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北へ向かおう!④

…一瞬だった。


ほんの一瞬、目を離してもいないのにガキを囲んでいる以外の部下たちがヤられていやがった。


ガキを囲んでいた所を二度見しても当然ガキはいない。


…何が起きた?


『瞬間移動』の魔法?…いや、そんな伝説級の魔法を使えるワケがない。


それなら…


『身体強化』による速度上昇…そして剣術スキルかなんかによる移動系のアーツ…か。


だがガキは剣は持ってはいるが抜剣はしていない。未だ腰の鞘に納まったままだ。

剣を抜いていない状態で『剣術スキル』のアーツ?


いや、今はそんなことはどうでもいい。あのガキを何とかしなければ、狩られるのは俺たちの方だ。


「テメエらっ!すぐに『強化』しろっ!『眼』の強化もだっ!!」


俺は状況がわからねぇながらも最適と思われる指示を部下たちに飛ばし、自身にも『強化』の魔法を起動する。


『眼』を『強化』することで視力や動体視力を強化し、相手の動きを捉える。

これならばあのガキの動きも見えるだろう。

見えてさえいれば…あとは囲んでしまえば…ガキ一人なんぞをどうにかするなど容易い。


この時、俺は…「これで勝てる」…そう思った、いや…確信した。

今日…感じていた『違和感』のことを忘れて…。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


ようやく俺に気付いた盗賊たちが一人の男の指示によって、それぞれが『身体強化』の魔法を起動していく。

…というか、やはり指示を出した未だ馬上にいるあの男が頭目で間違いないのだろう。


自身を含め『身体強化』の魔法を使用し、かつ『眼』にも使用するのは正解だ。

強者同士…でなくともある程度以上からのレベルの戦闘なら常套手段だからな。

強者であるなら自然に使っているまである。


そして残りの自身を含めた十四人が魔法を使用したことで、頭目の口元がわずかに上がる。


これで勝てる…とか思っちゃってんだろうなぁ、これは。


確かに全員が『身体強化』魔法を使える盗賊団なんてなかなかいない。というかヴァーチェの方にはいなかった。使用したとしてせいぜい数人、といったところか…。

イコール、この盗賊団はそこそこ強い…そしてイコール…


…懸賞金もお高い。………多分。


「…いいね」


実際のところは捕まえて冒険者ギルドなり国の詰所なりに突き出さないとわからないのだけれど、まあ、ヴァーチェで潰してきた盗賊団よりはお強いはずだからきっと懸賞金もお高いだろう…はず、多分。


…とりあえずその辺りの話は置いておいてだ。

折角『身体強化』なんてしてくれたんだ。こちらも死なないように力の入れ加減を間違えないように………いや、そもそもずっと舐めプだったな。

もはや手加減がスキル『手加減』になっても良いんじゃないかな?ってくらい上手いわ、俺。…そんなスキル化は無いが…。

…スキル化してくれると楽なんだがなぁ。


…えっ?『舐めプ』ならスキル化するって?そんなん効果が舐めプに磨きがかかる…とかだろ?いらんわ、そんなもん…。


閑話休題


「さて、と…」


護衛の冒険者二人は拘束されたままだけれど結界を展開して安全確保完了っと。

馬車の積み荷を運んでいた奴らも俺を囲み始め、俺は二方向で合わせて十三人と馬上にいる頭目一人と相対する。


盗賊たちは全員が『身体強化』の魔法を起動し、俺に襲い掛かる準備は万端…といったところか。

ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべ、ジリジリと距離を詰めてきている。


が…


「狩られるのはテメエらだ…せいぜい俺のお小遣いになってくれ」


俺はボソリ…と呟き、笑みを深める。

お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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