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到着!

『下見…ねぇ』

「とてもソレだけが目的とは思えないのだけれどね…」


盗賊団の件を報告した町に公爵の手配でそのまま宿に泊まり、夕食にお呼ばれ。当然というか、なんというか、俺がこの北の領地に来ている理由を聞かれるワケで…。


嘘は言っていないものの、聖女のことは話さないでいると、怪しまれるワケで…。本当は公爵知ってるんじゃない?と俺も思ったりするワケで…。


「まあ、ソレ以上は『言えない』し『言わない』ので…。ソレで察してください」


ただの学生が公爵に言っていい言葉ではないが、まあこの人なら大丈夫だろうと、そう話す。


「まあ、そうだろうね…」

『これ以上は野暮ってもんか』


こんな感じに納得…というか下がる辺り、やはりある程度は察している…いや、知っているが正しいのかな?


『…で、盗賊を退治していたのは?』


「あぁ、あれは本当に偶々居合わせた感じで、ついでにお小遣い稼ぎを、と…」


このあと公爵には苦笑され、ハレルヤさんには爆笑された。…解せぬ。


『やっぱ面白えわコイツ、なあ、アレルヤァ』

「くっくっ…そ、そうだね」


何か酷いことを言われている気がする、とジト~っと俺が公爵を見ていると…


「悪く思わないでくれ。表に出ていない時にハレルヤと会話が出来る人なんてほぼいないからね。ハレルヤもはしゃいでいるんだよ」

『るっせぇぞアレルヤッ!余計なこと言うんじゃねえっ!』

「ハハッ…ゴメンゴメン」


…仲良いね。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


一泊して翌日から移動を再開。

徒歩であと二~三日くらいかなぁ…と思っていたのだけれど、そこは空を飛ぶ公爵が一緒である。俺が飛んでも問題無いよね!ってことで魔法で飛んで移動開始!


『…って、いやいやいや。何で普通に飛んでやがるんだユーリウスは?』

「飛んでるね。普通に…」


「………ん?」


…というワケで『飛翔(フライ)』の魔法はキュリオス公爵家の独自魔法らしく、公爵家直系の人しか使えないんだとか…。


「というか感覚的なモノなのか、教えても使える人がいないんだよね」

『浮遊の魔法に風属性魔法を加えて飛ぶことは出来るんだがな。飛翔はちょっと系統が違うみてえだ』


とは公爵の弁。


公爵の『飛翔』は風属性魔法がベースにはなっているものの、まったくの別物らしい。

そういう意味では俺のもまったく別物なんですけど…。


理論的に上手く説明出来ないけれど、俺の魔法はどちらかというと重力制御魔法…になるのかな?正直なところ「魔法だしっ!ファンタジーだしっ!飛べても良いよねっ!」な感じなので理屈やらなんやらはよくわかっていなかったりする。


前世の勇者だった時はたしか飛行魔法があったから周りの人たちも魔法で飛べていたんだけれどな。言ってもそんなに使える人は多くはなかったけれど…。

あの時の俺はどうやって教えてもらっていたっけかな…。


あれ?じゃあこの世界…空飛ぶ魔物とかには結構苦戦する?


『今さらの話なんだよなぁ』


いや、他の人の戦い方なんて気にしないしならないし…。俺には空飛ぶ魔物だろうが魔人だろうが、なんなら前世で魔王も倒したことありますけどっ!


『何で突然ドヤ顔なんだよ…』

「ハレルヤ…察してあげなよ。そういうお年頃なんだよ…」


なんか辛辣ぅっ!?

ま、まあ、俺の前世が勇者うんぬん~は声に出してはいないから、きっとまた俺の無表情(ポーカーフェイス)スキルさんがサボタージュしているのだろう…。

ウン、イツモノコトダネ…。


「空を飛ぶ魔物なんかには、それなりに戦い方があってね…」

『対空用の魔法とか、もしくは弓矢に魔法を乗せたりだな』

「苦戦はするけれど、勝てないってことは無いね」

『まっ、空飛んで近接戦闘をするのなんかは俺らとセツナくらいだがな』


なるほど、それなりに大変だったのか…。家のお年寄りコンビが翼竜(ワイバーン)とか余裕で狩ってきていたからわからんかったわ…。

えっ?それくらい冒険科の授業でやるだろうって?


…フッ。聞いたこと無いから、多分寝てたわゴメンナサイ。


そんなこんな雑談をしつつ俺たちは北へと歩を進める。いや、飛んでいるから『歩』じゃないな。…なんて言うんだろうね?


というか、だ。

飛ぶ速度も相まって一時間もしないうちに北方都市キュリオスに到着した。

これなら昨日のうちに着けたんじゃね?と公爵にジト目を向ける。が、公爵は明後日の方向を見て何処吹く風である。


『ユーリウス、察してやってくれ。公爵ともなると色々と仕事が…な』


…とハレルヤさんからのフォロー。

なるほど。となるとあの公爵の顔は何処吹く風、ではなく、「あぁ…書類仕事が待ち構えているなぁ」というのを悟って黄昏ている顔ってことか…。


…何処の世界でも大人は辛いね。


ハレルヤさんが代わってあげれば良いんじゃね?と思わないでもないのだけれど、ソレは言わぬが花って感じかなぁ。


ま、なんにしても北方都市に到着したワケだし、このあとの動きを考えないとな。


そして、到着といっても都市城壁の外に着地した俺と公爵は都市入口の前に立つ。

入場の検問なんかは公爵の顔パスでイケるだろうし、問題は無いと思う。


さてさて、初めての北方都市キュリオス。何が有るか少し楽しみである。

お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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