…。
クアンタム王国二日目に宿泊予定の街…は特に何も無く、宿泊して翌朝に出発。
えっ?本当に何も無かったのかって?
な、何もありませんでしたよ?冒険者ギルドで絡んできた奴を泣くまで四の字固めした以外には…。
…やってるって?
そうですか。………ソレはもうしゃーないよね。さーせん。
というワケで、ちょっとギルドに寄ったら案の定一悶着あったのだけれども。
…いつものことである。
一応ギルドに寄った理由はこうである。
『ちゃんと馬車にも乗っておくか』である。
徒歩や『飛行』による移動と馬車に乗っての移動…多分に見える景色が違うだろう、と思ったからである。
なので王都に行く馬車に乗るために、何か依頼とかあるかなぁ…と冒険者ギルドに寄ったワケなのだが…。
「おうおうっ、ここには坊っちゃんに出来るような依頼なんかありゃしねえぜっ!」
「「「ブハハハハハッ!!!」」」
「無理すんなよ坊っちゃん!」
「「「ブハハハハハッ!!!」」」
この後、俺は当然のように知っている関節技を駆使して泣かしたワケだが…。
えっ?四の字固め以外にもやってんじゃんって?そ、そうですね…。
フェイスロックとかストレッチプラムとかも洩れなくやりましたが何か?
ま、まあ、そんな縁もあり、絡んできた冒険者たちには王都まで馬車を出してもらうことに…えっ?『縁』とは言わないって?
…はい、さーせん。
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ガラガラガラ。
俺とギルドで絡んできた冒険者たちを乗せ、馬車はクアンタム王国王都を目指す。
「いやぁ、坊っちゃんはお強い方だと思っていたんすよぉ」
「あぁ、それは俺も思ったわぁ」
「俺も俺もっ」
うむ、清々しいほどに白々しい会話である。ならなんで絡んできたんだって話になるのだけれども、まあわざわざ聞くのは止めておいてやろうか。
「それよりその身なり…坊っちゃんはどっかの貴族のご子息だったりします?」
「あぁ、それは俺も思ったわぁ」
「俺も俺もっ」
もうテンプレにしか聞こえんのだが…
「だったらどうする?」
ニヤリ…口角を上げ、悪い笑顔で聞き返す。
「「「何でもしますんで不敬罪で処刑だけは勘弁をっ!!!」」」
ゴンッゴンッゴンッ。
額を馬車の床に当てて土下座する冒険者たち。さすがに御者をしている奴はしていないが。
「…さて。………どうかなぁ」
その言葉に顔を上げ、俺の表情を確認してくる冒険者たち。
俺は変わらず口角を上げていた。
「「「うわあぁっ、どっちなんだあっ!!?」」」
フンッ、教えてやらんっ!
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ガラガラガラ。
変わらぬリズムを刻『ガタンッ』…いや、変わるわ。俺の開発したゼハールト家専用馬車ルプスレクスと違い、サスも無ければ座席のクッション性どころか板に直座りである。
………うむ、尻が痛い。と思って微妙に『浮遊』で尻を浮かしていたのは内緒である。
「坊っちゃん、そろそろ王都に着きますぜ」
道中魔物に襲われることもなく、普通に王都へ到着しそうである。
俺はスキル『マップ』を併用しつつ、怪しそうな場所をチェックしていたのだが…
あんまわからんかったな…。
よくよく考えてみたら、例えばスキルでもそうだが魔道具で『気配遮断』なんて物があったとしたら、道中で見つけられない可能性もあったりするワケだ。
いや、もちろん遮蔽物になりえる所なんかはチェックしたよ。………ホント。
だがしかし…である。
前述の魔道具やスキルなんかを駆使されたら、『マップ』先生でも厳しいワケで…。
………えっ?余裕で拾える?そ、そうですか。じゃあ安心………なんですかね?
もう一つ…。
『超長距離射撃』もしくは『砲撃』である。
コレはさすがに感知が難しい。
意識外からの攻撃………コレが心配、のための魔道具を作成しようと思ったのだけれど…
『オート』での『結界』展開はちょっと無理やったなぁ…。
まあ、俺が聖女の近くにいるのが前提ならば、感知してからの防御は可能である。あるのだが…。
「近くにいない時はさすがに無理だもんなぁ…」
…さてさて、どうすっかなぁ。
そんなことを考えつつ、俺はクアンタム王国の王都へと足を踏み入れた。
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