北の国境都市
誤字、脱字報告ありがとうございます。
無事、公爵との晩餐も終え、俺は北方都市キュリオスを出発。キュリオスから西に位置するクアンタム王国との国境へと歩を進める。
…と言っても魔法で飛んで行っているワケだが。
まあ、それも公爵に公式に弟子で良いよと言ってもらえたからで、ことあるごとにソレは使っていこうと思う。
公爵、どうもありがとう。
そして、そうなると、だ。
ウダウダと街道を歩いたりせず上空を駆け抜けるだけになるので、進みが早い早い。国境なんて一日も掛からずに着いてしまうワケである。
国境と言っても、そもそもが兄弟国である。両国の真ん中に教国の山がある以外には壁などで隔てているワケでもなく、数ヶ所に小さな砦がある程度。
そして国境の南北に一ヶ所ずつ都市が存在している程度である。
程度、と言うのは都市は在っても、お互いの入出国に審査や検査が『ほぼ無い』ようなものだからである。
『ほぼ無い』と言うのも犯罪者かそうでないか、程度はあるからだ。
逆を言えばその程度しかないワケだが…。
もう完全にザルである。
そんなワケもあってこの南北の都市と砦の兵士なんかは、問題が起きた際の対処に、とまあまあ強い人たちが配置されているらしい。
そして、そんなゆるい国境だからこそ人の流れが多く、都市自体は大きくはないものの栄えているワケである。
そして、ゆるいからこそ荒くれ者たちも多いのだけれど…。
「おっ?子供が良い装備を持ってんじゃねえか。どれ、俺様が使ってやるから寄越」「ヒィートォ………エンドォッ!」『ガシィッ』「いぎゃあああっ!?」
速攻で絡まれました。
「ぎゃあああっ!ミシミシ言ってるっ!ミシミシ言って」『ミシミシ………メキッ』「………あ"」
絡んできた奴にはいつものアイアンクローをお見舞いしてやる。最後にグッと力を入れるとガクーンと身体の力が抜け、俺が鷲掴んでいる頭から下がダラーンとなるワケだ。
俺はペいっと投げ捨て…
「相手を良く見て絡むんだな」
と忠告。
「イヤイヤイヤ、白眼剥いて気絶してる奴に言っても…」
「聞こえてないんじゃないか?」
「というか容姿で判断できんだろう?」
などと周りでこそこそ言われているのが聞こえてくる。
………アレ?なんか俺の方が悪いことになってない…?おかしくない?
まあ、いいか。
とりあえず追加のお仕置きをしておこう。
絡んできた奴は見た感じ冒険者っぽい格好をしているが、う~~~ん、そうだな…。
………よし、決めた。
お仕置きをどうするか決めた俺は、いそいそと作業を開始。ソレを見ていた見物人たちからこそこそと話声がするが…
「………レザーアーマーに猫耳幼女の絵が…」
「一瞬で描いた…いや、貼り付いた…?」
「………ロングソードがどんどん短くなっていくな…」
「既にショートソードより短くなってんだが…」
「………ひ、酷えぇ…」
「………あ、あんなんで探索や戦闘なんて出来ねえよ…」
俺は学校で絵の上手い級友にあらかじめ猫耳幼女を描いてもらっていた『巻物』を取り出し水属性魔法を使いレザーアーマーに貼り付ける。
俺の開発した新魔法『転写』が炸裂した瞬間である。
ロングソードの方も新魔法『鑢掛』で丁寧に仕上げました。
うむ、なかなかに評判は良いようだ。…違うって?魔法の使い方間違ってるって?フッ………知らんな。俺に絡んできたコイツが悪いのだ。
そして仕上げにっと…。
俺はごそごそと男の荷物を漁る。冒険者っぽいから魔石の二、三個は持っているだろう…。っと、あったあった。
コレに『魔力吸収』と『結界』を付与して加工してそれぞれに取り付けてっと…。
よし、完成だっ!
出来るのならば某RPGの某呪いの装備のように取り外し不可、みたいにしたかったのだが、さすがにそんな魔法は覚えていない。非常に残念である。
じゃあ、工賃だけいただいておこうかな…、と気絶した奴のお財布を探していると…
「勝手に加工して工賃…だとっ!?」
「あんなレザーアーマーとロングソードをあんなにして、か?」
「き、鬼畜過ぎねえか?」
「なんて恐ろしい…」
この日…。
エクシア王国北の国境付近から『金髪の鬼畜魔王』の噂が流れ始めた伸ばした言うまでもない。
また、一部の冒険者たちの間で痛レザーアーマーが流行りだしたことを報告しておこう。
お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。
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