動じない
「面倒だな…」
『面倒だな…』
「君たちね…」
俺と公爵の別人格…ハレルヤさんが言うと公爵は呆れたというような声を漏らす。
ちなみにさっき俺の戦闘を見守っていたのはハレルヤさんで今表に出てきているのがアレルヤ公爵らしい。
うん、わかるよ、言葉使いで…。原作でもそうだっげふんげふん。うっ…頭が。
…で、何を面倒がっているかというと、だ。最初の方に倒した数人を含んで、こんがりとアフロにしてやった盗賊たちの後始末である。
俺の貴重なお小遣いになるので、ここに置いていく…という選択肢は無い。…が次の町までコイツらを運ぶのが面倒で骨である。
さて、どうしたものか…。
『護衛だった冒険者に見張らせておいて、次の町から衛兵を向かわせようぜ』
「それだっ!」
ハレルヤさんの提案に乗っかっておく。
「いや『それだっ!』じゃなくてね…」
「公爵様…細かいことは気にしてはいけませんよ」
『アレルヤ…細かいことは気にすんな』
…と俺とハレルヤさんの考えは同じようだ。
「君たちね…はぁ、やれやれ…」
『はぁ、やれやれ…』…と公爵から聞こえそうな…いや、声に出ちゃっているな。ため息混じりではあるものの、もうそれで良いよ…という雰囲気を醸し出していた。
「イェ~~~イッ!!」
『ヤァ~~ハァッ!!』
俺とハレルヤさんは今にもハイタッチを交わしそうな勢いである。
まあ、『表』に出ているアレルヤ公爵は若干げんなりしているようにも見えなくもないが…。
結局、ハレルヤさんの案がそのまま採用され、冒険者たちは見張りとしてその場に残ることに。念のため、その周囲半径二〇〇メートルは魔物が入ってこないように結界を展開しておく。
商人の馬車の護衛に関しては次の町までは俺と公爵で引き継ぐことで話をつけた。
見張りに残す冒険者たちにはその分の代金を、馬車の方は次の町からの護衛の代金も含めて、公爵が都合してくれることで一つの文句もなく話はまとまったようだ。
盗賊たちの捕縛に関しても公爵が色をつけてく『んなこたぁ言ってねぇ』あ…そ、ソウデスネ。…残念。
余談ではあるが、やはり…とは思わなかったが盗賊たちはそこそこ大きな中規模の盗賊団だったらしく領軍から出ていた懸賞金以外に冒険者ギルドからの討伐・捕縛依頼もあり、結局ではあるが俺の懐へプラスの臨時収入があったことはもちろん内緒である。
とまあ、こうして次の町にも到着し、護衛からも解放され、さあまた気ままに下見に戻ろ「ユーリウス=フォン=ゼハールト」
「………………」
突然、公爵から名前を呼ばれ、沈黙で返す俺…というより汗をだらだら流しながら黙るしか出来ないだけなのだが…。
な、なななな、何故バレてるしっ!?たしか名乗ってはいないはずなんですけどっ!?
「沈黙は是…ととるけど」
『何故バレたって顔しているな』
そ、そそそそ、その通りですけど何かっ!?
「君のことは見たことはないけれど…」
『ゼハールトは男爵…いや、今は子爵だったか?当主は見たことあるからな』
「当主は君に似ているね…いや」
『お前が当主に似ているから…だな』
父親だしねっ!そりゃ似ててもおかしくないよねっ!
「あとはセツナからなんとなく聞いていた特徴を思い出したからかな」
あ、あんの国王ぅ…今度リリアーナ王女に有ること無いこと吹き込んでやるっ!
『おいアレルヤ…こいつ、またしょうもないこと考えてるぜ』
「そうみたいだね…」
声に出していないのに思考がだだ漏れである。『魔粒子波』とやらの干渉もブロックしているのに台無しやないかいっ!俺のポーカーフェイス…マジで仕事しろ。
そんなこんなありつつも突発イベントは終わりを見せ、さてさて下見に戻ろうかな。というところでやはりというか案の定というか…。
『おいユーリウス』
「ちょっと待とうか」
キュリオス公爵からお声が掛かる。
優しそうに見えるその笑顔の奥に凶暴そうな笑顔が混じっているのは気のせい…ではないな。
「君…この道筋を通って北上しているってことは北方都市に行くつもりなんだろう?」
『ソレ以外にこのルートを通る理由なんざ無えもんなぁ』
うっ、一人なのに二人分の圧がっ!?そして俺がさっさと公爵から離れたいこともバレてる感じである。だって何か圧が強いものっ!
「一緒にキュリオスまで行こうか」
『ハッハァ~、楽しくなりそうだな、おいっ!』
公爵はともかく、ハレルヤさんは何で俺の同行が決定しているみたいな物言いなんですかね…。と思いつつも俺に拒否権は無さそうである。
「………ふぁい」
『…めちゃくちゃ嫌そうに返事しやがるな』
「フフ…まあ諦めてね」
くっ、俺の『必殺:嫌そうに返事』がまったく効かないだとっ!?なんてメンタルしてやがるっ!さすが公爵ってところか。
『…おいアレルヤ。こいつ、またしょうもないこと考えてるぜ』
「…まあ、良いんじゃない?」
こうして俺はイヤイヤながらキュリオス公爵同行で北方都市へと行くことになった。嫌なんですけどっ!嫌なんですけどっ!!
『早く行くぞっ!』
「そんなジト目しても駄目だからね」
くっ、俺のジト目にもまったく動じないとは。つ、強い(確信)。
まあ、実際には動じないというよりは気にしない、が正しい…のかな?言動もあしらわれているというような感じはしないし…。
あの力でなんとかしようとする某国王さまよりは良いか…。
………うん、とんだブーメランだったわ。
まあ公爵が同行するのは北方都市までのことだし、さっさと終わらせるとしようか。
こうして(二度目)俺たちは北方都市へ向「あ、宿取っておいたから」『ここで一泊な』…かえなかったことを報告しておこう。
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