VSセツナ=フォン=エクシア②
『刻を視る者』と『可能性の獣』を持つ俺と『変革者』を持っている…かどうかは知らないが国王セツナ=フォン=エクシアとの激しい絶戦…いや舌戦は続いていた。
内容は自分の主張を言葉を替えて押し付けあうような酷いものであったが、それぞれの理由が自分の自由と自分の身の安全ということもあり、それはもう必死である。
まあ理由が酷いのは自覚してはいるが譲る気はこれっぽっちも、一欠片も俺には無い。国王陛下…残念だがさっさと諦めるがいいっ!
「はあ…はあ…はあ…」
「はあ…はあ…はあ…」
お互いに息を荒くしつつも睨み合いは続く。実際は薄っぺらい笑みを浮かべた仮面を被っているかのような表情なのだが…。
「本音が透けて見えているのに、それを言葉に出さずに伝えられるのは凄いですね」
「その本音がどうしようもないんですがね」
どちらが言ったのかはわからないが団長のオッサンとシーバスの会話である。
二人にも伝わっているのだから、当然俺と国王はお互いの本音を理解しているワケだ。
だからこそ…負けるワケにはいかんっ!!
しかし…
「良いのか?ユーリウス=フォン=ゼハールト…」
「………?」
「君が断るのであれば…」
「………………」
「この話は………君の兄に行くぞ?」
「なっ………なんだってえぇっ!?」
こ…この野郎、ここにきてセイ兄を人質にっ!?
「最低ですね…」
「最低ですな…」
「くっ………卑怯な」
お、俺にはセイ兄を裏切ることなんて…。
「ユーリウス様は気付いていないようですね」
「そうなったらなったで、その兄に任せれば良いだけの話なのだがな…」
そんな二人の会話も聞き取れず、俺はなんとか出来ないかと思考する。
考えろ、考えろ…。
「ふっ………さあ、どうするユーリウス=フォン=ゼハールト。大人しくこの話を受けるのであれば、君の兄が犠牲になることは無い…だがっ!」
「くっ………陛下、それは少し待ってください」
「一国王のすることではありませんね」
「陛下…それはさすがに…」
くそっ、なにか…なにか無いか?この現状を打破出来るようななにかがっ!
『キュピーン』
その時、俺の『刻を視る者』が反応する。これは…
「ふっ………何も無いようだな。では潔くこの話を受け『コンコンコン』むっ…誰だ?今良いとこ」『あなた?ちょっとお話があります』「っ!?マリナっ!?」
ノックの後に続く女性の声…。それに『マリナ』ってたしか…
『ガチャリ』
入室の許可を国王が出す前にその女性はドアを開け入ってくる。
リリアーナ第三王女に良く似た顔立ち、長く輝く金髪は後ろでアップにして纏められている。豪奢なドレスを身に纏ったその人物は…
『マリナ=フォン=エクシア』
粉うことなきエクシア王国の第一王妃である。
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