二枚入りで!
誤字脱字報告、ありがとうございます。
俺の預り知らぬところで『金髪鬼畜魔王』の噂が歩き始めたころ、俺は宿屋で一泊。翌日、売っていた珍しい物だけ購入し、北の国境都市をあとにした。
さて、と…。と俺は修学旅行のしをりを開き、旅程と道程をスキル『マップ』を見ながら確認。
実際のところ、北の国境都市まではワイバーン便での移動なので特に問題はない。問題はここからクアンタム王国の王都までの馬車での移動である。
 
なんせこの辺りの土地勘も無いし、国境都市からは聖女様を護衛せなあかんし、学校の奴らもいるし、で面倒極まりないからなぁ。
えっ?最初から国境都市まで飛んでくれば良かったじゃん…って?
ソコはアレだ!えぇ…っと、アレです。そ、そう!緊急避難先の転移場所候補の選定のためなんですっ!だから仕方がないのですっ!
俺は都合の良い言い訳を脳内につらつらと並べ、精神の安定を図る。…いや、別に不安定ではないけれども…。
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道中、いくら歩いてもクアンタム王国最初に訪れる街に着かないので、途中からは『飛行』で移動。王国一泊目予定の街に到着した。
…いや、途中から歩くの面倒だったし、キュリオス公爵の弟子であるという免罪符もあるし…。いや、免罪符は使ってなんぼでしょっ?
到着した街は国境都市から王都に向かって南西に位置する。しをりを見るかぎりだと馬車で国境から一日、王都からだと二日といったところか。
馬車で一日ということは徒歩だと三~四日掛かる計算である。そりゃ面倒にもなるわ。
この後、俺が飛行魔法で行くことに決めた瞬間である。
街で宿に入り一泊、寝る時に俺は考える。
………あれ?本番の時って王都まで馬車で三~四日掛かるってことだよな?馬車の中…死ぬほど暇なのでは?と…。
 
いかんな…。
 
しかも護衛で、ということは聖女様が一緒で、で暇になるワケだ。
…いかんな。
…というワケで俺は急遽、馬車内でも出来る遊具を考える。
言ってもガタガタと揺れる馬車内である。リバーシや将棋、囲碁なんかの駒を置くタイプは難しいだろうし、双六や人生ゲーム的な物も同じ理由でダメだろう。
となると、だ。
カードゲーム系か。
定番中の定番トランプがまず思い浮かぶけれど、この異世界には幸いというかなんというか、まだ存在していない。
まあ、まったく同じ形、同じ大きさ、同じ厚さで五十枚もカードを作れる技術が確立されていないのだから仕方がない。
いくら魔法が在ろうが、こういった工業製品は難しいワケだ。
だが、俺の『無限収納』内で鑑定先生に任せておけば作成可能である。と鑑定先生が言ってらっしゃる。
フッ…さすが鑑定先生。さす鑑。
俺はトランプをワンセット作成するよう『無限収納』にセットし、その日は就寝した。
あ、ジョーカーは二枚入りでお願いします。
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翌日…
宿を出た俺は次の街までを歩いたり飛んだりしながら進んで行く。
全部飛べば良いじゃん、って?
下見だから!ちゃんと偵察もしてるから!怪しそうなところに目星を付けたりしてるから!
と言いつつ、トランプで出来るゲームを考えていたりした。
ポーカー、ブラックジャック、ババ抜き、七並べ、神経衰弱………こんなもんかな。
バカラは俺は知らないし、大貧民はルールを教えるのが大変そうだし、スピードはステータスに依存しそうだからとりあえず無しの方向で…。
インディアンポーカー、なんてのもあるけれどコレはまあいいか。
決まった五種のカードゲームのルールブック的な物も『無限収納』で作成。
次の街に着くまでの間に脳内で鑑定先生とあれこれしながら作成した。
もれなく鑑定先生が俺に内緒で大貧民のルールブック的な物を創っていたのは言うまでもない。
何で創ったし。
くっ、大貧民なんてやって馬車内の空気が悪くなったりしたら………恐ろしい、ブルブル。
が、もちろん俺はわざと負ける気は無いことは宣言しておこう。
そして俺はクアンタム王国二日目に訪れる街へと到着した。
 
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